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60代の貯蓄額『平均値と中央値』はいくら?→お金のプロがズバリ回答。老後資金を増やす「効果的な方法」とは?

  • 2026.2.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「周りの人はどれくらい貯めているのだろう」――。老後が現実味を帯びる60代、自分の貯蓄額に不安を感じる方は少なくありません。最新の調査では、60代の貯蓄額の「平均値」と、より実態に近い「中央値」の間に大きな開きがあることが浮き彫りになっています。十分な備えがある世帯と、そうでない世帯。この「二極化」を分ける要因は、一体どこにあるのでしょうか。 本記事では、1級FPの中川佳人さんにインタビュー。最新の統計データを紐解きながら、60代からでも間に合う効率的な資産運用、さらには「投資の利回り」以上に効果的な家計の見直し術について詳しく伺いました。平均という数字に惑わされず、自分らしい安心な老後を送るための具体的な「第一歩」を提案します。

60代の貯蓄、最新データが示す「二極化」の現実

---60代の貯蓄額の平均値と中央値がいくらでしょうか?また大きな差が生まれる背景には、どのような資産形成の習慣や金融リテラシーの違いが影響しているのでしょうか?

中川 佳人さん:

J-FLEC(金融経済教育推進機構)『家計の金融行動に関する世論調査』(2025年)によれば、60代の金融資産保有額は、二人以上世帯で平均値が2,683万円、中央値が1,400万円となっています。

一方、単身世帯では平均値が約1,364万円、中央値は300万円にとどまっており、世帯形態によって大きな差があることが分かります。

また、平均値と中央値の間に大きな開きがある点も特徴です。これは、一部の高額資産保有層が平均値を押し上げる一方で、十分な金融資産を持たない世帯も少なくないためです。特に単身世帯では中央値が低く、いわゆる『資産の二極化』が進んでいる状況だと言えるでしょう。

こうした差が生まれる背景には、長年にわたる資産形成の習慣や金融リテラシーの違いがあります。早い段階から資産形成に取り組んできた世帯では、現預金に偏らず、株式や債券などを活用しながら、長期的な視点で資産を増やしてきました。あわせて、住宅費や保険料、通信費といった固定費を定期的に見直す習慣も見られます。

一方で、預貯金中心の資産構成が続き、資金計画が十分でないまま家計の見直しを後回しにしてきた世帯では、資産形成が思うように進まず、老後資金への不安を抱えやすくなります。

大切なのは、平均値という数字に振り回されないことです。より実態に近い中央値を参考にしながら、今からできる対策を考えることが、老後資金への不安を和らげる第一歩になります。」

金利比較よりも大切?60代が知っておくべき「管理コスト」のリスク

---60代が老後資金を増やすために「定期預金の金利比較」や「個人向け国債の購入」を検討する際、見落としがちなリスクや注意すべきポイントを教えてください。

中川 佳人さん:

「60代の老後資金対策では、商品ごとの利回りだけでなく、管理コストに目を向けることが重要です。比較や契約にかかる時間、口座を管理し続ける手間も含めて考えることで、無理のない資産形成につながります。

おすすめの方法としては、現金と株式で資産を保有する考え方です。生活防衛資金や特別費、近い将来に使い道が決まっているお金は、普通預金などの現金で確保しておくと安心です。一方で、物価上昇に対応するため、資産の一部は投資信託などを通じて株式に投資し、長期的に資産を育てていくことが有効です。多くの人にとって、この現金と株式を組み合わせたポートフォリオは、分かりやすく管理しやすい方法だと言えるでしょう。

定期預金を利用すること自体は、決して悪い選択肢ではありません。元本割れの心配がなく、普通預金より金利が高い点はメリットです。ただし、わずかな金利差を求めて金融機関を比較し、新たに口座を開設すると、管理の手間が増えやすくなります。比較や申し込みにかかる時間的なコストも、あらかじめ意識しておきたいポイントです。

個人向け国債も、リスクを抑えて運用したい人にとっては有効な選択肢です。価格変動が小さく安心感がある一方で、利回りは限定的であり、物価上昇局面ではインフレに対応しにくい点には注意が必要です。

大切なのは、良い商品を探すことそのものよりも、自分にとって管理しやすく、続けやすい形で資産を持つことです。時間や手間も含めて総合的に判断し、自分に合った資産形成の方法を選んでいきましょう。」

今日からできる!老後不安を解消する「最も効果的な第一歩」

---老後資金に不安を感じる60代が、今日から無理なく始められる「最も効果的な第一歩」を具体的に教えていただけますでしょうか。

中川 佳人さん:

「老後資金に不安を感じている60代の方が、今日から無理なく始められる最も効果的な第一歩は、自身の家計を見える化し、固定費を中心に支出を見直すことです。特に住居費、保険料、通信費といった毎月自動的に出ていく支出は、老後の家計に大きな影響を与えます。

実際の数字を把握しないまま、漠然とした不安を抱えていても、具体的な対策を立てることはできません。まずは現在の支出と収入、年金の見込み額を整理し、今後どの程度不足する可能性があるのかを数字で把握することが重要です。この作業だけでも、多くの方が『思っていたより深刻ではなかった』、あるいは『今からでも手を打てる』と感じるようになります。

具体的な行動としては、年金の見込み額を確認したうえで、保障内容が過剰になっている保険を整理したり、スマートフォンを格安プランに切り替えたりすることが挙げられます。利用頻度の低いサブスクリプションサービスを解約するだけでも、月々の支出は着実に減っていくでしょう。

仮に毎月5万円の固定費を削減できれば、その効果は一時的なものではなく、今後何年にもわたって続きます。これは大きな元本を運用するのと同程度の効果があり、しかも資産運用のような価格変動リスクを伴いません。
統計上の平均額に振り回されるよりも、自分の家計に合った形で支出を整えることが、老後資金の不安を和らげる最も現実的で効果的な第一歩になります。」

『平均』に振り回されない。自分に合った家計の形を整えることが最大の防衛策

老後資金の備えは、多ければ多いほど安心なのは事実です。しかし中川さんが語るように、統計上の「平均値」に届かないからといって、悲観する必要はありません。大切なのは、自分の家計の収支と年金の見込み額を正しく把握し、今の生活に合った形に支出を整えることです。 月々の固定費を削減することは、リスクのない確実な「利回り」を生み出すことと同じです。無理をして不慣れな投資に手を出す前に、まずは身近な支出の見直しから始めてみてください。家計がスリムになれば、手元の資産を育てる余裕も生まれます。「今からでもできること」に目を向け、一歩ずつ進むことが、老後の安心を確かなものにしてくれるはずです。


参考:J-FLEC(金融経済教育推進機構)『家計の金融行動に関する世論調査』(2025年)

監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。


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