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安室奈美恵の“後ろ”で踊っていた4人…同じ寮で暮らした【沖縄出身の4人組】最初の1曲

  • 2026.11.3
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1998年3月、コーセーのCMキャラクターに決まったMAX(C)SANKEI

テレビをつけると、画面の真ん中にはいつも圧倒的な歌姫がいた。マイクを握る安室奈美恵と、その後ろで一糸乱れず踊る4人の女性たち。90年代半ば、歌番組には決まってこの構図が映っていた。フロアを揺らす打ち込みのビートが、家のテレビからも当たり前に鳴り響いていた頃だ。

「安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S」。歌姫の名に続くその看板の中で踊っていたのが、MAXとしてもシングルを出していたNANA、MINA、REINA、LINAである。

1996年秋、4人は歌姫の後ろを離れ、MAX一本になって最初のシングルを放つ。通算5枚目の『GET MY LOVE!』。ユーロビート期の1曲で済ませるには惜しい、自分たちの名前だけで立った新しい一歩がこの曲だった。

MAX『GET MY LOVE!』(日本語詞:えびね遊子/作曲:SYRUPS)ーー1996年10月9日発売

同じ屋根の下から見つめた歌姫の背中

4人は全員が沖縄アクターズスクール出身。安室奈美恵と同じ寮で寝起きし、REINAは安室と中学の同級生でもあった。

同じ屋根の下で暮らした仲間の背中を、ステージでは一番近い場所から見つめる。それは客席から憧れを向ける距離とはまるで違う体験だった。

MAXという活動も、もとは企画として始まったものだ。企画で終わらずに名前が残り、シングルが重なっていった。機械が刻む正確なビートに、生身の体がどこまで食らいつけるか。ユーロビートを踊るとは、その勝負をステージのたびに繰り返すことだ。沖縄で培った踊りの土台は、歌姫の後ろでも、自分たちの名前の下でも、等しく4人を支えていた。

ガムを愛に持ち替えて真ん中へ出る

1996年9月1日、千葉マリンスタジアムでのツアー最終公演を区切りに、「安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S」としての活動は休止した。それから約5週間後、10月9日に出たのがこの曲だ。

後ろで踊る役目は、真ん中の歌を引き立てるために自分を消すことでもある。並行してMAXのシングルを重ねてきた4人が、中央が空いた秋から、自分たちの名前の活動だけに軸足を移した。

原曲はイタリア産ユーロビート、DOLLY POPの『TAKE MY GUM』。日本語カバーにあたり、題名は『GET MY LOVE!』に置き換えられた。口に出すと響きの形はそのままに、軽いガムが重たい愛へ持ち替えられているのが鮮烈だ。

ユーロビートは本来クラブの音楽で、歌い手の顔より先にビートの推進力が届く。だが、そこに4人の声と振りが乗ると、海の向こうの曲は沖縄から出てきた4人の曲として鳴り始める。借りた曲の題名を塗り替える作業は、誰かの後ろを離れて歩き出した4人の秋と重なり合っていた。

揃える踊りから見せる表情へ

この曲は、ユーロビートのカバーで重ねてきたシングル三部作を締めくくる1枚でもある。MINAはのちに、社長が物事を三つで区切るのを好んでいたと明かしている。

区切りの線を引いたのは作り手側だったが、その枠の中で起きた変化はンバーの言葉に残っている。NANAはユーロの中でこの曲がいちばん好きだと語り、自信がついたことで表情にも出てきたと振り返る。

後ろで踊るときに求められるのは、全員の動きを一つに合わせる規律だ。だが前列に立てば、顔が見られる。息の上がる速いビートの中で、振りを追うだけでなく表情まで自分のものにした。後ろの4人が、ここで前の4人へ変わった。

いま聴き直しても、ここにあるのは完成された余裕より、独り立ちしたばかりの剥き出しの勢いだ。手探りのまま全力で踏み込んだ秋の熱が、速いテンポの中に閉じ込められている。

借りた曲で見つけた自分たちの流儀

同年12月11日には、この曲を収めたアルバム『MAXIMUM』が出る。そして1997年4月9日、『Give me a Shake』が4人にとって初の日本語オリジナル曲として届いた。その詞を手がけたのも、『GET MY LOVE!』の日本語詞を担当したえびね遊子だった。借りた曲に日本語を載せた書き手が、そのまま4人のための言葉を書く側へ回ったことになる。

2025年、MAXは30周年のツアーを回り、27年ぶりに沖縄で自分たちのライブを開いた。MINAは4人で歌って踊ればどんな曲もMAXの色になると語っている。

イタリア生まれの曲を、題名ごと自分たちの色に塗り直した1996年の秋。MINAの言葉には、あの季節に掴んだ流儀が30年分の芯として生きている。後ろで踊る時間を知る4人だからこそ、借りた曲の中にも自分たちの立ち位置を見出せた。『GET MY LOVE!』は、その場所がはっきり形になった1枚として、今こそ聴き直したい。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

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