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ホオジロザメは「年齢に応じた歯」を生やしていた

  • 2026.2.2
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

ホオジロザメと聞くと、三角形でギザギザの鋭い歯をもつ“最強の捕食者”の姿を思い浮かべるでしょう。

しかし実は、その歯は生まれたときからずっと同じ形をしているわけではないようです。

豪シドニー大学(The University of Sydney)らの最新研究により、ホオジロザメは成長段階に応じて、まるで「年齢別に設計されたかのような歯」を生やしていることが明らかになりました。

歯は単なる武器ではなく、サメの生き方そのものを映し出す存在だったのです。

研究の詳細は2026年1月26日付で科学雑誌『Ecology and Evolution』に掲載されています。

目次

  • サメの歯は「使い捨て」だが、同じではない
  • 体長3メートルが「歯の人生」の分かれ目

サメの歯は「使い捨て」だが、同じではない

サメの歯はよく知られているように、一生を通じて何度も生え替わります。

新しい歯がベルトコンベアのように次々と前へ押し出され、数週間ごとに交換されていくのです。

この仕組みは、失われたり欠けたりした歯を補うためのものだと考えられてきました。

しかし研究者たちは、そこにもう一つ重要な意味があることに注目しました。

それは「歯の形そのものを、成長段階に合わせて更新できる」という点です。

今回の研究では、約100個体におよぶホオジロザメの歯をアゴ全体にわたって詳細に分析。

その結果、歯の形は単に上下で違うだけでなく、口の前後、さらには年齢によっても体系的に変化していることがわかりました。

まず、アゴの前方に並ぶ最初の6本ほどの歯は、比較的左右対称で三角形をしています。これらは獲物を突き刺したり、しっかりとつかんだりするのに適した形です。

一方、それより奥に並ぶ歯は、より刃物のように細長くなり、肉を引き裂く役割を担っています。

この構造は、人間の前歯と奥歯の役割分担にもよく似ています。

ホオジロザメの顎は、一本一本の歯が異なる仕事を担う、高度に分業化されたシステムだったのです。

体長3メートルが「歯の人生」の分かれ目

特に劇的な変化が起こるのは、ホオジロザメが体長およそ3メートルに達する頃です。

幼いホオジロザメは、主に魚やイカを食べて暮らしています。この段階の歯は細身で、歯の付け根に独特な小さな突起が付いていることが多く見られます。

この構造は、滑りやすい小型の獲物をしっかり保持するのに役立ちます。

ところが成長が進み、体長が約3メートルに近づくと、歯の様子が一変します。

独特な小さな突起は消え、歯はより幅広く、厚みを増し、縁にははっきりとした鋸歯が現れるようになります。

これはホオジロザメの食生活が大きく変わるタイミングと一致しています。

成体に近づいたホオジロザメは、アザラシやイルカといった海棲哺乳類を主な獲物とするようになります。

こうした獲物は大型で、脂肪層や骨も厚く、単につかむだけでは仕留められません。

そのため必要になるのが「つかむ歯」ではなく、「切り裂く歯」です。

実際、この段階のホオジロザメは、密な肉や骨さえも断ち切れる、新しいタイプの歯を獲得していました。

さらに詳しく見ると、アゴの中央にある4本の歯は、特に付け根が厚くなっており、最初の噛みつきで最も大きな衝撃を受け止める役割を担っていると考えられます。

一方、上アゴの一部の歯は、もがく獲物を保持するのに適した角度と配置をしており、捕食の各段階に応じた役割分担が見えてきました。

歯はホオジロザメの「生きた履歴書」

今回の研究が示したのは、ホオジロザメの歯が単なる固定された武器ではないという事実です。

歯は、生涯を通じて更新され続けることで、失われた機能を補うだけでなく、成長とともに変化する生活様式そのものを反映していました。

魚を追っていた幼少期、そして海棲哺乳類を狙う頂点捕食者としての成熟期。

そのすべての段階が、歯の形として刻み込まれていたのです。

歯を見れば、そのサメが「何を食べ、どんな生き方をしてきたのか」がわかる。

ホオジロザメの口元には、まさに一生分の物語が詰まっていました。

参考文献

Great White Sharks Grow Deadly New Types of Teeth as They Age
https://www.sciencealert.com/great-white-sharks-grow-deadly-new-types-of-teeth-as-they-age

元論文

Form, Function and Feeding: Changes in Tooth Size and Shape Associated With Ontogenetic Changes in Prey Consumption by Australian White Sharks (Carcharodon carcharias)
https://doi.org/10.1002/ece3.72795

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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