1. トップ
  2. 「資産を減らしてしまう」お金のプロが警告。『NISA』や『iDeCo』を始めないほうが良い…逆に「損になる人」の特徴とは?

「資産を減らしてしまう」お金のプロが警告。『NISA』や『iDeCo』を始めないほうが良い…逆に「損になる人」の特徴とは?

  • 2026.2.6
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「新NISAやiDeCoに興味はあるけれど、自分にはもう遅いのでは?」「損をしたらどうしよう」――そんな不安から、最初の一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。特に30代は人生の転機が多く、50代は老後が目前に迫る時期。どのタイミングで、どのような条件で始めるのが正解なのか、判断に迷うのは当然です。本記事では、金融機関で20年のキャリアを持つ1級FPの中川佳人さんにインタビュー。投資の成否を分ける「15年」というキーワードや、年齢に関わらず守るべき「生活防衛資金」の重要性について詳しく伺いました。流行に流されるのではなく、自分の家計状況とライフプランに照らし合わせた、最も堅実で安心な資産形成のヒントをお届けします。

50代からでも間に合う?運用効果を最大化する「15年」の考え方

---50代以降でNISAやiDeCoを始める場合、運用期間の短さや非課税メリットの享受という観点から、どのような条件を満たせば始める意義があると言えるのでしょうか?

中川 佳人さん:

「50代以降でNISAやiDeCoを始める意義があるかどうかの一つの目安は、15年以上の投資・運用期間を確保できるかどうかです。年齢だけで判断するのではなく、いつまで積み立て、いつからどのように使うのかを具体的に描けるかが重要になります。

理由は、資産運用の成果は短期間では安定しにくく、一定以上の時間をかけることで価格変動の影響が平準化されやすくなるためです。新NISAは非課税期間が無期限で、50代から始めても60代後半、70代以降まで運用を続けることができます。また、iDeCoは掛金が全額所得控除となるため、拠出時点で確実な節税効果が得られ、運用期間が長いほどそのメリットを積み重ねやすくなります。

例えば、50代前半でスタートし、65歳まで積み立て、その後も70代まで取り崩しを行うと、運用と受取を合わせて15年以上の期間を確保できます。この場合、価格変動リスクを抑えながら非課税メリットや所得控除の効果を活かしやすくなります。年収があり、iDeCoでの掛金拠出によって所得税・住民税の負担を軽減できる環境であれば、実質的な利回りを底上げする効果も期待できます。

一方で、数年以内に使う予定の資金や、生活費に近いお金を充てるのは適切ではありません。退職後の生活を見据え、15年以上の投資期間で資金を育てられる状況であれば、50代からのNISAやiDeCoは老後資金の安定性を高める有効な選択肢と言えるでしょう。」

要注意!NISA・iDeCoを「今は始めない方が良い」ケースとは

---多くの方が老後資金対策として検討しているNISAやiDeCoですが、年齢や資産状況によっては始めない方が良いケースや、逆効果になるリスクはありますか?

中川 佳人さん:

「NISAやiDeCoを無理に始めない方が良いケースは、年齢や資金の使い道によって15年以上の投資期間が取れない場合や、生活防衛資金や特別費が十分に準備できていない場合です。このような状況では、相場の影響を受けやすく、結果として資産を減らしてしまう可能性があります。

まず確認したいのが、生活防衛資金と特別費の準備状況です。病気やケガ、収入減少に備える生活防衛資金は、生活費の半年から1年分を目安に現金で確保しておくと安心です。加えて、住宅修繕や車の買い替えなど、数年以内に想定される特別費も見込んでおく必要があります。これらが不十分なまま投資を始めると、相場の下落時に資金を取り崩し、損失を確定させてしまうリスクが高まります。

次に注意したいのが投資期間の問題です。年齢や資金の使い道によって15年以上の運用期間を確保できない場合、取り崩しを考えた時期に価格が下落している可能性が高まります。特にiDeCoは原則60歳まで引き出せない制度であり、数年以内に使う予定のある資金や生活費に近いお金には向きません。また、所得税や住民税をほとんど納めていない場合、掛金の所得控除という最大のメリットを十分に活かせない点にも注意が必要です。

したがって、まずは現金で生活防衛資金と特別費を整え、そのうえで15年以上の投資期間が取れるかを冷静に見極めることが重要です。条件が合わない場合は無理に制度を使わず、家計の安定を優先する判断も、老後の安心につながる現実的な選択と言えるでしょう。」

失敗しないための「最初の一歩」。明日から始める3ステップ

---NISAやiDeCoを始めたいと考えている人が、明日からでも踏み出せる「最初の一歩」として、まず何から始めるべきか具体的に教えていただけますでしょうか。

中川 佳人さん:

「NISAやiDeCoを始めたいと考えたとき、最初の一歩として最も大切なのは、生活防衛資金を確保することです。投資を始める前に、まずは家計の土台を安定させておくことが欠かせません。

理由は、投資はあくまで余剰資金で行うべきものであり、日々の生活や近い将来に使うお金が十分に準備できていない状態では、相場の変動に対処できなくなるからです。生活防衛資金が確保できていれば、相場が一時的に下落した場面でも慌てて売却する必要がなくなり、長期的な視点で運用を続けやすくなります。

生活防衛資金を整えた次に意識したいのが、投資の目的を明確にすることです。いつ、何のために使う予定のお金なのかによって、運用期間や取るべきリスクは大きく変わります。目的が曖昧なまま制度や商品を選んでしまうと、不安が先立ち、途中で投資をやめてしまうケースも少なくありません。

目的を整理するうえで有効なのが、ライフプランを立てることです。将来の収入や支出、まとまったお金が必要になる時期を書き出すことで、必要な資金の全体像が見えてきます。その結果、投資に回せる余剰資金の範囲も自然と明確になります。

まずは現金で生活防衛資金を整え、次にお金の使い道と時間軸を整理する。この順番を守ることが、NISAやiDeCoを安心して活用するための、最も堅実なスタートと言えるでしょう。」

投資は『安心の土台』があってこそ。自分に最適なタイミングを見極めよう

資産形成において「早く始めること」は確かに有利ですが、それ以上に大切なのは「自分の足元を固めてから始めること」です。中川さんが提唱するように、まずは生活防衛資金を確保し、15年以上の長期視点を持てる準備を整えることが、結果として資産寿命を延ばす近道になります。 NISAやiDeCoはあくまで人生を豊かにするための手段の一つ。年齢という数字に縛られすぎず、まずは自身の家計と向き合い、無理のない範囲で未来への投資を考えてみてください。確かな知識と準備さえあれば、いつスタートしても、それはあなたにとっての「最良のタイミング」になるはずです。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK】