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装飾美術館のアール・デコ100周年展で、1925年の室内装飾とモード。

  • 2026.3.1

1925年にパリでアール・デコ展(L'exposition internationale des arts décoratifs et industriels modernes)が開催されてから100年が経過。トロカデロ広場に面したCité de l'architecture et du patrimoine(建築文化財博物館)では、『Paris 1925, l'art déco et ses architectes(パリ1925年、アール・デコとその建築家たち)』展を3月29日まで行っている。これはアール・デコ展の会場に建てられたパビリオン、その建築家にフォーカスを置いた企画だ。

パリ装飾美術館では『1925-2025 Cent ans d'Art déco』と題した展覧会を4月26日まで開催。こちらは館内3フロアを使っての展覧会で、そのうちの1フロアであるレヴェル1では前回紹介したように"蘇るオリエント・エクスプレス"についての展示。そこに至る最初のレヴェル2ではアール・デコとは?を解説し、その上のレヴェル3ではデコレーターやデザイナーにフォーカスを置いている。展示されているのは、ほとんどが100年前の作品。まとめて一度に鑑賞することで、大いなるインスピレーションを後世に与え続けているアール・デコ・スタイルの廃れぬモダニティに驚かされる展覧会だ。

photography: ©MADPARIS

1920年代のモード、家具、オブジェが一堂に会して、誰の目にもアール・デコ・スタイルの視覚効果の高さを納得させる装飾美術館らしい展示だ。photography: Mariko Omura

展覧会は1925年4月18日に開幕したアール・デコ展についての紹介からスタート。1910年代に開催を目指していたものの第一次世界大戦があり、やっと1925年にフランスの商業と文化を世界に知らしめる機会となる万国博覧会は日の目を見たのだ。半年の開催中に1500万人の来場者たちが目にしたモード、デザインの幾つかを会場に展示。また、万博ではカルティエのジュエリー150点も展示されたことから、「カルティエとフォルムの革新」と題したセクションが設けられている。新しい表現のジュエリーの多数の展示に、大勢の目が釘付けに。

1925年のアール・デコ展のパビリヨンの一光景を再現。©MADPARIS

左:エレガンスのパビリオンのためにバゲス兄弟により制作された「歩くパンテール」。右:ソニア・ドローネーは1925年にブティック「Simultané」を設けて、クリエイションを販売した。photography: Mariko Omura

これに続くセクションは「視覚的文法」。誰の目にもこれはまさにアール・デコ・スタイル!という共通言語がある。フラワーバスケット、八角形、白×黒の組み合わせ、ラッカー、ガリューシャや黒檀といった素材......何よりも形態の簡素化と幾何学化という顕著な傾向があげられるのだ。そうしたビジュアル上での共通項を会場では展示。この傾向はキュビスムやフォーヴィズムなどの前衛芸術運動と結びつくのだが、さらに次のセクションの「1910年代と新しいスタイルの始まり」で、スポットを当てているのはアール・ヌーヴォーの衰退からアール・デコという新しい様式が生まれた1910年代だ。

左:フラワーバスケットは家具だけでなく、ジュエリーのデザインにも取り入れられていた。右:展覧会のポスターにも描かれているが、アール・デコの代表的な花はバラ。photography: Mariko Omura

左:オウムを始め鳥もアール・デコ・スタイルが愛したモチーフのひとつ。右:1910年代、アール・デコ・スタイルの始まり。photography: Mariko Omura

フロアを上がると、最初に待っているのはアール・デコ・スタイルの家具に特化した展示だ。ネリー・ドゥ・ロスチャイルド家とジャック・ドゥーセ家のコレクションが披露され、ついで装飾芸術家協会のデザイナーたちの仕事を紹介。この時代を代表するデザイナーであるジャック=エミール・リュルマン、アイリーン・グレイ、ジャン=ミシェル・フランクについては、それぞれスペースが設けられている。またこの時代の家具を愛するデコレーターのジャック・グランジュが家具をセレクション......というように、様々なアングルでアール・デコ・スタイルの家具を紹介。このフロアでは、アール・デコ展のフランス大使館のパビリオンのために、ピエール・シャローがイメージした大使のプライベート・アパートメント内の書斎・ 図書室のプロジェクトの再構築も見所なら、ルネ・ラリックによる1925年アール・デコ展のラリック館の入り口の扉という貴重な展示も見逃せない。

クチュリエ&コレクターのジャック・ドゥーセの自宅を彩ったアール・デコの家具。1972年にオークションで散逸した。©MADPARIS

左:ピエール・シャローがイメージしたフランス大使館内の住居の書斎・図書室の再現。右:ルネ・ラリックによる、光の遊びと装飾性を備えたラリックのパビリオン用の扉。1925年。photography: Mariko Omura

ジャン=ミシェル・フランクやアイリーン・グレイなど、アール・デコ期の代表的デザイナーには大きくスペースを割いている。©MADPARIS

上のフロアの展示を締めくくりは、「旅への嗜好」というテーマだ。1920~30年代に急速に交通手段が発達したことから、観光産業が開花。エリートたちの贅沢な旅をここに見ることができる。この展示が"蘇るオリエント急行"の導入となり、来場者たちはレヴェル1へと誘われるのだ。

なおレヴェル3のこの最後の部屋では、1925年のアール・デコ展のマレ=ステヴァンが設計したインフォメーションセンターの模型を見ることもできる。国内・海外から集まる来場者のために、グラン・パレとセーヌ河のコーナーに設けられたパビリオンだ。この建築物についてはトロカデロの展覧会でより詳しく紹介されているので建築ファンはそちらも訪問するといいだろう。

左:豪華客船ノルマンディー号の食卓。右:マレ=ステヴァンによるアール・デコ展のインフォメーション・センターの模型。photography: Mariko Omura

『1925-2025 Cent ans d'Art déco』展開催中~4月26日Le Musée des arts décoratifs107, rue de Rivoli75001 Paris開)11:00~18:00(火、水、金~日)、11:00~20:00(木)休)月料)15ユーロhttps://madparis.fr/

 

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