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【ルームツアー】カラーパレットは砂、海、空の色。究極のリラックスをかなえたハンプトンの家

  • 2026.9.29
Joshua McHugh

ある種のインテリアは、見る者の思考を刺激することで、その真価を発揮する。人々は、そのデザインに関心を寄せ、由来や、組み立ての方法を知りたがる。一方でイブ・ロビンソンのスタイリングは、こうではない。彼女の作品を見ると、心が落ち着き、身体もリラックスする。「掘り下げるべきコンセプト」、というより「中を見たくなる招待状」なのだ。それは、「まずは座って。お茶でもどう?」とでも誘われているような感覚に近いだろう。

彼女の愛らしく、生き生きとしたスタイルは、ニューヨーク州イーストハンプトン町、ウェインスコットに昨年完成した家で見ることができる。ここは、ロビンソンが家族と休暇を過ごす別荘だ。シンプルな納屋のように見える建物の設計を手掛けたのは、メリル・スーレ・アーキテクツのジェームズ・メレル。かつてこの敷地にあった1938年築のジャガイモ貯蔵庫へのオマージュをコンセプトのひとつに構想された。

Joshua McHugh

小高い丘に立つ21世紀スタイルの家

イブ・ロビンソン・アソシエーツを1990年に設立したロビンソンには、強みがあった。ハイエンドなプロジェクトを専門に手掛けている夫の会社、シルバーライニングに、施工を担当してもらうことになったのだ。

「私たちは、お互い長く仕事をしてきましたが、一緒に家をつくり上げるのは初めてです」と彼女は言う。夫妻には2人の成人した息子がおり、この家は別荘として建てられた。将来、彼らがそれぞれ家族を持つことを想定し、1人につき2つのベッドルームを備えた1棟を用意。家全体では、7つのベッドルームだ。「21世紀スタイルの家ですね」と設計を担当したメリルは言う。小高い丘に建てられたこの家のエントランスには、中庭がある。「伝統的な建築様式は採用していないし、周囲の風景を意識した形にしているわけでもありません」

ラグジュアリーな雰囲気の裏には、環境への配慮も隠されている。太陽光パネル、地熱を利用した井戸、それからグリーンルーフがカーボンフットプリントを低減しているのだ。

Joshua McHugh

理想的な土地を手に入れられたのは幸運だった。「私たちがここを見つけたのは、コロナが蔓延し始めた頃でした」とロビンソンは振り返る。「本当に特別な場所。開かれた場所を望んでいたのですが、ここは東側のペコニック・ランド・トラストの区域と、西側の農業保護区の間に位置しています。広大な土地が広がっているんです」

ニューヨーク・シティに住む一家は、長年このエリアを訪れており、以前はウォーター・ミルに家を持っていた。「休暇を過ごし、心身を解き放つための場所です」とロビンソン。ウェインスコットに新たに建てた家でも、彼女は、自身が業界で高く評価されてきたアプローチを取ろうと心に決めていた。「私が携わるすべてのプロジェクトはシンプルでラグジュアリー、そしてクリーン」と彼女は言う。「あらゆる空間を活用することを、恐れてはいけません」

<写真>リビングにて、夫のジョシュ・ウィーナーとイブ・ロビンソン

Joshua McHugh

カラースキームは砂や海、そして空

家の建材には、敷地内に立っていたジャガイモ貯蔵庫から回収された木材をベースに、天然のカラマツ材と板型枠コンクリートを使用。貯蔵庫の壁は、中庭をつくる際にも再利用された。ニュートラルカラーと多種多様のテクスチャーを横目に室内に入ると、グレー、ベージュといったやわらかな色に招かれ、それらはやがてブルーやグリーンへと移り変わっていく。カラースキームは、家の周囲に見られる砂や海、空といった要素を意識したが、あからさまに取り入れることはしていない。

<写真>ソファは「ホリー・ハント」、カクテルテーブルとサイドテーブルは「エッグ・コレクティブ」、ラウンジチェアは「アトリエ・パーセル」のものに「Élitis」の張り地を使用。シャンデリアは「リンゼイ・アデルマン」。スタイリングを担当したのは、マーティン・ボーン。

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広々としたオープンスペースには、リビングとキッチンをレイアウト。明るいニュートラルカラー(家全体に敷かれたホワイトウォッシュ加工のオーク材の床を含む)を、黒で引き締めている。

「ブラックもニュートラルカラーのひとつだと考えています。さまざまな色と合うんですよ」とロビンソン。リビングエリアの主役を務める大理石の台座を備えた吊り下げ型の黒い金属製暖炉が、同じ色の屋根と呼応する。

並行する形でキッチンに設置されたアイランドとキャビネットには、黒に染めたアッシュ材を使った。このキッチンの配置により全体の流れが生まれた。

「キッチンに立っていてもリビングの様子がわかるし、会話に入ることもできます。裏庭も、ここから見えるんですよ」

<写真>キャビネットは「ロスリスバーガー」でカスタマイズした。ペンダントランプは「アルテック」、コンロは「ウルフ」。

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草原を見渡すベッドルーム

室内には、石製の天板の縁に逆面取りを施した、非対称の楕円形ダイニングテーブルといったロビンソンがこの家のために手掛けた家具の数々がちりばめられている。マスターベッドルームには、漂白加工を施したホワイトオーク製のベッドが。サイドテーブルを備えたこちらも、ロビンソンの手によるものだ。

<写真>エリアラグ「オーバーランド・シープスキン」がマスターベッドルームのインテリアをまとめ上げる。アームチェアは「ドゥーン」、ドレッサーは「エッグ・コレクティブ」。エンドテーブルは「スタジオ・ピート・ブーン」、ラグは「クロスビー・ストリート・スタジオズ」。

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自身でデザインしていないアイテムに関しては、選び抜いたブランドや作り手から入手した。「リンゼイ・アデルマン」の斑入りの真鍮とガラス製グローブを組み合わせたシャンデリア“ドロップ・システム”をダイニングエリア用に購入。エントランスには、「マシュー・フェアバンク」の真鍮と手吹きガラスの照明を選択した。

<写真>エントランスを彩るカラフルなアート作品はジポラ・フライドによるもの。シャーリング生地を用いたスツールは、「リッラ・スバンペン」、ミラーは「オークル」。

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アートと家具がカラフルなリズムを響かせる

ロビンソンは、素材のコントラストから控えめな、けれど力強いエネルギーを引き出している。これにより、落ち着いた色を多用していても退屈には感じられない。リビングエリアに置いた「ホリー・ハント」のソファでは、小石を思わせる滑らかな質感のレザーとブークレ生地を張り地に採用した。

地下のメディアルームは、カラフルな印象。ライムグリーンのアームチェアや、ミッドナイトブルーのシェニール生地を使った「ホリー・ハント」のセクションソファなどが目をひくが、鮮やかな色調の多くは壁面を彩っている。「私は積極的にアートを取り入れ、色を楽しんでいます」とロビンソン。

洗練されたインテリアのなかで、時折遊び心が顔を出すのも興味深い。玄関ホールに並ぶ3点の「リラ・スヴァンペン」によるシープスキン製スツールは、それぞれ高さと張り地が異なる。「散歩に出かけたキノコ一家」のような佇まいだ。

<写真>メディアルームのソファは、「ホリー・ハント」、アームチェアは「デューン」のものに「ホーランド&シェリー」の張り地を使用。サイドテーブルは「アベニュー・ロード」、オーク製ベンチはカスタムメイド、ラグは「サッコ・カーペット」、アート作品はベティ・メルケンによる。

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それでは、家主一家はどうだろうか。「この家を、とても気に入っています」とロビンソンは微笑む。「毎週、ハンプトンを訪れるようになりました」

<写真>デスクは、ボーエ・モーエセンの“ソボーチェア”に合わせてカスタマイズ。アームチェアとオットマンは、ジャン・リソムが「ラルフ・ピッチ」のためにデザインしたもの。シャンデリアは、ロベルト・リダによる。写真作品は、マリー・エレン・バートレイ、ベースはソフィー・クック。

Original Text: TED LOOS Translation: CHISATO YAMASHITA

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