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大雨で“ツアーの目玉”の船が欠航…重い空気の車内を変えた、バスガイドの“機転の利いた行動”に車内が大盛り上がり

  • 2026.9.26
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元バスガイドのくろちびです。

バス旅行は、その日の気分で行き先を決めるものではありませんよね。あらかじめコースが決められていて、お客様も事前に予約をして参加されています。

だからこそ、天候によって予定が変わってしまうことも、バス旅行では避けられない出来事なんですよね。

あるツアーで、大雨の影響により楽しみにしていた船が欠航してしまったことがありました。

急きょ別の観光先として博物館へ向かうことになりましたが、バスの中には「仕方ないか……」という残念な空気が漂っていました。

それも当然。今回のツアーは、船に乗ることをメインにしたコース。お客様も、その船を楽しみに来られていたのです。

「仕方ないか……」で終わらせたくない

船が欠航になった以上、私に天気を変えることはできません。

ですが、せっかく予約して楽しみに来てくださったお客様には、「船に乗れなかった旅行」という印象だけが残ってしまうかもしれません。

一方で急きょ決まった博物館については、お客様にとって馴染みがなく、「何があるのか分からない」「どこを見ればいいのか分からない」という状態だから、空気が重いのかなとも感じました。

そこで私は、「天気を変えることはできなくても、博物館で過ごす時間を楽しみに変えることはできる」と考えました。

ただ見学していただくのではなく、「ここに来たからこそ知ることができるもの」を探してもらうことにしました。

研修で集めていた情報が役に立った

バスガイドは、担当する地域の観光施設について、研修などを通して勉強します。

私自身も、近くの施設には実際に一度は立ち寄るようにしていました。

なかなか立ち寄れない施設についても、パンフレットを持ち帰ったり、先輩に話を聞いたりして、急なご案内にも対応できるよう情報をノートにまとめていました。

普段は「いつか役に立つかもしれない」と思いながら集めていた情報でしたが、このとき、その知識が本当に役に立ちました。

その博物館でしか見られないものや、知ることができない内容を選び、館内で答えを探してもらえるよう、3問のクイズを用意しました。

「ただ見て回ってください」ではなく、

「この答えは館内のどこにあるでしょう?」

と、クイズの答えを探しながら見学していただく形にしたのです。

「残念な観光」をクイズ大会に

さらに、博物館からいただいたお土産を景品として用意し、帰りのバスではクイズ大会を開催しました。

最初は「船に乗れなくて残念」という気持ちがあったお客様も、クイズが始まると少しずつ表情が変わっていきます。

「分かった!」
「これじゃない?」

と、車内も次第に盛り上がっていきました。

結果的に、予定していた船とはまったく違う一日になりました。

それでも最後には、皆さんが笑顔で帰っていかれました。

船に乗ることはできなかったけれど、その博物館でしか知ることのできないことを学び、クイズを楽しみ、帰りのバスではみんなで盛り上がりました。

予定にはなかったからこそ生まれた、「ここでしかできない観光」になったのだと思います。

大切なのは持ち帰る思い出

天候による予定変更は、バスガイドの力だけでは防ぐことができません。

だからこそ、予定通りにいかなくなったとき、「仕方ない」で終わらせないことが大切なのだと思います。

お客様が本当に残念に思っているのは、船に乗れないことだけではなく、「楽しみにしていた一日がなくなってしまうこと」なのかもしれません。

天気は変えられなくても、その日の過ごし方は工夫できます。

これまで勉強してきた知識や、普段から集めていた情報が、思いがけない場面でお客様の笑顔につながりました。

バスガイドとして、そんな経験ができたことは、私にとって嬉しい出来事でした。


ライター:くろちび

プロフィール
 バスガイドとして4年間、奈良・京都・大阪を中心に観光案内を担当。修学旅行や団体旅行、高齢者ツアーなど、さまざまなお客様をご案内してきました。現場で実際に経験した出来事や、旅行の裏側、接客を通して学んだことを、実体験をもとにお伝えしています。


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