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数々の“受賞歴”をもつハイレベルな一作「人生で1番すき」新・金曜ドラマ“実力派”制作チームが手がけた5年前のドラマ

  • 2026.10.26
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吉高由里子(C)SANKEI

今期の金曜ドラマで放送されるTBS系 金曜ドラマ『LOST10』は、実力派の新井順子プロデューサー、演出・塚原あゆ子、脚本・奥寺佐渡子が組んだヒューマンサスペンスだ。この3人が組んだとなれば期待せずにはいられない。なぜなら、『Nのために』や『最愛』などこれまでも素晴らしい作品を送り出してきたチームだからだ。

特に2021年放送の『最愛』はギャラクシー賞、TV LIFE 年間ドラマ大賞、TVerアワード2021など数々の賞を受賞し、SNSでは「人生で1番すきな作品」といった声も上がるほど、視聴者からも高い評価を得た作品だ。

『LOST10』は、とある事件をめぐって人間ドラマとサスペンスが交錯する内容だが、まさに『最愛』は、サスペンスラブストーリーの秀作だ。『LOST10』が盛り上がっている今、このドラマの魅力を改めて振り返ってみたい。

現在と15年前の事件が交錯し、運命の再会を果たす2人

実業家として成功を収めた真田梨央(吉高由里子)が、とある殺人事件の重要参考人となるところから物語は幕を開ける。その事件の発端は、15年前に起きた未解決事件にさかのぼる。梨央はその時、高校3年生。梨央の父・朝宮達雄(光石研)は地元大学の陸上部の寮夫であり、家族ぐるみで駅伝チームと親しくしていた。その駅伝メンバーの1人・宮崎大輝(松下洸平)とは、恋仲になる寸前だった。
しかし、ある日寮を訪れた男性が行方不明となり、駅伝チームも不祥事のために大会に出られなくなる。さらに梨央の父が不審な死を遂げたことで、梨央は東京で事業家をしている母に引き取られることになった。

15年後、刑事となった大輝は、15年前に行方不明となった男性の父親が死亡した事件の担当となり、重要参考人となった梨央と運命的な再会を果たすことになる。15年前、梨央の身に何が起きたのか。事件の謎は、梨央の会社の顧問弁護士・加瀬賢一郎(井浦新)、企業内の対立者・後藤信介(及川光博)、梨央の弟の優(高橋文哉)、フリージャーナリストの橘しおり(田中みな実)らを巻き込み、一層深まっていく。

本作の物語が面白いのは、時を隔てた事件の謎が、人間関係のドラマ、とりわけ愛と深く関わりながら進んでいくことだ。いずれの事件も誰かが誰かを守ろうとして起きたものであり、その真相には家族愛や男女の愛などがある。

そんな愛ゆえに起きた事件を捜査する刑事・大輝もまた梨央を愛しているがゆえに、さらに物語は複雑さを増していく。刑事として事件の真相を追うからには、かつての"最愛"の人である梨央をマークしなければならない。そして、その愛情が事件に対する判断を鈍らせてはいけないと心に言い聞かせながら、梨央にかけられた疑いを晴らすためにも事件解決に奔走していく。

梨央の父も弟の優も、そして、事件の犠牲者となった人々の中にも、家族を想うがゆえの行動が悲劇となっていく構造となっている。犯人は誰なのかなど、考察をするのも面白い作品であるが、むしろ、真相がわかった時の切なさが大きい。

『最愛』は愛の物語とサスペンスがどちらかに偏りすぎることなく、また、それぞれの要素が互いを必要として展開していく、巧みな物語の構造を持った作品となっているのだ。

愛とサスペンスが複雑に絡み合う巧みな構成

本作の主人公・梨央を演じるのは吉高由里子。母親の後押しもあり、若くして真田ウェルネスの代表となった彼女の関心は、一貫して弟の抱えた事故の後遺症を治すための新薬の開発にある。事件に巻き込まれたがゆえに会社内での立場も危うくなりながら、脆さと強さを抱えたヒロインを体現している。

刑事としての責務と愛に引き裂かれる役どころである大輝を演じたのは松下洸平だ。彼独特の誠実さが役柄に大きく寄与している。刑事としての責任を放棄するとは思えない、しかし、愛する人を放置するということも考えられない。そんな葛藤を体現するのにぴったりの俳優だ。

そして、物語のキーポイントとなる顧問弁護士の加瀬を演じたのが井浦新だ。第1話から登場する彼は、何かと梨央のためを思って行動する。真田家の事業に深く関わり、弁護士ではあるがそれ以上の、家族に近い関係性を真田家と築いている。梨央を守りたいという想いは大輝と共通する。しかし、刑事と弁護士という立場の違いが彼らの関係を単純な共闘にはしていないところが、本作の物語の優れたポイントになっている。一見誠実そうな彼の行動が作品全体の鍵となっており、ベテランらしい井浦の巧みな芝居は本作の見どころの一つだ。

本作は、人間ドラマの奥深さとサスペンスがハイレベルに融合した作品だ。このドラマを見れば『LOST10』に期待する理由はわかるだろう。こちらもとある遭難事故の真相を刑事が追いかけるプロットを基本として、関係者の証言が食い違い、権力闘争や絆を試される場面などが交錯していく展開になるという。『最愛』のように人間ドラマとサスペンスが複雑に絡みあった展開が期待できそうだ。

愛もサスペンスも、どちらも添え物ではなく、それぞれがなくてはならない要素として物語を盛り上げる。一級の物語を堪能してほしい。


出典:金曜ドラマ『最愛』TBS公式サイト

ライター:杉本穂高
映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi

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