1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「一体なぜ…」母を有料老人ホームに入居させた50代娘、高額介護サービス費の上限を超えたが…戻ってきた額に“首を傾げたワケ”

「一体なぜ…」母を有料老人ホームに入居させた50代娘、高額介護サービス費の上限を超えたが…戻ってきた額に“首を傾げたワケ”

  • 2026.11.1
undefined
出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

今回ご紹介するのは、近くに住む母を通いで在宅介護していた50代女性Aさんの体験談です。施設入居に切り替えたことで気づいた、”高額介護サービス費”の仕組みの違いとは。

在宅介護で「高額介護サービス費」がほとんど戻らなかった

Aさんはパート勤務です。夫と子供のいる4人家族です。要介護3の母は近くに一人で暮らしており、Aさんは毎日のように通って介護をしながら、訪問介護やデイサービスを組み合わせて利用していました。

要介護3で介護保険を使える上限額(区分支給限度基準額)は月27万円ほどでしたが、母の状態を考えると、この枠には収まりきらないサービス量が必要でした。上限を超えた分は、介護保険が適用されず全額自己負担になります。

自己負担の合計は月13万円ほどにのぼっていましたが、高額介護サービス費として戻ってきたのはごくわずかでした。

「自己負担が高額介護サービス費の上限を超えているのに、ほとんど戻ってこないのは一体なぜだろう」

Aさんはそう疑問に思っていました。

銀行では概要だけ。詳しくは市区町村とケアマネジャーへ

母を介護付き有料老人ホームに入居させることになったAさんは、資産運用の相談で窓口を訪れた際、この疑問を担当者にぶつけてみました。

担当者からは、高額介護サービス費は所得などに応じた自己負担の上限額を超えた分が戻る制度であること、ただし在宅サービスの区分支給限度基準額を超えた分は対象外になることなど、大まかな仕組みの説明がありました。ただ、Aさんの母のケースに当てはめた具体的な計算までは、銀行の窓口では分かりかねるとのことでした。

「詳しい制度の中身は、市区町村の介護保険担当窓口や、担当のケアマネジャーに確認されると、より正確に教えてもらえると思います」

そう案内を受けたAさんは、後日、市区町村の窓口とケアマネジャーに相談することにしました。

支給限度額を超えた分は、そもそも対象外だった

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

市区町村の窓口とケアマネジャーに確認すると、Aさんが感じていた疑問の理由がはっきりしました。在宅サービスには「区分支給限度基準額」という上限があり、これを超えて利用した分は、そもそも介護保険の給付対象外(全額自己負担)になります。高額介護サービス費は、あくまで介護保険から給付されたサービスの自己負担分(1〜3割)が対象で、保険給付の対象外になった部分は、いくら払っても高額介護サービス費では戻ってこない仕組みでした。

「自己負担の合計額ではなく、保険の対象になった部分だけで判定されていたんですね」
Aさんはそう驚いた様子でした。

一方、介護付き有料老人ホームでは、介護サービス費が要介護度に応じた定額になっていて、在宅サービスのような支給限度基準額という枠がありません。ホームに払う月額費用のうち、介護サービス費(特定施設入居者生活介護費)の自己負担分(1〜3割)が、そのまま高額介護サービス費の計算対象になります。家賃や食費、管理費などは対象外です。

ただし、計算の対象になる範囲が広がるだけで、払い戻しが必ず増えるわけではありません。自己負担の割合や所得に応じた上限額によっては、施設に移っても払い戻しがないこともあります。

「同じ『高額介護サービス費』という制度なのに、在宅と入居後でこんなに扱いが違うとは思いませんでした」
Aさんはそう振り返ります。あわせて、居住費・食費・日常生活費はどちらの場合も対象外であること、住民票上の同じ世帯で複数人が介護サービスを利用している場合は、自己負担を合算できることも教えてもらいました。Aさんと母親のように別々に暮らしている場合は、家族でも合算の対象にはなりません。

在宅と施設、それぞれの高額介護サービス費で確認しておきたいこと

Aさんのように、在宅サービスと施設サービスで高額介護サービス費の対象範囲が違うと知らずにいると、想定と違う結果に戸惑うことがあります。以下の点を押さえておきましょう。

  • 在宅サービスには区分支給限度基準額という上限がある
  • 上限を超えた自己負担分は保険給付の対象外で高額介護サービス費も対象外
  • 介護付き有料老人ホームなど定額の利用料となるサービスには支給限度基準額の枠がない
  • そのため介護サービス費の自己負担分(1〜3割)は、すべて計算対象になる
  • 居住費・食費・日常生活費はどちらも対象外
  • 住民票上の同じ世帯で複数人が利用していれば合算できる(別居の家族とは合算できない)
  • 食費・居住費が軽減される「負担限度額認定」は特別養護老人ホームなどの介護保険施設が対象で、民間の有料老人ホームは対象外

「介護保険の負担は一律の仕組み」と思い込む前に、在宅か施設かで対象範囲が変わることを知っておくことが、想定外の戸惑いを防ぐ第一歩です。高額介護サービス費の詳しい計算については、市区町村の介護保険担当窓口や、担当のケアマネジャーに相談してみてください。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ