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愛猫との別れを乗り越えて、「反復性うつ病」が寛解。いつか、その過程を表現したい【著者インタビュー】

  • 2026.4.8

【漫画】本編を読む

漫画家・叶輝(かのうあきら)さんと、うつ病により休職を繰り返していた朝待夜駆(あさまちよかけ)さん。二人のもとにたびたび足を運んでいた地域猫はある日、病気で瀕死の子猫を連れてくる。「朔太郎」と名付けられた子猫は、深刻な病気を患っていた。二人は朔太郎に寄り添いながら、日々を重ねていく……。

エッセイ漫画『スローステップ朔太郎』(叶輝:漫画、朝待夜駆:脚本/KADOKAWA)は、命と希望のリレーを描いた作品だ。2025年春に上下巻で発売された本作は、仕事の悩み、病気との向き合い方、経済的な不安など、多様な困難を抱える読者から共感を呼んでいる。

それぞれが抱える困難の中で見えてきた「支え合うこと」の新しい形とは? 実話をもとに、ユーモアと愛情で表現した本作の制作背景を、作画担当の叶輝さんと、脚本を手がけた朝待夜駆さんに伺った。

※インタビュー個人の経験に基づく内容です。実際の治療・相談等に関しては、専門の機関にご相談ください。

――本作を描き終えた今、次に描きたいテーマがあれば教えてください。

朝待夜駆さん(以下、朝待):作中でも描いたとおり、私は「反復性うつ病」に10年近く苦しんできました。しかし、1年ほど前にですが、全く別の持病がうつ病に大きな影響を与えていたことがわかったんです。この持病の治療を開始して3カ月で、「PHQ-9」(精神疾患を診断、評価するための指標)が、26(重度)から0へと劇的に改善し、寛解状態になりました。

叶輝さん(以下、叶):「PHQ-9」っていうのは、うつ病で病院に通っている人は知ってる用語?

朝待:知ってる。精神科医にも、カウンセラーさんにも、「今、『PHQ-9』はこういう状況で……」と伝えることがある。「PHQ-9」が0になることって、結構ありえないことらしいんですよ。だから、体験したことや考えたことをまとめて、治療記として、なにかしらの形でアウトプットしたいと考えています。

叶:私は重めの作品が続いたので、描いていても読んでいても楽しめる、ラブコメジャンルの準備を進めています。あと、内容やテーマは未定ですが、将来また二人で面白い作品を描きたいですね。

――本作を世に送り出すことには、お二人にとって、どんな意味がありましたか?

朝待:私は、朔太郎をただ「病気で死んだ猫」にしたくなかった、という想いがありました。朔太郎の“生”には、生きるに値する「意味」がたしかにあったのだと。そして、私が朔太郎からもらった、その「意味」を、誰かに差し出したかったのだと思います。

この作品を必要とする人は、“朔太郎”に出会えると思っています。そういった人に届くと嬉しいですね。

叶:私にとっては、朔太郎の存在と思い出を世に残し、朝待くんの成功体験を作ることができた作品でした。個人的には、どんな方に読んでいただいても嬉しいです! ただ、もしも読者のみなさまの中に、野良猫ちゃんのことで悩んでいる人、仕事や生きる環境で悩んでいる人、病気の家族を抱えている人がいて、そんな人たちの人生の一瞬にでも寄り添えたら……。この作品を描いて良かったなと、幸せだなと思いますね。

取材・文=松本紋芽

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