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自転車に乗ると、下着に血がつく60代女性→「何かの病気だったら怖い」泌尿器科を受診すると…判明した“意外な原因”とは?

  • 2026.11.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「閉経したはずなのに、自転車に乗ると下着に血がついている……」

そう不安に駆られ、婦人科を受診したものの「異常なし」と言われて戸惑っていませんか?実はその出血、子宮や卵巣からではなく、尿道の出口付近に生じる良性のポリープ「尿道カルンクラ」が原因かもしれません。

今回は、尿道カルンクラの症状と適切な治療選択についてお伝えします。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

婦人科では「異常なし」、原因は別のところに

60代のHさんは、自転車に乗ったときなどに、時折下着に血液がつくことが気になっていました。

「何かの病気だったら怖い」と思い、まずは婦人科の健診を受けましたが、子宮や卵巣には特に異常が見当たらないとのことでした。

それでも出血が気になっていたHさんが婦人科の先生にそのことを相談したところ、「尿道の出口あたりが原因かもしれません。泌尿器科で診てもらいましょう」とすすめられ、泌尿器科を受診することになりました。

泌尿器科で診察を受けたところ、尿道の出口の粘膜に、赤みを帯びた7-8ミリのふくらみが見つかりました。「尿道カルンクラ」という病気だと説明を受けたHさんは、初めて聞く病名に戸惑ったといいます。

カルンクラってどんな病気?

尿道カルンクラは、尿道の出口の粘膜にできる、小さなポリープ(いぼ)のようなふくらみです。中高年以降の女性にみられることが多く、閉経後にエストロゲン(女性ホルモンの一種)が減ることで、尿道の周りの粘膜が薄くもろくなることが背景にあると考えられています。下着とこすれたり、自転車のサドルなど何かに触れたりする刺激で、表面から出血しやすいのが特徴です。大きさは数ミリ程度のものが多く、見た目には赤い小さなできもののように見えます。

婦人科で診てもらってもわかりにくいのは、尿道カルンクラができる場所が、腟の入口のすぐそばではあるものの尿道側にあり、婦人科よりも泌尿器科で扱う領域にあたるためです。婦人科の内診では子宮や卵巣を中心にチェックするため、尿道の出口の小さな病変までは見つかりにくいこともあります。下着の血液の原因がはっきりしないときには、婦人科だけでなく泌尿器科も受診先の選択肢に入れておくとよいかもしれません。

多くの場合、カルンクラ自体は良性の病変で、尿道にできる悪性の腫瘍(がん)はまれとされています。小さくて出血や痛みなどの症状がなければ、無理に治療せず経過をみることもよくあります。症状が軽い場合には、軟膏などを使って様子をみる方法がとられることもあります。一方で、出血を繰り返したり、大きくなって気になったりする場合には、手術で切除することもある病気です。切除した組織は病理検査に出すため、悪性疾患ではないことを確実に確認できるメリットもあります。

通常は日帰りで可能な手術、全身麻酔での短期入院を選択

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

尿道カルンクラの手術は、通常は外来で局所麻酔を使って短時間で行う「日帰り手術」が一般的です。Hさんの場合、しばらくは軟膏による処置などで経過をみていましたが、出血が続き気になっていたため、手術で切除してもらうことにしました。基本は外来での局所麻酔手術ですが、Hさんは痛みや手術への不安が非常に強かったため、医師と相談のうえで全身麻酔での手術を選択し、2泊3日の短期入院で受けることになりました。処置の時間自体は短く、体への負担が大きい手術ではないことも、決断の後押しになったようです。

手術は無事に終わり、術後の経過も順調でした。それまで気になっていた下着への出血もなくなり、Hさんは「もう血がつくかどうか気にしなくていいと思うと、気持ちがすっきりしました」と話してくださいました。

婦人科で原因不明の出血は泌尿器科も視野に

閉経後の下着への出血は、子宮や卵巣の病変だけでなく、尿道出口の粘膜がもろくなってポリープ状に腫れる「尿道カルンクラ」が原因となっているケースがあります。

婦人科の定期健診では見落とされやすい位置に生じますが、大半は良性であり、症状に応じて軟膏治療や短時間の日帰り手術、不安が強い場合は短期入院での切除など柔軟な対処が可能です。切除組織の病理検査によって悪性腫瘍でないことを確実に確認できる利点もあります。

婦人科で異常が見つからなくても一人で悩みを抱え込まず、出血が続く際は泌尿器科を受診して原因を特定し、心身の負担を解消していきましょう。


執筆・監修:小内 友紀子
公益財団法人ときわ会常磐病院泌尿器科診療副部長、東京女子医科大学病院泌尿器科講師、医師、医学博士
女性泌尿器科医師として、普段は女性によくある尿もれから、男性の前立腺癌をはじめとする泌尿器科領域の癌診療まで診療しております。
【資格】医師 / 医学博士 / 泌尿器科専門医・指導医 / 透析医学会専門医・指導医 / 排尿機能学会専門医

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