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走り終えても円は残る。オンとPAFの6シーズンが石になった

  • 2026.9.1

コラボレーションの終わり方は、たいてい静かだ。最後の商品が売れて、告知が止まって、それきりになる。スイスのスポーツブランド「オン」と、韓国発の「ポスト アーカイブ ファクション (PAF)」は、そこに石を積むことを選んだ。(フロントロウ編集部)

両ブランドは、6シーズンにわたって続けてきたパートナーシップの集大成となるコレクション『Current Form 5.0』を発表。9月3日から、On Flagship Store Tokyo Ginza、On Store Tokyo Cat Street、on.com、postarchivefaction.com、および一部の取扱店舗で発売される。

最終章の中心にあるのは、山から降りてきた1足

コレクションの中心となるのは、両ブランドの共同デザインによって生まれたシューズ「Cloudsoma PAF(クラウドソーマ PAF)」。着想源は、岩と影と動きが交差する「山のありのままの美しさ」だという。

無骨さと滑らかさ、静けさとスピード、不変性と変容——本来なら相容れないはずの要素を、1足のなかで同居させる。アッパーには耐摩耗性と速乾性を備えた素材を採用し、有機的な動きから導き出された流線形のライン、左右非対称のシューレースシステム、流れるようなパターンが組み合わされた。カラーはCobble | Raven、Black | Black、Haze | Linenの3色で、価格は27,500円(税込)。サイズはメンズ25〜31.5cm、ウィメンズ22〜28cmと幅広い。

オンは2010年にスイスアルプスで誕生し、世界特許を取得したCloudTec®やLightSpray™といったテクノロジーで急成長してきたブランド。一方のPAFは2018年にドンジュン・リムとスキョ・ジョンがソウルで立ち上げた気鋭のブランドで、2021年にLVMHプライズのファイナリストに選ばれ、同年から3年連続でHypebeast 100に名を連ねている。2022年にはオフ-ホワイトのショー「EQUIPMENT」や、ヴァージル・アブローが手がけたブルックリン美術館の展覧会「Figures of Speech」の公式グッズも手がけた。技術のスイスと、解体と再構築のソウル。噛み合わないほうが自然な2つが、6シーズン続いた。

オンとPAFが共同デザインしたシューズ「Cloudsoma PAF」
画像提供:オン・ジャパン

「終わり」ではなく、走り続けられる場所として残す

今回のキャンペーンで、両ブランドは自分たちの区切りをモニュメントに変えた。ランドアーティストのストライダム・ファン・デル・メルヴァとともに、スペイン・テネリフェ島の大地に円形のストーンインスタレーションを制作。「A Monument to Movement(躍動の軌跡)」と名づけられたこの円は、ランナーのための恒久的なトレイルループとして、そのまま現地に残される。

つまり、コラボレーションが終わったあとも、誰かがそこを走れる。プレスリリースの言葉を借りれば、これは「終焉」ではなく未来へ受け継がれる「レガシー」の象徴ということになる。

制作の過程は3部構成のショートドキュメンタリーとして公開された。PAFの共同創設者兼クリエイティブディレクターであるドンジュン・リムが、過去のアーカイブピースを円形に並べて6シーズンを振り返る場面から始まり、ファン・デル・メルヴァが島の大地にループを刻んでいく様子、そして完成した円をアスリートたちが駆け抜ける姿までが描かれる。

派手な打ち上げでも、限定カラーの大量投入でもなく、石を並べて去る。アシックスが使用済みのシューズを次の1足に混ぜ込んだ取り組みのように、ここ数年のスポーツブランドは「作ったあとに何が残るか」を作品の一部として語るようになってきた。リーボックがアレン・アイバーソンの30年前の1足を丸ごと3Dプリントで再現したのが過去への遡上だとすれば、オンとPAFのそれは、まだ誰も走っていない未来に円を置いていく身ぶりだ。

東京のOn Flagship Store Tokyo Ginza(東京都中央区銀座4-3-1 並木館ビル)は11時から20時まで営業。最終章の1足は、9月3日から店頭に並ぶ。

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