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「お前さえいなければ金賞だった」10年後、そういってきた同級生と再会。男性が下した決断【マンガ】

  • 2026.9.9
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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

傷つけた側にとっては「昔のこと」でも、傷つけられた側にとっては「何年経っても終わっていないこと」があります。たった一言をきっかけに、大切だった場所や好きだったものまで遠ざけてしまうこともあるでしょう。

楽器店を舞台に、店を訪れる人々と楽器にまつわる物語を描く漫画『楽器屋』。今回登場する店員・戸田にも、10年間抱え続けてきた過去がありました。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

壊れたマウスピース

ある日、「鳥山楽器」を訪れたのは、吹奏楽部でトランペットを吹く学生・小澤でした。壊れたマウスピースを見た戸田は、自分も学生時代、マウスピースを壊された経験を思い出します。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

しかし、小澤の手には練習を重ねてきた跡がありました。戸田は「すぐ直すからね」と修理を引き受け、「君と楽器だけは裏切らないよ」と声をかけます。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

修理を終えた小澤は「もっと上手くなります」と喜び、戸田を週末の定期演奏会へ誘いました。しかし戸田はすぐに返事ができません。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

10年経っても聞けない

「僕、吹奏楽の曲、未だに聞けなくて」戸田もかつて吹奏楽部に所属していました。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

しかし、演奏会でソロを担当した際に、うまく演奏できず、金賞を逃した経験があったのです。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

さらに当時、同じ部員だった古河から「お前さえいなければ金賞を取れたんだ」と責められていました。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

部活動では、みんなで同じ目標を目指します。しかし、結果が出なかった原因を一人のせいにしてしまうと、そこで浴びせられた言葉は、部活動が終わった後も本人の心に残り続けることがあります。
過去の古河から浴びせられた言葉は、戸田にとって、「吹奏楽」そのものを避けるほどの出来事になっていました。
そこへ、一人の男性が店に現れます。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

傷つけた本人との再会

小澤が「先生」と呼んだ男性は、現在彼の学校で吹奏楽部を指導している古河でした。「あの戸田が楽器屋になってるとはな」

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

10年ぶりに顔を合わせた古河は、戸田に週末の演奏会へ来るよう誘います。さらに学校の楽器が古くなっているため、点検も頼みたいと仕事を持ちかけました。「楽器の腕はイマイチだったけど、修理の腕はすごいんだってな」

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

古河が教える部活は、3年連続で金賞を取り、今年は全国大会にも進んだと話し、さらに戸田に、特別に席まで用意したとチケットを差し出します。
その古河の言葉を聞き、戸田の頭には10年前の記憶がよみがえります。
自分は今も吹奏楽の曲を聴けないほど苦しんでいるのに、古河にとっては何でもない昔話だった。その温度差を目の当たりにした戸田の中で、長年押し込めてきた怒りが込み上げ、戸田は演奏会に行くつもりはないと心を決めます。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

傷つけられた側が長く抱えてきた出来事を、傷つけた側も同じ重さで記憶しているとは限りません。その認識の隔たりが、二人の再会によって浮かび上がります。

学生が差し出した一歩

古河の演奏会へ行くつもりのなかった戸田。しかし、隣にいた小澤が口を開きます。
「必ず素敵な演奏してみせます。戸田さんに直してもらったこのマウスピースで」

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

その言葉に、戸田はかつて自分が舞台に立った日のことを思い出します。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

当時の戸田も、マウスピースに異変を感じながら演奏を続けていました。小澤の言葉を聞いた戸田は、「演奏者には安心して演奏してほしいから」と伝えます。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

そして戸田は、古河ではなく、過去の自分自身と向き合うように「僕は、もう一度吹奏楽を楽しめるようになりたい」と決意し、差し出された演奏会のチケットを受け取るのでした。

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©️『楽器屋』/ 半熟たまご

傷つけた側には過去の出来事でも、その言葉を受けた側には長く残り続けることがあります。戸田もまた、その記憶によって好きだった吹奏楽から遠ざかっていました。
それでも10年の時を経て、もう一度自分の好きだった音楽と向き合う道を選んだのでした。

X(旧Twitter):半熟たまご(@amenosuke15

 



 

▶︎ 『楽器屋』【第1話から読む】

#1 お前さえ居なければ!
#1 お前さえ居なければ!

クリエイター情報

半熟たまご

読んだあとに少し前を向ける、温かい漫画を描いています。 2003年生まれ新人漫画家。Xでは創作漫画・エッセイ漫画を更新中!

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