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「早くしないと私の人生が台無しになる!」銀行窓口で焦る60代女性…『300万円』の出金を巡り、元銀行員が警察への相談を勧めたワケ

  • 2026.10.20
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。くまえり銀行員です。

今日は、高額出金の確認中、応接室を出ようとしたお客様を呼び止めたときの出来事についてお話しします。

手続きの最中、60代の女性が「もう出ても大丈夫ですか」と突然席を立ちました。まだ確認が終わっていなかったため、私は「申し訳ございません。確認中ですのでもうしばらくお待ちください」とお声がけしました。

女性は落ち着かない様子で何度も携帯電話を確認していました。理由を尋ねると、「今日の15時までに現金で頭金300万円を渡さないと、欲しい物件が二番手に渡ってしまう!」と焦った様子で語り始めました。

今回は、高額出金を急ぐお客様の焦りの裏に隠されていた、思いがけない事情と銀行員の対応についてご紹介します。

「早くしないと私の人生が台無しになる」女性が急いでいた理由

高額出金を急ぐだけなら、珍しいことではありません。

しかし、今回の女性は確認が終わるのを待つことを嫌がり、何度も携帯電話を気にしていました。

最近よく話題になる詐欺の被害に遭っているのではないか。私たちの頭に、そんな疑いが浮かびました。

もちろん、この時点で詐欺だと決まったわけではありません。女性にとっては、本当に欲しかった物件を逃したくないという切実な事情がある可能性もあります。

しかし、確認を続けようとすると、女性は強い口調で言いました。

「あなたには関係ないでしょ!」

さらに、「早くしないと私の人生が台無しになる。やっと見つけた物件なのよ!」と、焦りと恐怖が入り交じった言葉を漏らしました。

一見すると、手続きを急いでいるお客様です。けれど、銀行員として私たちは「なぜ、そこまで急いでいるのか」という違和感を無視できませんでした。

そこで、事情を詳しく伺い、Webで調べることにしました。すると、SNSやネット上で悪質な手口として注意喚起されている類似のケースが見つかったのです。

「詐欺だったの?」その日の出金を見送った女性

ただし、Web上の情報だけで詐欺と断定することはできません。そこで私たちは、念のため警察へ相談することをお勧めしました。

すると、女性は「詐欺だったの?」と驚いた様子でした。

女性は、それまで「15時までに300万円を用意しなければ、やっと見つけた物件を他の人に取られてしまう」と信じていたのです。

最終的に、女性はその日の出金を見送ることになりました。

最初は、単に確認を待てず、手続きを急いでいるお客様なのだと思っていました。それが、調べてみると、本人も気づかないまま巧妙な罠に巻き込まれている可能性があったのです。

「まさか、あの焦りの裏にそんな事情があるとは」

私自身、ハッとさせられました。

銀行員が確認を続けるのは、お客様を困らせるためではありません。

「なぜ、そこまで急いでいるのか」という小さな違和感を見逃さず、必要な確認をすることも、銀行員の大切な仕事なのだと改めて感じた出来事でした。


ライター:くまえり銀行員
金融機関の窓口業務に携わり、日々さまざまなお客様対応を経験。忙しい日常の中で起こりがちな銀行手続きの行き違いやトラブルを、窓口の内側から見た視点で、読者に寄り添いながら伝えています。「知らなかった」がトラブルにつながらないよう、銀行で実際に起きた出来事をもとにお届けします。


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