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新築マンションを「今の家賃より安いから」で買うと地獄を見る。元管理会社員が暴露…“安すぎる維持費”の罠

  • 2026.2.9
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。管理会社の元社員として、業界の「裏も表も」見てきた不動産ライターのS.Kです。

マンション購入を検討する際、物件価格と同じくらい気になるのが「月々のランニングコスト」ではないでしょうか。「ローンの返済に管理費・修繕積立金などの維持費を足しても、今の家賃より安い」という理由で購入を決める方は少なくありません。

しかし、その「安さ」の裏には、将来家計を直撃するかもしれない大きなリスクが潜んでいることがあります。今回は、私が管理会社に勤務していた頃に見聞きした、修繕積立金設定の裏側と、購入後に待ち受ける「値上げ」の現実についてお話しします。

新規分譲マンションの「安さのカラクリ」

新規分譲マンションのプロジェクトにおいて、売主であるデベロッパーには「月々の支払総額(ランニングコスト)を可能な限り低く見せたい」という強い意向がありました。

本来、建物を将来にわたって健全に維持するために必要な積立金額には一定の基準があります。しかし、販売時の「売りやすさ」を優先するため、当初の積立金を本来必要な額から大幅に引き下げて、5〜10年ごとの値上げで補填していく「段階増額方式」が多くの物件で採用されていたのです。

待ち受ける「合意形成」の壁とスラム化リスク

もちろん、段階増額方式には「建物の劣化状況に合わせて柔軟に積立金額を調整できる」という合理的な側面もあります。しかし、最大の問題は「計画通りの値上げがスムーズに進まないケースがある」という点です。

分譲時に「計画通りなら大丈夫」と説明されていても、いざ決議の段になると「聞いていない」「払えない」といった反対意見が噴出し、合意形成が難航する光景は珍しくありません。

国土交通省は定額の「均等積立方式」を推奨していますが、販売時の安さを優先する業界事情により今ひとつ普及していません。資金確保に失敗すれば適切な修繕が行えず、資産価値が下落して「スラム化」のリスクさえあります。

目先の安さよりも「持続可能性」の確認を

これからマンションを購入される方、あるいは既に居住されている方に、元業界関係者として強くお伝えしたいのは、目先のランニングコストの安さだけで判断しないでほしいということです。

購入時にはぜひ「長期修繕計画書」を確認し、将来の積立金がいくらになるのか、その上昇カーブをご自身で把握してください。修繕積立金の安さは「お得」なのではなく、将来へ「ツケを回しているだけ」に過ぎない可能性があります。ご自身のマンションが持続可能な資金計画になっているか、今一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

「今支払う金額が安いか」ではなく「将来いくらかかるか」を正しく理解し、納得した上で購入すること。その冷静な判断こそが、資産価値と快適な暮らしを守る第一歩となります。



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


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