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元駅員が冷や汗…窓口で先輩3人が同時に犯した“想定外のミス”に「やはり声を出して確認するのは大事」

  • 2026.9.27
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

秋の連休では旅行を楽しむ方も多いのではないでしょうか。今回は、私が駅員時代に体験した「1人の行動で周囲が気づいた違和感」のエピソードです。先輩社員の技能にも、改めて驚かされた体験です。

「プロの駅員の姿」といえば?

鉄道会社で「プロフェッショナル」といえば、何を想像されるでしょうか。

列車の先頭に座り、列車をダイヤ通りに運行させる運転士。列車の運行の安全を司り、出発時に窓から身を乗り出してドアが閉まったことを確認する車掌。人知れず、線路や電気設備の保守を担当する係員。管内全域の列車を管理し、いざというときには安全を確保しながら定時運行の早期復旧に取り組む指令員…。

では、駅員はどうでしょう。「お客さまの命や列車の定時運行を守る人間」というイメージは薄いのではないかと思います。しかし実際には、決してそのようなことはありません。

「列車が到着します。黄色い点字ブロックの内側へ下がってお待ちください」

たったひと言のアナウンスも、「お客さまの命を守る」「列車の安全運転・定時運行を守る」という意識のもとで行っています。

しかしお客さまにとっては、やはり「きっぷを売り、改札口で案内を行うサービス要員」としての印象が強いのではないでしょうか。

窓口に設置されている係員用の端末を、目にも止まらぬ速さで操作する姿に「プロだなあ」と感心したことのある方もいることと思います。

乗車変更を早く処理する方法

駅員たちも、入社1日目から素早く端末を扱えるわけではありません。

はじめは簡単な乗車券でさえ「これで合っている…よな?」と半信半疑になりながら、震える指で操作しています。入社後の研修で端末の操作方法は教わりますが、いざ実際の窓口勤務となると緊張感は段違いに跳ね上がるものです。こればかりは、実際に窓口に入ってから時間をかけて慣れていくしかありません。

やがて慣れてくれば、操作手順に「これを先にやった方が早いな」と気づく点が出てきます。そのうちのひとつが、すでに販売済みのきっぷの日付や区間などを変える「乗車変更」の処理です。

最もミスの恐れがない方法は、お客さまからきっぷを受け取って端末に読みこませ、変更したい部分だけを入力し直して再発券するというものです。

しかし慣れてくれば、あらかじめ端末に登録されているきっぷを新たに発券して渡すほうが、お客さまにとっては早いということに気づきます。変更前のきっぷを処理する時間を後回しにできるためです。

「早くはできないんだから」半ば諦めて正攻法に

ある日、4人組のお客さまがきっぷの日付を変更しに窓口へいらっしゃいました。

このとき、窓口は私を含めて4つ空いていたので、それぞれの窓口で1人ずつ対応することになりました。明日出発分をきょうに変更したい、とのこと。ほかの3人のお客さまも同じ申告をしているのが聞こえてきました。

乗車券は往復分購入されており、これから乗車するのが復路のようです。

そのため、乗車券は変更の必要がありません。私は特急券を受け取り、まず端末に読みこませます。日付を変更していると、隣の3つのカウンターでは先輩たちが早くもきょう分の新しい特急券を発券し、「本日分に変更しております」とお客さまに渡していました。

同じ申告をほぼ同時に受けたのに、私だけがお客さまをお待たせしてしまっています。

「ふん、どうせ先輩たちほど早くはできないよ」と半ば諦めの気持ちを持ちながら、私は機械から新しい特急券を取り出しました。

そして「どうせお待たせしてしまっているのなら」と考え、特急券の相互確認までお願いすることにしました。次の列車の出発時刻までは、まだあと5分ほどあります。

ざわ…ざわ…

「お待たせいたしました。きっぷのご確認をお願いします。本日21時の特急で自由席ご利用ですね。この駅から…」

終点まで、と言おうとして、特急券に書かれた駅名に目が留まりました。目的地が終点ではなく、ひとつ手前の特急停車駅だったのです。

「〇〇駅まででお間違いないですか?」

「はい、間違いありません。ありがとうございます」

私とお客さまの会話を聞いた周囲の窓口の先輩たちが、急に販売履歴の確認や回収した特急券の確認を始めました。

なんと、3人とも端末に登録されていた「きょうの当駅から終点まで」のボタンを押し、そのまま発券して渡してしまっていたのです。この駅では多くのお客さまが終点までのご利用なので、引っかかってしまったのかもしれません。

先輩たちはやっぱり早い!そして今度こそ正確

区間内の駅なのでお客さまが下車することは可能ですが、回収したきっぷの金額と渡したきっぷの金額が違うため、このままでは締切時に金額が合わなくなってしまいます。また、乗車券より長い区間の特急券を持っていることを、車掌が不審に思うかもしれません。

ミスに気づいた先輩たちは、やはりものすごいスピードで正しい特急券を出し直し、「今度こそ正確に」と3人で相互に確認してから、お客さまを呼び止めにホームへ走っていきました。なんとか出発時刻に間に合ったようで、肩で息をしながら戻ってきた先輩から

「いやあ危なかった。やっぱり声を出して確認するのは大事だな」

と褒められました。褒められた嬉しさより、若干の気まずさを感じたことを覚えています。

出発時刻が迫っているために省略せざるを得ない場合もありますが、本来この会社では、きっぷは駅員とお客さまで相互に内容を確認してから渡すルールになっていました。人間である以上ケアレスミスを完全になくすことは難しいので、欲しいきっぷを申告された本人であるお客さまに確認していただくのです。

駅の窓口で「こちらに確認を求められてもわからないよ」と感じるかもしれませんが、いざ出発というときにきっぷの誤りが発覚して乗車できなかった…ということにならないよう、日付や区間の確認にご協力いただければと思います。


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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