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「最終日くらいは出社したい」うつ病で休職した40代男性、退職日に“半日出社”したところ…待ち受けていた“200万円”の大誤算

  • 2026.9.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、病気で休職したあとに退職した40代のAさんの体験談です。

「最終日くらいは出社して、きちんと引き継ぎをしたい」

そう思っていたAさんでしたが、その1日で、退職後の傷病手当金を受け取れなくなります。退職日に気をつけたいことをご紹介します。

休職して8か月、退職を決めた

Aさん(40代男性)は、メーカーに18年勤めていました。

2年前から業務量が増え、眠れない日が続きました。心療内科で「うつ病」と診断され、休職に入ります。

休職中の生活を支えたのは、健康保険の傷病手当金でした。支給が始まる前の1年間の標準報酬月額は、平均で30万円です。1日あたりは6,667円で、30日分ならおよそ20万円が振り込まれます。

8か月がたっても、復職できる状態には戻りませんでした。Aさんは退職を決めます。

「しばらく治療に専念して、それから次を探そう」

主治医からも、療養を続けるよう言われていました。

「最終日くらいは出社したい」

退職日は3月31日に決まりました。

Aさんの中には、ひとつの思いがありました。18年勤めた会社です。担当していた案件を、後任にきちんと引き継ぎたい。

「最終日くらいは、出社してけじめをつけたいです」

上司も了承しました。Aさんは3月31日に出社し、半日かけて資料を渡し、引き継ぎの説明をしました。勤怠は「出勤」として処理されました。

退職日の1日が、要件外になる原因に

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

4月に入り、Aさんは傷病手当金の申請書を健康保険に送りました。返ってきたのは、支給できないという通知でした。

健康保険では、退職後も同じ病気で働けない状態が続いていれば、傷病手当金を受け取り続けられる仕組みがあります。「資格喪失後の継続給付」といいます。

要件は2つです。退職日までに健康保険の被保険者期間が続けて1年以上あること。そして、退職日に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることです。

Aさんは18年勤めており、1つ目の要件は満たしていました。

傷病手当金の申請書には、主治医に記入してもらう欄と、会社に記入してもらう欄があります。会社の欄には、その期間の勤務の状況が書かれます。

問題は2つ目でした。退職日に出勤扱いで働いたため、その日は「働けない状態」とは扱われません。継続給付の要件から外れてしまったのです。

「あの半日でですか?」

Aさんは驚いて確認しました。

なお、傷病手当金を受け取れる期間は、支給が始まった日から通算して1年6か月です。8か月分を受け取っていたAさんには、まだ10か月分ほどが残っていました。

金額にすると、200万円ほどになります。

ちなみに、退職後に健康保険をどうするか(任意継続にするか、国民健康保険に入るか、家族の扶養に入るか)は、この継続給付とは別の話です。傷病手当金が支給される要件を満たしていれば、どれを選んでも、元の健康保険から支給されます。

退職日は、休んだままにしておく

Aさんは、こう振り返ります。

「送り出してもらったお礼が言いたかっただけなのですが……」

同じ状況にある方は、退職日の勤怠を「出勤」にしないことが大切です。

引き継ぎは、退職日より前に、書面やメールで済ませておく。あいさつは電話やメッセージで伝える。荷物は郵送してもらう。方法はいくつもあります。

会社に相談するときは、「退職日は欠勤(または休職)のままにしてほしい」と、はっきり伝えてください。理由まで説明しにくいときは、「健康保険の手続きの関係で」と添えれば十分です。

また、病気で働けない間は、失業給付を受けられません。受給期間の延長を申請しておくと、働けるようになってから受け取れます。申請は退職後に行い、受け付けてもらえるのは退職日の翌日から30日が過ぎた後です。手続きの方法を、退職前にハローワークで聞いておくと安心です。

傷病手当金を受け取っている状態で退職する場合は、退職日の過ごし方がその後の受給に影響することがあります。あいさつのためだけに出勤せず、事前に会社や健康保険へ確認しておくことが大切です。


執筆・監修:中川 佳人

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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