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『秋の隕石 2026 東京』世界基準の舞台作品に触れられる! あらゆる人に開かれたフェスティバル

  • 2026.9.24

演劇ジャーナリスト・伊達なつめさんのおすすめ作品をご紹介。今回は、舞台芸術祭『秋の隕石 2026 東京』をピックアップ。


奥深く独創的で先進的。芸術に身をゆだねる秋

フェスティバルで楽しいのは、まずその名の通り、お祭り気分が味わえること。劇場の周囲でも無料のパフォーマンスやイベントが行われ、いろんなブースも出たりして、通りかかった誰もが足を止めたくなるような賑わいが醸成される。昨年から岡田利規が中心となって開催している『秋の隕石』という舞台芸術祭では、健常者も障がいがある人も、日本語話者もそうでない人も、異性愛者も同性愛者も無性愛者もそれ以外の指向者も、元気がある人もない人も、あらゆるシチュエーションにある人に開かれたフェスになることを目指して、プログラムとアクセシビリティに配慮が為されている。看板だけのダイバーシティしぐさとは異なる、世界や日本の多様なリアルに向き合う攻めのラインナップだ。
 
いまドイツ語圏でもっとも注目されている気鋭の演出家クリストファー・リューピングは、ベルリンで絶賛上演中の『渇望』を引っ提げ初来日を果たす。恐怖・差別・性暴力など、地獄のようにネガティブな現実を羅列し前世紀末に28 歳で自死したサラ・ケインの言葉は、30 年近く経った今こそ私たちに刺さるというリューピング。観客とシェアすることを第一に考え、衝撃を希望につなげるまでを演出の責務とする姿勢は信頼すべきものだ。

クリストファー・リューピング 『渇望』サラ・ケイン作 ©Thomas Aurin

演劇界の芥川賞といわれる岸田戯曲賞の今年の受賞者、ダダルズの大石恵美が、その怪物ぶりを白日の下にさらすのも大きな話題。自分の中に燻る感情を独自の言語化で話芸に昇華させるパフォーマンスを、これまでの観客数十人の小空間から、一日約230万人が利用するターミナル駅に隣接する広場に場所を移し披露する。

ダダルズ 野外公演『よだれ観覧車』

江本純子は、世間に増えてきたLGBTQ表象は、所詮マジョリティの異性愛者向けで当事者には響かないことが寂しいと訴える。レズビアンがひととき心から楽しめて、観た後すぐ忘れてしまえるような、消費されるカジュアルなひとり芝居を自作自演する。

ジュンコエモト 『真夜中に寂しくなったときに観たい演劇』via Tokyo Metropolitan Theatre ©Wakana Hikino

能は日本の専売特許とは限らない。その上演形式がユニバーサルに成立することを示すのが、英語話者による英語能『青い月のメンフィス』。なんとシテ(主人公)はエルヴィス・プレスリーだ。瞳や頰など、さまざまな時代のエルヴィスをモンタージュして作成したという能面を鑑賞するだけでも価値がある。

シアター能楽 英語能『⻘い⽉のメンフィス』

岡田利規は、ともに東京芸術劇場の芸術監督をつとめる大人気指揮者の山田和樹と一日限りのパフォーマンスを行う。稀有なコラボなうえに無料!この開かれた、芸術的でやたらエッジィな祭りには参加しなきゃ損だと思う。

岡田利規&山田和樹 東京芸術劇場芸術監督 コラボレーション企画 『静寂のガツンとした⼀撃』

舞台芸術祭 『秋の隕石 2026 東京』
アーティスティック・ディレクター=岡田利規
10月9日(金)~11月3日(火・祝) 東京芸術劇場、GLOBAL RING THEATRE
(問)東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570-010-296

文=伊達なつめ

※InRed2026年10月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
※画像・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください。
※地震や天候などの影響により、イベント内容の変更、開催の延期や中止も予想されます。詳細はお問い合わせ先にご確認ください。

この記事を書いた人

伊達なつめ

演劇ジャーナリスト。演劇、ダンス、ミュージカルなど、国内外のあらゆるパフォーミングアーツを取材し、多数の雑誌・webメディアに寄稿。

X:@NatsumeDate
Website:http://stagecalendarcv19.com
 

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