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「好みのタイプは?」と聞かれるのにうんざり…質問をかわすだけじゃない向き合い方とは

  • 2026.9.28

はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。

秋という季節が深まるにつれて、毎年勝手にセンチメンタルになるあたし。
読者の方々はどうかしら?

夏が過ぎ去ったことを直に肌へ教え込もうとしてくる、少しばかり冷えた空気の意地悪さだったり。天球から去る刻限をだんだんと早めていく、暮れどきの太陽のやたらとやわらかいかげり具合だったり。

そういうメランコリックな何かと触れ合うたびに、世の多くの人が「人肌恋しい」と言う感情って、きっとこうしたものたちから生まれてるのかなぁと思ったりするし。

Sitakke
ライター・満島てる子

それを証するかのように、この草木が色づく季節になると、毎年周囲の色恋も加速的に彩りを増すなぁと、お店で様々なお客様をお相手するなかで、その様子を見ていて思ったりするのですが。

この手のロマンティックな実りが目立つ時期だからこそ、ひるがえってこれは無視できないなぁというお悩みが一件。早速ご紹介させていただきましょう。

読者からのお悩み「どういう人がタイプ?」という話題にうんざり。なんといったらいいかわからなくて…

Sitakke
Sitakke

あんらま。なんと激しめなペンネーム。
「カブロン(Cabrón)」って確か、スペイン語で「クソ野郎」って意味よね?

仲間内で親しみを込めて、呼びかけとして使われることもあるけれど(ゲイ業界で「ブス」が、気心知れた間柄だとあいさつかのように使われるのと似ているのかしらね)、たいていは中指立てるフィンガーサインとともに、きちんと侮蔑表現として用いられるんじゃなかったかしら。

なんだかこの一語だけからも、相談者さんの当座の「イライラ」がいかに激しいか、如実に伝わってくるというか。

まさかとは思いつつも、あなた今もしや怒髪天ついて、不動明王みたいな憤怒の顔つきになってない?大丈夫そ?なんて心配にもなったりするわけですが。

ともあれ「カブロン」さん、まずはお手紙ありがとうございます。

(「したっけラジオ」のリスナーさんでもあるのかしらね?うれしい!きっと森ちゃんも喜ぶわぁ。今後とも、こちらの連載ともども、ご愛顧いただければうれしいです笑)

なるほど、「どういう人がタイプなの?」かぁ。
この手の質問ってすごく複雑というか、言い方・言う/言われる相手の関係性・発されるシチュエーションなどによって様々な意味を帯びるものですよね。

あたしにとって身近な環境を取り上げるなら、ゲイバーではこうしたクエスチョンが飛び交っているのをよく目にするのよ。
その場合も、「どんな人がタイプ?」という言葉に込められているメッセージ性はいろいろ。

友人たちが教えてくれたモヤモヤ

Sitakke

例えば、普段語ることのできないであろう(特にカミングアウトしていない当事者は、そもそも自分が男を好きであることすら日常では言えません)、ときめきやキュンキュンといった、おのれの中にたぎる鮮烈で抑えられない感情。

それを同じセクシュアリティの仲間と素直にシェアして盛り上がり、安全な環境下で自己発露したいという気持ちが垣間見えるときがあったり。

はたまた、カウンターの隣にいる人のことをステキだな、魅力的だなと思っているときに。
その自分の「惹かれ」を変化球で伝え、返答の内容如何によってはアプローチを強めようかという(好きな見た目の特徴、少しでも自分に当てはまってたら「よっしゃ!イケるで!」ってなる的なね)、そんな願望というか欲望というかが、この質問の裏からチラっと顔をのぞかせているシーンに出会うこともあります。

個人的には「君、イイね。かわいい」的なニュアンスを込めて「タイプどんなの?」と質問されるのって、あまり経験がないから少しだけ憧れもあったりするんだけれど。

この方向性でのクエスチョンに忌避感を示す人、あたしの友だちでもいるのよね。

例えば、アセクシャル/アロマンティック(他人に性愛的もしくは恋愛的な感情を抱かないという、性のあり方をしている人のこと。過去の記事でも取り上げています)の当事者の中には、「恋愛の話をすることがそもそもしんどいのに、ましてやその対象に自分がなりかねないなんてキツい」と語る人もいましたし。

別のゲイの友人は「それ以外話すこと無いのかって呆れてしまう。つまんない。めんどくさい」と、この種のアプローチを正面からぶった斬ったりしていました(強烈……笑)。

とりわけこのゲイの友人というのは、はたから見てても界隈で一定の需要がある方。
ありていに言ってしまえば、モテてるのよね。
だからこそ、どうやらいろんな人から言い寄られているらしいというか。何度となく「タイプって…?」と聞かれてきたようなの。

予想なんだけれど、酒場特有の楽しいやり取り、関係性の深まるコミュニケーションが始まり、盛り上がる前に、すぐ相手からこの質問されちゃうんだろうね。
そりゃ辟易としちゃうだろうなぁ。

「カブロン」さんも、あたしの友だちと似たような意味でモヤモヤしていたりするのかしら。
そう思うとなんだかあなたのお悩み、遠いものではないような気がしてなりません。

あたしなりのAnswer

Sitakke

さて、「カブロン」さん。
お手紙の書きようからして、どうやらあなたはすでに目下の「どんな人タイプ?」という質問を回避すべく、種々の努力をなさっているみたいね。

だとすれば、あたしから「こうやってかわしてみたら?」とかって、追加の提案をするのはちょっと野暮。
「そんなのもうやっとるわい!」ってなりそうだもの。

それよりはむしろ、あえて「「どういう人がタイプなの?」を語り合うのがとてもいや」だという、あなたのその心情の根っこに、不躾とは存じますが少しばかり立ち入らせていただいて、一緒に事を芯から見つめ直してみたいのよね。

ここからはそんな方向性で、あなたへのアンサーを以下綴らせていただこうと思います。

それでなんだけど。
今回あたし、いただいたお手紙のなかにひとつ、気になる文言があったの。
それは、タイプに関する質問を嫌う理由について、「何と言っていいかわからず言えない」というのがある、と書かれていたところ。

「この関係性・このコミュニティでは言いたくない」という理由(こちら、めちゃくちゃ共感したわぁ)よりも先に、これがあがってくるのって、なんか興味深い。
興味深いというか、実はちょっと「カブロン」さんのこと、心配。

なぜって、もしやあなた。
「好き」を語ろうとしている自分というか、他者との間の壁を一枚退けようとしている自分(あるいは相手)の存在に気づいたときに。
その行為に対して怯みや恐れを覚え、口をつぐんでしまうタイプなんじゃないかしら?

なんなら、もしかして。
手紙から漏れ出ている怒りから察するに。
あなた、自己発露の機会があったとして、そのタイミングで「ばーか、この世は戦争だ!油断してんじゃねーぞ!」と、それこそ自分に対して中指を立て、おのれの鎧をどうしても脱げないタイプなんじゃないかしら?
どう?

あたしの想定がもし、たがわなかったとするならば。
思うに「カブロン」さんが着手すべきは、他人からの「タイプは?」という質問をかわす方法を探すことだけではないと思うのよ。

そう、あなたにとってより大切なのは、自身にフィンガーサインを向けちゃう癖から卒業すること。
そして、湧き上がってくる自分の感情を怖がらず、その時々で手放しにしかと味わい、表に出す(ときに言葉に出す)…そのための練習をいろんなかたちですること。
これだと思うんです。

こころの「開示の回路」を整える

Sitakke
お花シリーズ「ケイトウ」赤紫の花言葉は「色あせぬ恋」オレンジは「勇気・希望」

やることは単純でいいと思います。

おいしい、かぐわしい、うるわしい。
そんな明るい方へとこころが動かされる経験を、ひとりでも、もちろん誰かとも(誰かに対してというのも合わせて)、どんなに小さなレベルでもいいから重ねていきましょう。

重ねるたびに、言葉にもしてみてください。
「うまい!」「いいにおい」「君のそういうところ、ステキ」など。

口に出すのが億劫なら、どこかに書き留めるでもいい(あたし実はこれ、時々やってんのよ)。

気恥ずかしいかもしれないけれど、あえて言語化する。

それによって、あなたのこころに「開示の回路」とでも呼ぶべきものが、だんだんと刻まれて整っていくはず。
ゆくゆくは、自分の好みの人に関する話も、以前より気兼ねなくできるようになっていくんじゃないかしら。

感情というのは思わず生まれて出てしまうもの。要は、突然現れた自分の分身みたいな存在ですよね。
だからこそ、惹かれるタイプやハマってる対象についての「好き」の気持ちって、公にさらすのはすごく怖い。それを否定されたら、自分に傷が残ってしまうも同然だし。

だけれどそこで、「ダセえことすんな、自分」とおのれにブーイングすることで出てきた感情を隠し、気持ちにフタをしたり。
そのフタを開けようとする相手を警戒し、遠ざけようと苦労するというのは詮なきこと。

むしろ、相手にも自分にも中指を向けずに、鎧を脱いであえて生身を見せる。
それによって、あなたの抱える目下のイライラもいくぶんか晴れて、だんだんとこころがクリアになっていくんじゃないかなぁ。

なんなら、気軽にタイプについて話せる関係性の人やコミュニティというのも、そうすることで見つかりやすくなるのではと、あたしは本気でそう思っています。

「カブロン」さん、自分をクソ野郎呼ばわりするのは、もうこれで終わりにしましょう。
自他どちらにも「ケビエン」(¡Qué bien! 、「イイね!」の意)と、あったかい言葉を投げかけられる人にあなたがなる日を、西創成の地からこれからも心待ちにしていますね!

ま・と・め

というわけで今回は、タイプについて話す、という話題であれこれ書かせていただきました。

実り多き秋の季節。
恋の話題も多くなってきそうだけれど、恐れず自分を素直に開示するということに、適切な仕方でやぶさかでない、そんな人になっていきたいものですよね。

ではでは今日はこの辺で。
また次回!Sitakkeね~!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部あい
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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