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放送前から“期待の高かった”8年前ぶり『アンナチュラル』タッグ「やっぱり間違いない」新ドラマにあつまる好評の声

  • 2026.10.21
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石原さとみ(C)SANKEI

人気脚本家・野木亜紀子の最新作の放送が始まった。常に現代社会を鋭く見つめながら、一級の娯楽作品を生み出してきた彼女が今回選んだ題材は、泥棒と政治だ。

その名も『ポリティカルパン』。“ポリティカル(政治的)”と、泥棒の代名詞“ルパン”をつなげたタイトルが、作品のテーマと題材をストレートに表している。しかも、野木脚本作品『アンナチュラル』で主演を務めた石原さとみを迎えての新作とあって、放送前からファンの期待は高かった。
すでに第2話まで放送された本作は、どんな魅力を持つ作品なのか。その魅力を解説したうえで、今後の展開も占ってみたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

貧しい社会じゃ泥棒もやる気がでない

舞台は架空の国・ニッポニア。大泥棒を自称する如月弥生(石原さとみ)は、タンス預金をしている独居老人の家に盗みに入ったところ、家主が孤独死しているのを発見する。わびしい気持ちになりつつも、お金はしっかりいただく弥生。だが最近は、泥棒稼業に張り合いを感じられずにいるようだ。

というのも、ニッポニア全体が貧しくなり、お金を持っている人が減ったせいで、盗みがいがないのだ。行きつけの定食屋も物価高騰を理由に閉店を決め、弥生はますます先行きの暗さを感じる。どこかに大金は眠っていないものかと考えていた矢先、テレビのニュース番組から内閣官房機密費の話題が聞こえてくる。

国会の奥には大金の詰まった金庫がある……。その話が弥生の泥棒魂に火をつけ、彼女は官房機密費を盗み出すことを決意。しかし、国会議員やその関係者でなければ、金庫のある場所にはたどり着けない。そこで弥生は、与党副総裁・小早川士郎(草刈正雄)の娘・雅(河合優実)に目をつける。雅を選挙に立候補させ、自らはその秘書として潜り込もうというのだ。

雅は世間では乱痴気騒ぎを起こすバカ娘と思われていたが、実は中学時代までは政治家を目指しており、留学経験もあって英語も堪能な、隠れた秀才だった。何より、自分の言葉で想いを伝えられる強い意志を持っている。大物政治家の娘でありながら、雅は世襲政治の廃止を訴える。真剣に政治と向き合う雅に本当の目的を明かさないまま、弥生はまんまと政界に潜り込むことに成功する。果たして弥生は官房機密費を盗み出せるのか……というのが、第2話までの大まかなプロットだ。

社会が貧しくなったせいで泥棒のやる気がそがれる、という動機づけが面白い。確かに、世の中からお金がなくなってしまえば、泥棒という稼業も成り立たない。社会が豊かだからこそ弥生のような存在が成り立つ、という逆説を通して、野木は見事に世相を風刺してみせる。

そんな状況から始まるこの物語は、政治をどう描いていくのか。これまでのところ、SNSでは「野木さん脚本の作品、やっぱり間違いはない」といった好評の声が多く、社会派エンタメを得意とする野木らしい展開が期待できそうだ。

石原さとみと河合優実のタッグのこれからは?

本作の主人公・弥生を演じるのは石原さとみ。『アンナチュラル』では信念を貫く法医学者を演じた彼女が今回扮するのは、大泥棒だ。犯罪者ではあるが、ただの悪党ではなさそうだ。弥生は、盗みに入った先の独居老人の死を悼み、教会に寄付もする。いわば義賊のような存在だ。

こうした怪盗の物語には、欲望のままに富を集める連中に一泡吹かせる痛快さがあるが、本作もその系譜に連なる要素を持ち合わせている。使途を明かす必要がなく、権力者が意のままに使える(と本作では位置づけられている)官房機密費を盗み出し、権力者たちの鼻を明かそうという彼女のたくらみは、困窮にあえぐ人々にとっては痛快だろう。

石原さとみは、この大泥棒を溌剌と演じている。悪党のようでいて人への思いやりを忘れず、それでいて目的のためならなんでも利用する狡猾さも併せ持つ。なりすましもお手のものの泥棒だけに、彼女の本音がどこにあるのかは簡単には見えてこない。石原はそんな人物の奥深さを見事に体現している。

弥生の後押しを受けて政治の道を歩み出す雅を演じるのは、河合優実だ。酔いつぶれた姿の動画が炎上したり、泥酔姿を週刊誌に撮られたりしていた雅が、選挙期間中に一転して目覚ましい成長を見せる。この豹変ぶりが彼女の演技力で説得力が出ている。SNSでも「河合優実はやはり異次元に上手い」という声が上がっている。

雅と弥生は“騙す・騙される”の間柄だが、少なくとも第2話までは、選挙を共に戦う盟友といった雰囲気だ。ここから2人の関係がどう変化していくのかが、今後の見どころになるだろう。

そして、2人と相対する存在として登場するのが、高橋一生演じる夏目将門だ。元財務官僚のエリートで、与党の参議院議員として経理局長(金庫番)を務めている。かつては誠実な思いで政治家を志したようにも見えるが、現実的な選択として権力者の傘の下に収まっている彼は、弥生の存在をいぶかしんでいる。切れ者でありながら飄々とした夏目を、高橋一生が知的な存在感で演じ、物語にひねりを加えている。

この3人のほか、野木の代表作のひとつ『連続ドラマW フェンス』で主演を務めた宮本エリアナも、雅の友人役で出演し、“野木組”の女優として存在感を発揮している。
今年は政治を描いたドラマとして『銀河の一票』が話題を呼んだが、本作は“政治とカネ”という題材に、強烈な風刺を効かせて挑んでいる。選挙戦を終えた第3話以降、国政の舞台でどんな物語が繰り広げられるのか、楽しみだ。


出典:水10ドラマ『ポリティカルパン』毎週水曜よる10時 フジテレビ公式サイト

ライター:杉本穂高
映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi

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