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障害の前で止まる馬を【臆病】と決めつけた同僚→鞍を外した後に何度も謝ったワケ

  • 2026.9.23

職場の同僚が、障害を拒む馬を臆病だと決めつけた後、鞍の下に隠れた原因へ気づいた話です。

いつも同じ障害で止まる馬

これは、私の職場の同僚から聞いた話です。30代の同僚は、休日に乗馬クラブへ通っていました。練習馬の一頭は穏やかでしたが、青い横木の障害へ近づくと、決まって直前で止まります。

同僚は「この馬は臆病だから」と考え、脚で強く合図し、勢いをつけて越えさせようとしました。それでも馬は耳を伏せ、首を振ります。

指導員から別の馬へ替える案も出ましたが、同僚は自分の指示が弱いせいだと思い、もう一度乗せてほしいと頼みました。

清掃係が止めた3回目

3回目の挑戦へ向かおうとした時、馬房の清掃をしていた女性がコースへ入り、「一度、鞍を外しませんか」と声をかけました。

同僚は練習を中断されたことに戸惑います。女性は、横木ではなく右側へ曲がる時だけ馬の背中が沈むのを見ていたそうです。

鞍を外すと、下の布が一部折れ、その内側に小さな金具が挟まっていました。指導員が確認すると、馬が動くたび背中へ当たる位置でした。

青い横木を越えた一歩

同僚は「怖がっているのではなく、痛かったのかもしれない」と気づき、何度も謝りました。その日は障害を跳ばず、馬を歩かせて状態を確認します。馬も静かに歩きました。

帰り際も、馬房の前からなかなか離れられず、何度も振り返りました。

後日、用具を整えて指導員の許可を得てから、同じ馬で青い横木へ向かいました。馬は一度耳を動かしたものの、止まらずに小さな障害を越えます。

着地した瞬間、同僚は手綱を引かず、首をなでました。コースの外では、清掃の女性がほうきを持ったままうなずいていました。

言葉を話さない相手の返事

清掃の女性は長年、馬の世話を担当し、歩き方や背中の動きを毎日見ている人でした。同僚は、自分が乗る時間より長く馬を見ている人の一言を、役割だけで軽く考えていたと反省します。

現在は乗る前に鞍や布を確認し、馬が止まった時も、すぐ性格のせいにしません。

仕事でも相手の反応が鈍いと感じたら、意欲を疑う前に、何か困っていないかを確かめます。止まることも、言葉を話さない相手からの返事でした。

【体験者:30代・女性、回答時期:2026年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:タニグチ
小学1年から水泳、4年から野球に打ち込み、大学卒業まで十数年をグラウンドで過ごしてきた30代。高校では主将を務め、大学では神宮の舞台にも立った。引退後は中学硬式(シニア)の指導者も経験し、「する」「観る」「教える」すべての視点でスポーツと向き合ってきた。その中で、勝敗の記録には残らない人間関係や、試合の裏側で起こる思わぬドラマに強く惹かれるように。チームメイトや教え子、友人・知人から聞いたリアルなエピソードを中心に取材し、執筆している。

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