1. トップ
  2. エピソード
  3. 「なんでこの人を面会させたの!?」90代患者の面会を通すと、病棟の空気が一変…娘が放った“怒りのワケ”

「なんでこの人を面会させたの!?」90代患者の面会を通すと、病棟の空気が一変…娘が放った“怒りのワケ”

  • 2026.10.18
undefined
出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは、病棟看護師もなです。

病院には、患者さんのご家族だけでなく、親戚や友人など、さまざまな人が面会に訪れます。

ある日、90歳代で寝たきりの患者さんのもとへ、親戚の方が面会に来られました。

面会者の名前と時間を確認し、いつも通り面会していただきました。

ところが、その後に来られた娘さんから、思いもよらない言葉をかけられたのです。

病棟の空気が一気に変わりました。

面会に来た親戚と、娘さんの間に何があったのでしょうか。

「誰でも面会させるんですか?」

その日の面会は、特に問題なく終わったように見えていました。

親戚の方が面会に来られた際も、名前と面会時間を確認し、記録を残しています。

患者さんの状態を確認したうえで、面会していただきました。

ところが、その後に娘さんが詰所へ来られました。

表情は明らかに険しく、スタッフの前で、

「なんで面会させたんですか!ここの面会のシステムはどうなっているんですか?誰でも面会させるんですか!」

と強い口調で話されました。

私は一瞬、何か病棟側の確認に問題があったのかと思いました。

その患者さんは、自分で意思を伝えることが難しい状態でした。

だからこそ、家族がなぜそこまで強く反応しているのか、すぐには分かりませんでした。

---この方を面会させてはいけない理由が、何かあったのだろうか---

そう思いながら、娘さんの話を聞くことにしました。

病院が知らなかった「面会してほしくない人」

話を聞いていくと、病棟では把握していなかった事情がありました。

娘さんには、その親戚とは家族間の事情から、患者さんと会わせたくないという思いがあったのです。

しかし、それまで病院には、特定の方について「面会を控えてほしい」という申し出はありませんでした。
そのため、病棟スタッフは、その親戚の方に面会してほしくないという事情を知りませんでした。

私はそこで、最初の強い言葉だけを見るのではなく、病院がまだ知らない事情があるのではないか。と考えることが大切だと感じました。

娘さんから事情を伺い、今後の面会について希望を確認しました。

それまで病院が持っていた情報と、ご家族が知っていた情報には、大きな差があったのです。

強い言葉の奥にあった「伝えられていなかった事情」

この出来事で印象に残ったのは、娘さんのクレームの強さではありません。

病院からすると「問題なく面会した親戚」でも、ご家族にとっては「会わせたくない相手」だった。その違いは、病院側には見えていませんでした。

もし最初の言葉だけを聞いて、「なぜそんなに怒っているのだろう」と考えて終わっていたら、家族が抱えていた事情を知ることはできなかったと思います。

それ以来、強い言葉を受けたときほど、言葉そのものだけで判断しないよう意識しています。

病院側が家族の事情をすべて把握することはできません。だからこそ、ご家族にしか分からない希望や事情がある場合は、できるだけ早めに伝えてもらうことも大切です。

お互いが持っている情報が違うとき、すれ違いは起こります。

「なぜそう言っているのだろう」と一歩踏み込んで聞くことが、思いがけない事情を知るきっかけになるのだと感じました。

強い言葉の奥にある「まだ知らない事情」に目を向ける

強い言葉を受けると、つい「どう対応しよう」と考えてしまいます。

けれど、その言葉の背景には、こちらがまだ知らない事情が隠れていることがあります。

すぐに相手を判断するのではなく、「何か理由があるのかもしれない」と立ち止まって話を聞く。その一呼吸が、すれ違いを解くきっかけになるかもしれません。


もな|病棟看護師・看護師ライター

看護師歴7年。急性期・整形外科、地域包括ケア病棟、訪問看護を経験し、現在も看護師として勤務しています。患者さんやご家族との関わりの中で経験した出来事をもとに、日常の小さな気づきや、相手の言葉の背景を考える視点をお届けしています。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ