1. トップ
  2. どうぶつ
  3. 「パンチくんがかわいそう…」世界的な人気の裏には批判やトラブルも。それでも飼育員が語り続けるのは“パンチの本当の幸せ”《最近は年上にマウントも!》

「パンチくんがかわいそう…」世界的な人気の裏には批判やトラブルも。それでも飼育員が語り続けるのは“パンチの本当の幸せ”《最近は年上にマウントも!》

  • 2026.5.19

ニホンザルの子ザルがオランウータンのぬいぐるみを抱える姿が、千葉県・市川市動植物園の公式Xに投稿され、話題になりました。子ザルの名前はパンチくん。彼が懸命に群れに馴染もうとする姿は、日本のみならず世界中の人々の心を動かしました。

しかし、その世界的な人気の裏で、SNSでの炎上や来園者のマナーなどさまざまな問題も発生しました。そんななか、パンチくんをはじめ、ほかのニホンザルがこれまでと変わらず過ごせるよう、飼育員たちが大切にしていることとは。ダイジェスト版でお届けします。


いろいろと試して出会ったのが「オランママ」

オランウータンのぬいぐるみに抱きつくパンチくん。市川市動植物園公式Xより。

ニホンザルのパンチくんは、飼育員たちの手によって命をつながれた。

「パンチは生まれた時からとにかく元気で、生命力がありました。人工哺育となったことについて、母親に罪はありません。自然でもそういったことは起こりますし、同園でも過去に起こった例はあります。

親が子を育てるべきというのは大前提ではありますが、救える命を見過ごすわけにはいかないという思いから、覚悟を持って人工哺育に切り替えました」と飼育担当者は語る。

安心感を求めたり、筋力をつけるために母親にしがみつくという、ニホンザルの赤ちゃんの反射行動を補うため、人工哺育の際はぬいぐるみが与えられることがあるが、いくつかの候補の中からパンチくん自身が選んだのが、のちに「オランママ」として愛されるオランウータンのぬいぐるみだった。

2026年1月19日、パンチくんは群れでの生活をスタートさせた。2月5日、園の公式Xに「サル山にぬいぐるみを持った子ザルがいます」という投稿がされると大きな反響を呼び、翌日には「#がんばれパンチ」というハッシュタグで国内外から注目を集めることになる。

市川市動植物園課長の安永さんは「群れに入れるように頑張っているパンチを応援してもらおうということで、2月5日と6日、公式Xにポストしたんです。そこから状況は180度変わりました」と当時を振り返る。

ルールを学んでいる最中だった

ルールがわからず、マウントしようとするパンチくん。

人気が過熱する一方、2月中旬にはパンチくんが大人のサルに引きずられているように見える動画が拡散。「かわいそう」といった声が国内外から寄せられた。しかし、この出来事について飼育担当者は、ニホンザル社会のルールを学ぶ上で必要な過程だと説明する。

「あのようなことが起こったのは、パンチがニホンザル社会のルールをきちんと理解していなかったためです。もちろん、パンチに罪はありませんし、怒った大人のサルにも罪はありません。大人の個体がパンチにしていることは人間で言うところのいじめや虐待ではなく、ニホンザルとして群れで暮らすために必要なことなんです」

ニホンザルの群れには厳格な順位があり、それに伴うルールが存在する。例えば、自分より強い個体の上にまたがる「マウント」という行為だ。

飼育員たちは、パンチくんが群れのルールを学習する機会を失わないよう、彼がニホンザル社会の一員として成長する日々を見守っている。

パンチくん。ほかの個体に比べて毛の色が少し濃い。

パンチくんの存在は、ニホンザルという動物そのものへの関心を高めるきっかけにもなった。飼育担当者は「パンチを応援したいというお気持ちから、仲のいい個体に興味を持ったり、行動からどういった意味があるのかを調べてくださったりと、ニホンザルへの関心が高まっていることを非常に嬉しく思います」と語る。

市川市動植物園

所在地 千葉県市川市大町284番地1
https://www.city.ichikawa.lg.jp/site/zoo/

文=CREA編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる