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「1万2000円+6000円」反則金が合算される…自転車の“ながらスマホ”の落とし穴

  • 2026.4.11
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

自転車に乗りながらスマートフォンを操作する、いわゆる「ながらスマホ」。つい地図アプリを見ながら走行しているうちに信号を見落とし、そのまま交差点に進入してしまう...そんな場面、思い当たる人もいるかもしれません。

しかしその行為、実はひとつの違反では済まない可能性があります。「ながらスマホ」と「信号無視」が重なった場合、どのように扱われるのでしょうか。

見過ごされがちな日常の行動が、思わぬリスクにつながることも。今回は、自転車の交通ルールについて、弁護士の寺林智栄さんに解説していただきました。

自転車の「ながらスマホ」と信号無視は、同時に罪になる?

---自転車を運転中にスマートフォンを操作し、赤信号の交差点に進入した場合、どのような違反になりますか?

寺林智栄さん:

「自転車を運転中にスマートフォンを手に持って操作しながら走行し、そのまま赤信号の交差点に進入した場合、少なくとも2つの交通違反が問題となります。

まず、スマートフォンを手に持って操作しながら自転車を運転する行為は、いわゆる『ながらスマホ』に該当します。道路交通法では、自転車も『軽車両』として車両の一種に位置付けられており、安全運転義務(道路交通法70条)が課されています。スマートフォンの操作によって前方不注意となる行為は、この安全運転義務違反に該当します。各都道府県の公安委員会規則でも、携帯電話の使用を禁止する規定が整備されており、違反すれば罰則や反則金の対象となる可能性があります。

次に、赤信号の交差点に進入した行為は『信号無視』です。自転車であっても信号機の表示に従う義務があり、赤信号で交差点に進入すれば信号無視違反となります。したがって本件では、安全運転義務違反と信号無視という複数の違反が同時に成立し得る点に注意が必要です。特に事故につながった場合には過失が重く評価される可能性が高く、民事責任にも直結する重要な問題といえます。」

複数の違反が同時に成立した場合、反則金はいくらになる?

---もし「ながらスマホ」と「信号無視」を同時に行った場合、反則金は合算されますか?

寺林智栄さん:

「交通反則通告制度では、原則としてそれぞれの違反ごとに独立して反則金が課されると考えられています。つまり、スマートフォンを保持・操作しながら運転していた違反と、赤信号無視という違反は別個の危険行為であり、『どちらか一方だけが適用される』という関係にはなりません。自動車や原付の交通反則制度と同様、同一場面で複数の違反が確認されれば、違反ごとの反則金が併科(合算)されるのが基本的な運用です。

したがって、今回のケースでは、①ながらスマホ:1万2000円②信号無視:6000円がそれぞれ適用され、合計1万8000円程度となる可能性が高いと考えられます。

実務上も、危険性が重なる行為は取り締まり対象として重視される傾向があります。特に『ながらスマホ+信号無視』は事故リスクが極めて高い組み合わせであり、警察の重点取り締まり対象となる可能性が高いでしょう。そのため、実際の金額の目安としては、今回のようなケースではおおむね1万8000円前後になると理解しておくのが実務的です。」

「地図アプリを一瞬見るだけ」はセーフ?改正で厳格化したルール

---自転車運転中に地図アプリを一瞬確認する程度であれば、違反にはなりませんか?

寺林智栄さん:

「結論としては、『一瞬だから必ずセーフ』とは言えず、状況次第で違反となる可能性があります。2024年の道路交通法改正により、自転車運転中のいわゆる『ながらスマホ』は明確に禁止され、従来より厳しい罰則が設けられました。今回の改正のポイントは、『スマートフォンを手に持って使用する行為』だけでなく、『画面を注視する行為』も違反として明確化された点にあります。

停止中を除き、自転車を運転しながら通話したり、メッセージの確認・送信、SNS閲覧、検索、動画視聴などを行うことは原則として違反となります。また、スマートフォンを自転車に固定している場合であっても、画面を見続けて周囲の安全確認がおろそかになるような『注視』は違反と判断される可能性があります。

改正の趣旨は、スマートフォンへの注意が向くことで安全運転義務が果たせなくなる行為を広く防止することにあります。そのため、たとえ短時間であっても、画面を注視した結果として前方不注視や安全確認不足が認められれば違反と評価され得ます。特に走行中にスマホを手に持って確認する行為は、時間の長短にかかわらず違反と判断される可能性が高いと考えられます。安全に地図を確認するためには、必ず安全な場所に停止してから操作することが求められます。」

改めて意識したい、自転車は「軽車両」であるという自覚

今回、専門家の見解を通じて明らかになったのは、自転車も自動車と同様に「軽車両」として厳しい交通ルールが課されているという事実です。特に、ながらスマホと信号無視が重なれば反則金が合算される点や、地図アプリの確認といった日常的に行いがちな動作も違反になり得る点は、多くの人が改めて認識しておくべきでしょう。

2026年4月からの制度変更も控え、自転車利用者にはより高い安全意識が求められます。事故のリスクを減らすためにも、スマートフォンを使用する際は、必ず安全な場所に停止するというルールを徹底しましょう。


監修者:寺林智栄

2007年弁護士登録。札幌弁護士会。てらばやし法律事務所。2013年頃よりネット上で法律記事の執筆・監修を開始。Yahoo!トピックスで複数回1位獲得。読む方にとってわかりやすい解説を心がけています。


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