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「88歳なんて…」老人ホームでのお祝いを断った女性。介護士たちが取った“別のお祝いの形”に…「申し訳ないけど嬉しい」

  • 2026.9.22
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

長寿のお祝いは、誰にとっても嬉しいものだと思っていました。しかし、施設の敬老会で米寿を迎える女性利用者様に声をかけると、返ってきたのは「やめておきます」という言葉。

そこには、年齢を重ねることに対する女性の思いがあったのです。長寿を祝うことの意味について考えさせられた、介護現場での出来事を紹介します。

米寿を迎える女性からの思わぬ返事

これはわたしが有料老人ホームで働いていたときの出来事です。

施設では毎年9月、敬老の日に合わせて「敬老会」を開催していました。喜寿や米寿、卒寿などを迎える利用者様へ、記念品を贈って長寿をお祝いする行事です。

その年、ある女性利用者様が米寿を迎えました。敬老会では、その女性へ記念品を贈り、一言お話しいただく予定でした。

そこで事前に内容を説明しようと声をかけると、女性から思いがけない返事がありました。

「敬老会へ出るのは…やめておきます」

普段はとても温厚で、毎月のお誕生日会では、ほかの利用者様を積極的にお祝いする方でした。場を盛り上げることもお好きな方だったため、なぜ断られたのだろうと不思議に思いました。

「大年寄りだと宣言するみたいで…」

そのまま話を続けていると、女性は少しずつ気持ちを聞かせてくださいました。

「88歳なんて、もう祝ってもらうような年じゃないわよ」

「皆さんに“大年寄りです”って宣言しているみたいで、恥ずかしい」

女性にとって、大勢の前で米寿を紹介されることは、素直に喜べるものではなかったのです。

長寿のお祝いは、周囲から見れば喜ばしいことかもしれません。

しかし、年齢を重ねることへの思いは人それぞれです。嬉しいと感じる方もいれば、戸惑いや寂しさ、恥ずかしさを感じる方もいます。

「お祝いなのだから喜んでもらえるはずだ」と、わたしたちの気持ちを押しつけていたのかもしれないと気づきました。

「どうすれば喜んでもらえる?」スタッフが考えた方法

女性の思いをスタッフ間で共有し、どのような形なら無理なくお祝いを受け取っていただけるかを話し合いました。

その結果、敬老会の場でお祝いするのではなく、敬老の日当日に個別で記念品をお渡しすることにしました。

敬老会には利用者様のご家族も参加するため、女性のご家族にも事情と対応を説明しました。敬老会当日の長寿祝いでは名前の紹介だけにとどめ、後日あらためて個別にお祝いすることへの了承を得ました。

そして迎えた敬老の日当日。スタッフ数人で女性の部屋を訪れ、記念品の賞状と花束をお渡ししました。

「なんだか申し訳ないね」

そう話しながらも、女性は笑顔を見せてくださいました。

「けれど、嬉しいよ。ありがとう」

その表情を見て、大勢の前でなくても、お祝いの気持ちは伝えられるのだと感じました。

気持ちに寄り添った祝い方を

年齢を重ねることに対して、どのような気持ちを抱くかは人によって異なります。敬老の日だからといって、誰もが盛大に祝われたいとは限りません。

大切なのは、ご本人がどのように感じているかに耳を傾けることです。お祝いを断られたときも、すぐに諦めるのではなく、その理由を知ることで別の方法が見つかることもあります。

一日一日、人生を重ねていけることは、決して当たり前のことではありません。

だからこそ、その方が歩んできた日々に敬意を払いながら、気持ちよく受け取れる形でお祝いの気持ちを伝えたいものです。

相手の気持ちを置き去りにせず、その人に合ったお祝いの方法を考える。

それも介護士だからこそできる大切な支援なのだと感じた出来事でした。


文:しまむら けいこ/介護福祉士・Webライター 

介護福祉士として10年以上、デイサービスや入所施設などさまざまな介護現場で経験を積む。現在も介護職として働くかたわら、Webライターとして活動。介護や暮らし、働き方について発信している。二児を育てるワーキングマザー。


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