1. トップ
  2. エピソード
  3. 定期券を購入した男性「領収書ちょうだい。そしたら払い戻して」不可能な要望…直後、別の客が“放った一言”にスカッ!

定期券を購入した男性「領収書ちょうだい。そしたら払い戻して」不可能な要望…直後、別の客が“放った一言”にスカッ!

  • 2026.10.9
undefined
出典:photoAC ※画像はイメージです

鉄道会社での勤務は、大勢の利用者の日常を支えている実感が得られる反面、時には制度やルールを無視した理不尽な要求に晒され、対応に困惑することもあるようです。

今回は、『定期券窓口での忘れられない不当な要求』と、その出来事を通して得た大切な学びについてのエピソードをご紹介します。

閉店間際、窓口に現れた男性の「不可解な要求」

ある日の営業終了30分前、1人の男性が定期券の購入申込書を手にして窓口へやって来ました。

案内通りに乗車区間や利用開始日の確認を済ませ、発券手続きを進行。代金の受領と領収書の発行を終えた直後、その男性は平然とした口調でこう言い放ったのです。

「定期券の領収書ちょうだい。そしたら払い戻して」

思わず耳を疑いました。鉄道会社の規約上、払い戻しを行う際には発行済みの領収書も必ず回収しなければなりません。

仮に領収書だけが手元に残ってしまえば、実際には支払っていない代金を「購入した証明」として不正に利用されるリスクが生じるからです。

「お客様、そのようなご対応はできかねます。払い戻しの際は領収書も回収させていただきます」

と丁寧にご説明したものの、男性は引く様子を見せません。

「他の駅では対応してくれた」「少しくらい融通を利かせたらどうだ」と、次第に怒鳴り声を上げ始めました。

緊迫する現場。沈黙を破ったのは「第三者の声」だった

閉める時間が刻一刻と迫り、男性の後ろには他のお客様の列もできています。出口の見えないやり取りに心が折れかけていたその時でした。

「駅員さん困ってるでしょ。ルール違反なことを強要するのはやめなよ」

後方に並んでいた若い男性客が、毅然とした声で助け舟を出してくれたのです。一瞬で窓口の空気が張り詰めました。

その客は、毅然とした態度で「それは不正に繋がる行為だ」と指摘しました。駅員という立場上、お客様に対して強く踏み込んだ表現を控えていた私に代わり、ルールの大切さを代弁してくれた瞬間でした。

周囲の視線も集まる中、分が悪いと悟ったのか、男性は定期券を購入することなく、足早に立ち去っていきました。

「できない」と言う勇気は、誠実さの裏返し

この経験を通じて学んだのは、「正しい知識こそが、自分とお客様の公平性を守る鎧になる」ということです。「前はできた」「他ではやってくれた」という言葉に惑わされず、ルールを堅持できたのは、それが公共交通機関としての信頼を守るために不可欠だと理解していたからです。

現在、後輩たちにこう伝えています。 「お客様のご要望に添えないことと、あなたのサービスが悪いことは別問題である」と。

誠実にルールを運用していれば、必ず見てくれている人がいます。あの日、名乗らずに去っていったあのお客様への感謝を胸に、今日も「毅然とした、しかし温かい対応」を心がけて窓口に立ち続けています。


ライター:どこかの駅員

新卒から鉄道会社に勤務し、現在もどこかの駅で働いています。改札対応やホームでの安全確認、お忘れ物対応など、日々多くのお客さまと接する中で、クレーム対応やお酒を召されたお客さまへの対応など、現場ならではの出来事や気づきを数多く経験してきました。
業務を通して培った「相手の立場を想像する視点」や「瞬時に物事を判断する力」を活かし、普段駅を利用しているだけではわからない、現場の裏側や判断の背景を、臨場感のある文章で伝えられるように心がけています。
実体験に基づいたリアルさと、読みやすさのバランスを大切にしながら、共感や納得につながる記事をお届けします!


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ