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自己紹介で泣いてしまう子が堂々と発表できるようになったたった一つの理由

  • 2026.9.23

お子さんは、初めて会う人たちの前で、堂々と自分の考えを発表できますか。家では元気な子でも、幼稚園や保育園、学校などの大勢の場になると恥ずかしがってしまう子が多いと思います。ですが、自分の考えを臆せず言えるようになってほしいと思うのは、親御さんの願いではないでしょうか。こんにちは、まーやです。私は12年間元小学校教員として、現在は偏差値70台の5歳の娘の母として、幼児期の賢さの土台づくりを発信しています。人前で堂々と話す力は、これから先も求められる力です。発表できるようになるという表面的な話ではなく、子どもの人生そのものを豊かにしてくれると考えています。では、発表できるようになるために、大勢の前でスピーチさせる練習をすれば良いのでしょうか。もちろん技術的に必要ではありますが、ご家庭でできるアプローチは別のところにありそうです。今回は、夏休みに参加させていただいた、兵庫県での先生方や保護者の方の勉強会を通して見えてきた、お子さんが人前で堂々と発表できるようになるために家庭でできるアプローチについて書きます。※本記事の写真および、名前の表記につきましては、全て掲載の許可をいただいております。

<名前さえ言えなかったわが子>

「1年生のときは、自分の名前を言うことさえ恥ずかしくて、泣いてしまうような子だったんです」と話してくれたのは小学2年生の三谷紬さんのお母様。この日は、中播磨の有志の先生方でつくる「生きる力を育む授業研究会」による研修会が行われていました。その中の一環で、兵庫県の小中学生が、元小学校教師で教育実践研究家の菊池省三先生による特別授業へ参加。菊池先生は学級崩壊したクラスを立て直す授業などで注目され、現在は複数の自治体で教育アドバイザーとして務めています。特別授業では「アンパンマン」が取り上げられていました。「アンパンマンとばいきんまんは友達か」という問いに対して「注意するほど仲が良いから友達だ」「アンパンマンはばいきんまんに手加減している(最後までやっつけない)。」と賛成派の意見や「けんかして仲直りするわけじゃないから仲が悪い。」「ばいきんまんが悪さをして、毎回アンパンマンがやっつけてるから、友達ではない。」と反対派の意見の交流が行われました。相手の発言を聞いた上で考えを発表した子や、中学2年生が小学1年生に自ら接しに行く姿に、聞くことの大切さや「優しさ」という行動への価値付けを行う菊池先生。言葉と行動で伝えることで、初めて会う人とも学び合えることの楽しさを、子どもたちも実感できた1時間となっていました。

菊池省三先生による異学年の子どもたちへの授業の様子

授業の終盤。「やめるんだ、ばいきんまん」というアンパンマンのセリフを提示し、菊池先生はばいきんまんという存在ではなく、いたずらという行為に対して注意しているとして、「注意できる優しい友達との関係を学校でも作ってほしい」という願いを伝え授業を締めくくりました。授業の最後には振り返りを発表する時間に。小学1年生から中学2年生、異学年で初めて出会う子も多い26名の子どもたち。横には保護者の方、後ろには大勢の先生方がいます。大人でさえ発表するのは緊張する状況。上級生の子が数名発表したあと、一人の女の子が手を挙げました。小学2年生の三谷紬さんです。授業中も、先生や友達が発言している時は、しっかりと顔を見つめ、話を聞いている姿が印象的でした。「感想は二つあります。一つ目は、注意をする優しさが良かったと思ったので、私もやってみようと思いました。二つ目は、私もいっぱい友達を作りたいです。」2年生とは思えない堂々とした姿を見ながら、紬さんのお母様が1年生の頃の姿を教えてくれたのでした。

<もともと発表する子ではなかった>

自己紹介ですら、恥ずかしくて泣いてしまう子だったという紬さん。2年生になり、自信をもって発表できるようになったといいます。「やってみたいと本人が言うことは、なるべくやらせたいと思い、育ててきました。2年生になってから、クラスの啓発ポスターを本人が作りたいと言うので、応援してきました。」と本人のやりたい気持ちを大切にされていた紬さんのお母様。そこには、徹底して子どもの気持ちに寄り添う温かさがありました。家庭が安心できる居場所だからこそ、子どもは家庭で充電をして、学校で頑張ることができます。ただ、それだけで紬さんが発表できるようになったとは考えられません。担任の岡佑樹先生にも話を伺ってみました。「最初は大人しい印象でした。ある時、クラスで啓発ポスターを作ってくれる人を募集したら、紬さんがたくさん作ってくれたんですよね。彼女にとって、自信になるきっかけだったと思います。そこからどんどん積極的な姿が見られるようになりました。」と岡先生。そんな岡先生は、今年から子どもたちへの在り方を変えたとのこと。「今までは、子どもたちにこうなってほしいという思いが強かったんです。でも、それでは子どもの声を聞いているつもりで聞いていないことになってしまうのではないかと思いました。だから、子どもたちのこうしたい、こうなりたいという思いを大切に、その芽が出てくる瞬間を待つようにした んです。」

紬さん(中央)とお母様(左)と担任の岡先生(右)

<共通する3つの視点とは>

「授業がすごく楽しい」学校生活で楽しいところ、紬さんは生き生きとこう答えました。彼女が目を輝かせ学校生活を送るようになったのは、家庭と学校が同じ方向を向いていたからではないでしょうか。岡先生と紬さんのお母様の話に共通するところは3つありました。一つ目は、導こうとするのをやめて、見守る勇気をもったことです。私たち大人は、子どもに成長してほしくて、つい先回りをして枠に当てはめてしまいがちです。もちろん、教えるべきことは教えたり、ダメなことを伝えることも大切です。その上で、子どもの内側から湧き出る意欲が出てくるのをじっと待つ、という引き算の関わりが見事でした。二つ目は、本人の「やりたい気持ち」に価値付けをしていたことです。結果や能力ではなく、本人のやってみたい気持ち、挑戦したい気持ちを受け止め、応援し、承認しています。気持ちを尊重され、誰かの役に立った(今回でいえば自分の作ったポスターがクラスの役に立った)という経験が自信に大きくつながったのでしょう。だからこそ、自分の気持ちを出しても安全だと分かり、堂々と発表するまでに成長したのだと思います。三つ目は、評価者ではなく、伴走者に徹したことです。大人はつい、評価する存在になりがちです。評価されてばかりいると、特に失敗を恐れる子は心を閉ざしてしまいます。しかし、お母様が家庭という安心できる充電基地があり、担任の先生が子どもの声を聴こうとする姿勢の両方が、圧倒的な安心感に繋がったと考えます。その上で、菊池先生の「考えはみんな違ってみんないいんだよ」という全体の場で発表することへの安心感の土台作りがあって、知らない人が大勢いる場でも、勇気を出して自分の意見を言うことにつながったのでしょう。

<発表できる土台は安心感>

授業中、周りに臆せず積極的に意見を述べる女の子がいました。大人でも目を見張るほどでした。同じく小学2年生の久後那奈さんです。那奈さんのお父様ご自身も園の先生をされており、お話がとても印象的でした。その園では、子どもたちが輪になって互いの気持ちや考えを語り合う「サークルタイム」を取り入れているとのこと。お父様は、菊池先生の授業を振り返り、こう語ってくださいました。「小学校でも、このように子ども同士がお互いの考えを伝え合い、互いを尊重し合える授業が行われているのは本当に素晴らしいと感じました。幼児期から小学校へと引き継がれる中で、こうして『対話』を大切にする軸(幼小連携)がブレずに繋がっていけば、子どもたちはもっと自分らしく、本来持っている力を発揮できるようになるのではないでしょうか。」子どもが自分の考えを堂々と発表できるようになる背景には、家庭での「安心感」、園や学校での「対話の土台」、そして大人が子どもを信頼して「待つ姿勢」という、すべてが円のようにつながっていると感じました。

自分の考えを堂々と発表する久後那奈さん

<家庭で今日からできる「たった一つのこと」>

「発表できるようになるために、家庭でできるアプローチ」その答えは、大勢の前で話す練習をさせることではありませんでした。子どもの「やりたい」「こう思う」という小さな声(芽)を否定せずに待つこと家庭を、どんな自分を出しても大丈夫な絶対的な安全基地にすること子どもは、自分の存在や考えが認められたという「安心感のコップ」が満たされたとき、初めて自分の足で立ち、外の世界に向かって自分の言葉を発する勇気をもつのだと改めて実感しました。幼児期に育まれた伝える楽しさの種が、家庭の温かな水やりで根を張り、小学校という社会で大きな花を咲かせられるよう、私たち大人は型にはめ過ぎようとせず、温かい眼差しで子どもの成長を見守る存在でいたいですね。

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Instagram:まーや(@ma_ya.chiiku)

note:まーや|賢い子の育て方

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