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「急に手足の力が抜ける…」“仕事で疲れているせい”と放置した30代女性→病院を受診したところ…発覚した“意外な病名”とは?

  • 2026.11.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、麻酔科専門医の松岡雄治です。

「仕事で疲れているのかな。休めば治るし様子を見よう」熱いラーメンをふーふーと冷ましているときなどに、急に手足の力が抜けたり、持っている箸を落としたりする違和感を覚えながらもしばらく様子をみていたAさん(30代女性)。

しかし、症状が頻繁に起こるようになり受診したところ、「もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)」と診断されました。一つ間違えると脳出血に至っていたと聞き、ほっとしましたが、「ただの疲れだと油断せず早く受診すればよかった」と今も語ります。

今回は、日常の何気ない動作が引き金となる「もやもや病」が脳の血流に影響を与えるメカニズムについて解説します。

細い異常な血管で血流を補うメカニズム

「いつも少し休めば治るから」と思っている間に、脳の太い血管が徐々に狭くなり、血流が不足してしまうのがこの病気の特徴です。その局所的なメカニズムを整理すると、次のような流れで脳に影響が生じます。

【脳の血流が低下して脱力が起きるフロー】

  • 太い血管の狭窄: 脳へ血液を送る太い幹線血管(内頸動脈)が徐々に狭くなり、不足分を補うために細く脆い異常血管網(もやもや血管)が形成される。
  • 過呼吸による血管収縮: 熱いものを冷ますために何度も息を吸っては吐いてを続けることで過呼吸に近い状態になり、血液中の二酸化炭素濃度が低下して血管が反射的に収縮する。
  • 一時的な血流低下: ギリギリで保たれていた脳の血流が一気に途絶えて手足の脱力やしびれ(一過性脳虚血発作)が起きる。

「ただの疲れ」と「脳からのサイン」の境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「疲れているからだろう」と自分を納得させたくなるお気持ちはよく分かります。

この病気は小児期に啼泣で判明するだけでなく、30〜40代の大人の時期にも発症のピークが存在し、男性に比べ女性の有病率が約2倍高い特徴があります。大人の場合、長年圧力を受け続けた脆いもやもや血管が耐えきれず破裂し、突然の「脳出血」として重篤な症状で発症するケースが約半数を占めます。

「すぐ元に戻ったから大丈夫」と放置することこそが危険な境界線なのです。
一過性の麻痺は脳からの必死の警告であり、知っていれば防げたはずの重篤な脳卒中を未然に回避するための大切な合図なのです。

重症化する前に確認すべき3つのサイン

日常生活に大きな影響が出る前に、ご自身やご家族で確認できる重要なサインをご紹介します。

1. 長く息を吐く動作での脱力

ラーメンを冷ます、風船を膨らませる、楽器を吹く、子どもの激しい泣きなどの際に、片方の手足の力が突然抜ける。

2. 箸やスプーンをぽろりと落とす・言葉が出なくなる

食事中などに一時的に手指が思い通りに動かなくなり、数分で元に戻る。

3. 朝方の強い頭痛や吐き気

特に小児や若い世代で、朝起きた時に繰り返し頭痛や吐き気を覚える。

もしも「手足の脱力やしびれ、ろれつ障害が数分経っても戻らない」「バットで殴られたような激しい頭痛が突然起きた」「嘔吐を繰り返す」「意識がもうろうとしている」といった場合は、一過性の発作ではなく、すでに「脳出血」や「脳梗塞」を発症している超緊急事態です。決して様子を見たり自力で病院へ向かったりせず、直ちに119番通報をして救急車を呼んでください。

手足の脱力や一時的な麻痺に気がついたら

「一時的なものだから大丈夫」と油断してしまうのは決して特別なことではありません。しかし、思い当たる症状がある場合には、下記を参考に速やかに受診しましょう。

  • スマートフォン等で症状が起きた日時や状況(何をしていた時か、何分続いたか)をメモする
  • 「特定の動作の後に力が抜ける」と気づいたら、放置せず速やかに脳神経外科を受診し、MRI(MRA)検査を受ける・脳の血流低下を防ぐため、受診までの間も脱水を避け、息を強く吹き続けるような動作を控える
  • 指定難病(指定難病22)や小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象疾患であるため、継続的な受診への公的支援があることを知っておく

早期に専門医を受診すれば、血流の不足している部分に別の血管をつなぐ「バイパス手術」などによって血流を補い、元通りの生活を守ることも期待できます。大切な日常を守るために、ぜひ早めのご相談を。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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