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娘「母の口座を止めて!」ヘルパーに言われるがままお金を渡していた母→銀行で告げられた“事実”に「不幸中の幸い」【元銀行員は見た】

  • 2026.10.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。くまえり銀行員です。
今日は、娘さんから突然「母の口座の取引を止めてほしい」と電話があったときのことをお話しします。

電話に出るなり、娘さんから「母の口座の取引を止めてください」と告げられました。

突然の申し出に、私は一瞬、「何があったのだろう。ご相続の手続きかな?」と身構えました。口座の取引を止めたいというほどですから、何か急いで対応しなければならない事情があるのかもしれません。

ところが、お母さまはご健在でした。

娘さんが口座を止めてほしいと考えた理由を聞いていくと、そこにはお母さまのお金をめぐる、家族の心配が隠れていたのです。

「ヘルパーさんに言われるがまま、お金を渡している」

娘さんからは、「母がヘルパーさんに言われるがまま、お金を渡しているようなんです」と打ち明けられました。

お母さまは身の回りのことをヘルパーさんにお願いしており、買い物もすべて頼んでいるとのこと。日用品や生活費のお金を、言われるがまま渡していることを娘さんは心配していたのです。

「このままでは、母のお金が使われ続けてしまうかもしれない」

そう心配した娘さんは、口座の取引を止めてほしいと考えていました。

ただ、家族からの申し出だけで、お母さまの口座を止めてしまうことはできません。ご本人が自分のお金をどうしたいのかという意思も、大切にしなければならないからです。

そこで私は、お母さまご自身はどうお考えなのか、娘さんに確認しました。

基本的には私が勤める銀行の場合、ご本人からの申し出に基づいて手続きをご案内することになりますが、たとえばキャッシュカードをなくした場合には、第三者からの申し出でも、カードで引き出しができないように喪失の手続きをすることができます。

ただし、その場合はお母さま本人も、そのキャッシュカードを使ってお金を引き出せなくなります。

そのことを説明したところ、まずはキャッシュカードの喪失手続きをすることになりました。

その後の手続きにはご本人の意思確認が必要になること、喪失の届け出を受け付けたことを知らせる書面を郵送すること、止めたキャッシュカードはもう使えないため、再発行にはご本人による手続きが必要になることなども説明しました。

「少しずつ高額になっているとは思っていたけれど……」

後日、娘さんとお母さまのお二人で来店されました。

そこでお母さまご本人から話を聞くと、身の回りのことはほとんどヘルパーさんにお願いしていて、買い物も頼んでいるため、言われた通りの日用品や生活費のお金を渡していたことが分かりました。

「確かに、少しずつ高額になっていくなあとは思っていました。でも、最近は物価も上昇しているので、仕方ないのかなと思って……」

お母さまは、そう話されました。

その言葉を聞いた娘さんは、

「レシートとか領収書とか、見せてもらってないの? おかしいなと思ったんだったら、レシートを見せてくださいって言えばよかったじゃない」

と、少し強い口調でお母さまに話していました。

一方で、話を聞いていくと、お母さまはヘルパーさんにキャッシュカードそのものを渡したり、暗証番号を教えたりはしていませんでした。

それが分かると、娘さんも「キャッシュカードを渡したり、暗証番号を教えたりしなかったことが不幸中の幸いだったね」と安堵し、最後はお二人とも穏やかにお話しされていました。

その後、改めてお母さまのご意向を確認し、最終的にはご本人の意思でキャッシュカードの再発行手続きをされました。

今回のように、家族から「口座を止めてほしい」と相談を受けると、銀行員としても、そのご家族がなぜそこまで心配しているのかを慎重に確認する必要があります。同時に、家族の心配だけで判断するのではなく、口座名義人であるご本人の意思を確認することも欠かせません。

家族だからこそ気づける変化もあります。そして、ご本人に話を聞かなければ分からない事情もあります。お金に関することだからこそ、家族と本人、それぞれの話を聞きながら確認することが大切なのだと感じた出来事でした。


ライター:くまえり銀行員
金融機関の窓口業務に携わり、日々さまざまなお客様対応を経験。忙しい日常の中で起こりがちな銀行手続きの行き違いやトラブルを、窓口の内側から見た視点で、読者に寄り添いながら伝えています。「知らなかった」がトラブルにつながらないよう、銀行で実際に起きた出来事をもとにお届けします。


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