1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 解体事故で“自宅2階の外壁”を破損された50代男性→示談金で500万円を受け取るが…後日、税理士から告げられた“予想外の一言”

解体事故で“自宅2階の外壁”を破損された50代男性→示談金で500万円を受け取るが…後日、税理士から告げられた“予想外の一言”

  • 2026.10.11
undefined
出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

こんにちは!税理士・元国税調査官の神崎遊です。

税金は、さまざまな収入に対してかかります。なかには「これって税金はどうなるの?」と判断に悩むケースも少なくありません。

今回は、隣家の解体工事によって自宅の外壁を破損されてしまった50代の男性会社員Jさんの事例をもとに、「資産の破壊・損害によって受け取った損害賠償金や示談金」の税務上の取り扱いについて解説します。

解体工事の事故で自宅の外壁が破損

ある日、Jさん(50代・男性)の自宅に大きな衝撃と不快な金属音が響きました。

驚いて外に出ると、隣家で解体作業を行っていた業者の重機(アーム部分)が誤ってJさん宅の2階外壁および屋根の一部に激突していたのです。

幸い怪我人はいませんでしたが、外壁には大きな亀裂が入り、修繕が必要な状態となりました。

ピンポーン

現場責任者が謝罪に訪れ、施工業者が加入している損害保険を通じて損害賠償手続きを進めることになりました。

後日、保険会社の査定と工務店の手配により、実際の建物修繕費用として300万円が見積もられました。さらに、事故対応にかかった手間の補償、工事期間中の生活上の不便に対する迷惑料や慰謝料を含めた示談金として、合計500万円が施工会社および保険会社からJさんに支払われることで合意に達しました。

「修理費を超えた200万円」に税金はかかるのか?

Jさん宅の修理費は300万円でしたが、お詫びもかねて500万円を解体業者から受け取りました。

そこで、ふと疑問が浮かびます。

「200万円分は儲けとして税金払わないといけないんだよな」

税金の手続き漏れで後から指摘を受けることを恐れたJさんは、税理士のもとへ相談に訪れました。

結論から言うと、Jさんが受け取った500万円全額について、所得税や住民税などの税金は原則として一切かかりません。

なぜ実際の損害額(修理費)を超えていても非課税になるのか?

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「今回は災難でしたね。ですが、安心してください。今回受け取った500万円は重機事故によって自宅に生じた損害のために支払われた損害賠償金ですよね。こうした資産の損害を補てんするための賠償金には原則、税金はかかりません」

「修理費300万円だったから、200万円多くもらっていますよ?」

所得税法では、心身に加えられた損害や、資産に加えられた損害により取得する損害賠償金(心身または資産につき加えられた損害につき支払を受けるもの)は非課税と定められています(所得税法第9条1項17号、同施行令第30条)。

Jさんの事例において、実費である修繕費300万円はもちろん、上乗せされた200万円についても以下の理由から非課税となります。

  • 突発的な事故などにより自宅などの財産に損害が生じたこと
  • 受け取ったお金が、損害を補てんするためのもの
  • 商品やサービスの対価ではないこと
  • 事業収入などを補てんするためのものではないこと
  • 事業上の経費を補てんするためのものではないこと

Jさんの事例ではこれらの要件に該当し、実際の修繕費を上回る金額を受け取ったとしても、それが「損害賠償」や「慰謝料」の枠組みである限り、利益として確定申告する必要はありません。

「そうなんですね。てっきり税金を支払わないといけないものだと思ってました。」

課税対象になるパターン

ただし、受け取ったお金の名目が「損害賠償金」であっても、以下のようなケースでは課税対象になることがあります。

  • 店舗や賃貸物件など「事業用資産」の損害で、休業補償(得られるはずだった売上の補てん)が含まれる場合:個人事業主が店舗を破壊され、営業できなかった期間の「得られるはずだった利益(事業所得の補てん)」として受け取る損害賠償金は、事業所得の収入金額に算入され課税されます。
  • 損害賠償という名目であっても、実質的に対価性がある場合:本来の取引代金や給与、資産の譲渡対価を「損害賠償」の名目にすり替えているような場合は、実質上の所得とみなされます。

今回のJさんのケースはマイホーム(生活用資産)に対する損害であり、売上や利益の補てんでもないため、全額非課税で問題ありませんでした。

突発的に受け取ったお金は「性質」を考える

突発的な事故や紛争によってまとまったお金(損害賠償金・示談金・慰謝料)を受け取った場合、まずはそのお金が「どのような性質で支払われたものか」を確認することが重要です。

生活用資産の損害に対する補償であれば基本的に税金は発生しませんが、事業が絡む場合や内訳が曖昧な場合は、確定申告前に税理士や税務署へ事前に相談することをおすすめします。


執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ