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都心から郊外へ引っ越した40代夫婦→「年間36万円も浮く」家賃が安くなり喜ぶが…後日、FPに時給換算されて“青ざめたワケ”

  • 2026.9.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで住まいと家計の相談を数多く受けてきた柴田です。

住まい選びで家賃を抑えるのは、家計管理や節約の王道です。

ただし、その節約が「何を差し出して成り立っているか」まで計算している方は多くありません。今回は、家賃3万円のために通勤時間を差し出していた40代のAさんのお話です。

家賃3万円を浮かせるために選んだ家

Aさん(40代女性)ご夫婦は、共働きで都心に通勤しています。

数年前、更新のタイミングで郊外へ引っ越しました。同じ広さで家賃が月3万円安く、「年間36万円も浮く」と喜んだそうです。

代わりに増えたのが通勤時間でした。片道1時間15分、往復2時間半。

「座れるから本も読めるし」と自分に言い聞かせていましたが、帰宅は毎晩遅く、夕食は買ってきたお惣菜が増えていきました。

夫と時給換算してみたら...

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

家計の相談に来られたとき、私はAさんご夫婦に、浮いた家賃を通勤時間で割ってみることをおすすめしました。通勤時間も実際には拘束されている以上、コストとして認識すべきだからです。

往復2時間半で、月に20日出勤すれば、通勤に使う時間は月50時間。年間では600時間になります。浮いた家賃は年36万円ですから、36万円÷600時間で、時給はおよそ600円です。

2026年度の最低賃金は、全国の加重平均で1,177円(2026年10月から順次発効)です。つまりAさんは、自分の時間を最低賃金の半分ほどの値段で売っていた計算になります。しかも、時間を差し出しているのは夫婦2人分です。

この数字を見て、Aさん夫婦は青ざめた様子でした。

時間以外にも出ていくお金

通勤時間の長さは、時間だけを奪うわけではありません。疲れて帰れば自炊の気力はなくなり、外食や惣菜が増えます。睡眠時間が削られれば、体調にも響きます。資格の勉強や副業に使えたはずの時間も、電車の中に消えていきます。

仮にご夫婦2人が同じように通っているなら、家庭から出ていく時間は年間1,200時間です。1日8時間で数えれば150日分に当たります。

「通勤代は会社が出してくれるから損はない」と考える方もいますが、差し出した時間そのものは無視されがちです。

「家賃+通勤時間の値段」で比べる

とはいえ、郊外に住むことが間違いだというわけではありません。自然環境や広さ、地域とのつながりに価値を感じるなら、それは立派な選択です。問題は、「家賃が安い」という一点だけで比べてしまうことにあります。

すぐに引っ越せない場合でも、できることはあります。テレワークを週に何日か使えないか、時差出勤で座れる時間帯に変えられないか。通勤時間そのものを減らせなくても、その時間の使い方を変えられれば、失っているものは小さくできます。

そして、ここでいちばんお伝えしたいのは、自分の時間は無料ではない、ということです。家賃や食費とちがって請求書が届かないので、つい「タダで使えるもの」として扱ってしまいます。けれども時間は、使えば減りますし、あとから買い足すこともできません。値札が付いていないだけで、家計のどの項目よりも高価な資源です。

スーパーで10円の差に悩む人が、片道1時間15分という時間には値札を付けない。この非対称さに気づけるかどうかが、住まい選びの分岐点になります。

住まいを比べるときは、家賃に「通勤時間の値段」を足して考えてみてください。時間の値段は、自分の年収を年間労働時間で割ったおおよその時給で構いません。その物差しを持つと、職場に近い物件の家賃差や、テレワークができる会社の価値も、数字で見えるようになります。

まとめ

最後にお伝えしたいのは、時間は有限の資源だということです。お金は働けば増やせますが、時間は誰にも増やせません。その限られた時間を、資格の勉強でも、副業でも、家族と過ごすことでも、自分の価値が育つほうに使えたなら、長い目で見たときのリターンは、家賃3万円をはるかに超えていきます。

家賃を抑えること自体が悪いわけではありません。抑えた分を何に使うのかが決まらないまま、時間だけが減っていく状態が問題なのです。浮かせたお金と、差し出した時間。その両方を並べたうえで、住む場所を決めてみてはいかがでしょうか。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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