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綿紡績工場だった場所で、ニットを編む。ロロ・ピアーナ、1990年代以来の新拠点

  • 2026.9.24

ロロ・ピアーナが、イタリア・ピエモンテ州のゲンメにニットウェアの新拠点「ロロ・ピアーナ・ゲンメ」をオープンした。糸から完成品までを1か所で手がける施設で、メゾンにとっては1990年代以降で初めての新しい製造拠点になる。(フロントロウ編集部)

製紙工場、綿紡績工場、そしてニットの拠点へ

新拠点が建つのは、長い歴史を持つ工業用地だ。かつては製紙工場があり、その後1世紀以上にわたって綿紡績工場として動いてきた。ロロ・ピアーナは1987年にこの土地を取得し、織物やニットに使う糸をつくる梳毛紡績工場「フィラトゥーラ・ペッティナータ・ゲンメ」として使ってきた。

ロロ・ピアーナ・ゲンメの外観と給水塔
画像提供:ロロ・ピアーナ

その敷地が、3年の歳月をかけてニットウェアの拠点に生まれ変わった。歴史的な給水塔やかつての管理棟など、旧敷地の一部はそのまま残されている。広さは8,000平方メートル以上。1階が製造施設、2階がオフィスで、教育エリアや「ロロ・ピアーナ・ニット・デザイン賞」の受賞作品を並べた展示スペースも設けた。

糸から完成品までを、一つ屋根の下で

ここで担うのは、糸から完成品に至るフルファッション・ニットの生産サイクル全体だ。工程は研究開発、プログラミングと編み立て、縫製・仕上げ、そして洗浄とアイロンがけ。専用のCADシステムでステッチや服の構造を組み立て、プログラマーが編み機と連携しながらパーツを作っていく。

ロロ・ピアーナ・ゲンメでのニットのプログラミング作業
画像提供:ロロ・ピアーナ

なかでも高い精度が求められるのが、編み地同士をつなぐリンキングだ。各製品は手仕事で仕上げられたあと、熟練の修繕職人の手でさらに整えられる。最後の洗浄とアイロンがけが、ロロ・ピアーナならではの風合いとやわらかさ、そして仕上がりのシルエットを決める。

使われる糸は、カシミヤ、ベビーカシミヤ、ビキューナ、メリノウール、ペコラ・ネラⓇ、ロロ・ピアーナ・ロイヤル・ライトネスⓇなど。今夏にはモンゴルの過酷な冬を越えた赤いヤギのカシミヤの話題もあったが、こうした原料から紡いだ糸が、この工場でニットになる。

化石燃料を使わない、初めての工場

建物は、LEEDゴールド認証の要件に沿って開発された。雨水利用、太陽光パネル、高度なエネルギー管理システムを組み込み、ロロ・ピアーナの製造施設として初めて化石燃料を使わない設計を実現している。

広いガラス面から自然光を取り込み、照明は状況や人の有無に合わせて自動で光量が変わる。ガラス屋根の2本の廊下は自然の「子午線」の役割を果たし、働く人が一日の移ろいを感じられるようにした。オフィスの窓には視界を遮るカーテンを一切付けていない。

ロロ・ピアーナ・ゲンメの開所式
画像提供:ロロ・ピアーナ

300人を雇い、職人を育てる

拠点のもうひとつの役割が、人を育てることだ。今後数年間で約300人を採用し、次世代の職人の育成に投資していく。敷地内の赤い屋根の旧管理棟は全面的にリノベーションされ、2015年に設立された職人育成機関「アカデミア・デイ・メスティエリ」が入った。プログラミング、リンキング、手仕上げ、修繕といった、ニット製作の要となる技術のトレーニングを行なう。

開設を記念して、ロロ・ピアーナは地元自治体とともに、公園や子ども向けの遊具エリアを含む公共スペースの再生も支援する。100年の歴史をもつメゾンが、ニットの根っこをもう一度この土地に下ろした格好だ。

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