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「現金のままより節税になる」“1億円の賃貸マンション”を購入した65歳父→後日、税理士から告げられた一言に“愕然としたワケ”

  • 2026.11.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!税理士・元国税調査官の神崎遊です。

家族に1億円の遺産を残すとしたら「現金」と「賃貸マンション」ならどちらが節税になると思いますか。

答えは「賃貸マンション」です。ところが、賃貸マンションを活用した節税方法をめぐる状況が来年から一変する見込みです。

今回は、相続の現場で起きている“変化”を知らぬまま賃貸マンションを購入し後悔した男性のエピソードを紹介します。

相続対策は問題ない「そう思っていた」

65歳の男性Gさんは以前、相続対策には「現金のままより賃貸不動産を残したほうが節税になる」と知り合いの税理士から聞いていました。しかし、そのときは「まだ、相続を意識する年齢じゃない」と気に留めていなかったそうです。

ところが今年、癌が見つかったことをきっかけに、今後の資産承継について考えるようになりました。

「元気なうちに準備しておこう」

相続人は一人息子のみ。Gさんの遺産は現預金で1億円。この1億円を使い、一棟の賃貸マンションを購入しました。

賃貸不動産で節税はもう遅い?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「賃貸マンションを購入したから節税になったはず」

Gさんはそう考えていました。自分が亡くなった後に備えて税理士に相談したところ、Gさんは自分の考えが間違っているかもしれないと気づきます。

「実は国税庁の通達案では、2027年1月以降の相続から一定の賃貸不動産の評価方法が変わる予定なんです。これまでのような節税効果は期待できなくなりそうです」

税理士からの一言で愕然とするGさん。

「え…そんな。かなり節税できたと思ったのに」

そもそも、賃貸不動産が節税になる仕組みとは?

相続税では、財産の価値を一定のルールに従って評価します。現金1億円なら、相続税上の評価額も原則1億円です。

一方、不動産は購入した金額をそのまま相続税評価額にするわけではありません。土地は路線価など、建物は固定資産税評価額を基準にするため、実際の売買価額より相続税評価額は通常、低くなります。

さらに、その不動産を人に貸している場合は、所有者が自由に使えない部分があることを考慮して、土地や建物の評価額をさらに下げることができます。

そのため、現金を賃貸不動産に替えることで、相続税を計算するときの財産評価額を圧縮できるケースがあるのです。

なぜ節税が難しくなりそうなのか

「令和8年度税制改正大綱を踏まえた国税庁の通達案では、2027年1月以降の相続からは、相続開始前5年以内に取得した一定の貸付用不動産は、原則、通常の取引価額で評価する方針なんです」

ただし、一定の場合は、取得価額に地価の変動や建物の減価などを反映した金額の80%で評価できる予定です。そのため、5年以内に取得した賃貸マンションであっても節税効果がまったくないわけではありません。通達案は意見募集を経て正式に決まるもので、細かな要件が変わる可能性もあります。

今回、この物件を従来の評価方法で計算すると約6,000万円となる想定でした。一方、通達案どおりの新たなルールが適用された場合は約8,000万円となり、その差は2,000万円です。

相続税の試算では、相続税は約310万円から約680万円になり、約370万円も税金が増える結果になりました。

しかも相続税は、原則として亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に、現金で納めます。Gさんは現預金のほぼすべてをマンションに替えたため、このままでは息子さんが680万円の納税資金を家賃収入や物件の売却で用意しなければなりません。

「う〜ん、そんなに違ってくるんですね」と肩を落とすGさん。

なお、現行制度でも、相続直前の不動産取得など個別の事情によっては、通常の評価方法が認められない場合があります。

相続は最新の制度まで押さえる

税制改正があることを知ってショックを受けた様子のGさんでしたが、新しいルールの対象は、亡くなる前5年以内に取得した物件です。購入から5年を過ぎれば、従来の評価方法に戻ります。それを聞いたGさんは「こうなったら長生きするしかないですね!」と、闘病中とは思えないエネルギッシュな姿が印象的でした。

税金の制度は毎年のように変わる可能性があります。知らずに相続対策を進めると想定以上の税金を支払うことになりかねません。古い知識のアップデートを常に意識し、計画的に相続対策を進めましょう。


執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。

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