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60代男性「毎月いくら貯金すれば老後に困らない?」→お金のプロがズバリ回答。老後破産を防ぐ「たった1つの備え」とは

  • 2026.2.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

 

「老後資金はいくらあれば安心なのか」「再雇用で収入が減る中、どう備えるべきか」——リタイアを目前に控えた60代にとって、お金の不安は避けて通れない課題です。かつての「老後2000万円問題」などの言葉に惑わされがちですが、本当に大切なのは平均値に一喜一憂することではなく、自分自身の「収支の現実」を正確に把握することにあります。

今回は、金融機関勤務の現役マネージャーで1級ファイナンシャル・プランニング技能士の中川佳人さんが、60代から始める現実的な家計管理と資産寿命の延ばし方を解説します。不足する資金の具体的な算出方法から、インフレや健康リスクへの備え、そしてNISAを活用した運用の考え方まで。現役引退後の生活を「守り」と「備え」で安定させ、穏やかなセカンドライフを送るための処方箋をお届けします。

「いくら必要?」の正解は自分の中に。まずは年金と支出の“ギャップ”を知る

貯金をしているけれど、このままの金額で良いのか、実際にプロの相談してアドバイスを貰えると良いと考えています。貯金・資産形成に関すること、具体的に「毎月いくら貯金すれば老後に困らないのか」、「貯金がなかなか増えないけど、どうしたら良いのか」を教えてください。(64歳・男性)

---60代から老後資金を準備する場合、一般的な年金受給額を前提とすると、最低でも『毎月いくら』の積立が必要でしょうか?また、再雇用で収入が減る中でその金額を捻出するための、家計見直しの優先順位を教えてください。

中川 佳人さん:

「60代から老後資金を準備する場合、『毎月いくら積み立てれば安心か』という明確な正解はありません。

老後に必要なお金は、年金の受給額や生活費、住まいの形によって大きく変わるためです。そのため、まずは将来もらえる年金額や老後の支出、手元資産を整理し、再雇用で収入が減った後の家計を把握することが、見直しの出発点になります。ただし、計画を立てるうえでの目安として、平均的なデータを知っておくことにも意味があるため、ここでは平均値を紹介します。

総務省統計局『家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2024年(令和6年)平均結果の概要』によると、65歳以上の夫婦無職世帯では、年金などの平均収入が月25万2,818円に対し、平均支出は月28万6,877円となっており、毎月約3万4,059円の不足が生じています。

この状態が30年間続くと、不足額は約1,226万円になります。仮にこの金額を年金受給前の60〜65歳の5年間で準備すると、単純計算では月20万円前後の積立が必要になります。ただし、この統計には高収入世帯も含まれており、あくまで平均値である点には注意が必要です。

再雇用で収入が減る中では、まず収支と資産の全体像を把握することが優先です。そのうえで、ライフプラン表を作成し、いつ、どれくらい不足しそうかを整理すると、無理のない対策が見えてきます。必要に応じてファイナンシャル・プランナーなどの専門家の力も借りながら、老後のライフプランを作ってみましょう。」

老後破産を防ぐ処方箋。「長く働く」×「生活費の見直し」で資産寿命を延ばす

---老後破産を防ぐ『備え』とは、具体的にどのようなアクションを指すのでしょうか?今日からすぐに始められる具体的な第一歩を教えてください。

中川 佳人さん:

「老後破産を防ぐための『備え』とは、特別な資産形成を行うことではなく、老後の支出と収入の関係を正しく把握し、無理のない家計を続けることです

。まず重要なのは、老後にどれくらいの生活費がかかるのかを把握し、年金などの収入の範囲で暮らせるよう家計を見直していくことです。支出が収入を上回る状態が続けば、どれだけ貯蓄があっても資産は確実に減っていきます。

そのうえで、働くことができる人は、可能な範囲で就労を続けることも有効な備えになります。収入を得られる期間が少し延びるだけでも、貯蓄の取り崩しを抑える効果があり、老後資金に余裕を持たせやすくなります。

さらに、長い老後生活ではインフレの影響も無視できません。物価が上がる中で、すべてを預貯金で持ち続けると、実質的な資産価値は目減りしてしまいます。そのため、生活資金とは切り分けたうえで、資産の一部をNISAなどで運用し、インフレ負けを防ぐ工夫も必要です。大きなリスクを取る必要はなく、長期・分散投資を意識した運用を取り入れるだけでも、資産寿命を延ばす効果が期待できます。

老後破産を防ぐための第一歩は、老後の生活費と年金額を確認し、自分の家計がどのような状態にあるのかを知ることです。そのうえで、必要に応じて家計の見直しや就労の継続、資産運用を検討し、自分に合った備えを考えていきましょう。」

もしもの時のバックアップ術。医療・介護費を「特別費」として分ける重要性

---老後資金の不安を解消するために『長く働く』ことは有効ですが、60代以降は健康リスクも高まります。病気や介護で働けなくなった瞬間に『備え』が崩れないようにするための、バックアッププランやリスク管理はどうあるべきでしょうか?

中川 佳人さん:

「病気や介護などで働けなくなった時に、老後の備えが崩れないようにするために重要なことは、医療・介護費を含む『特別費』を、日常の生活費とは切り分けて準備しておくことです。想定外の支出が発生しても、生活の土台を揺るがさない仕組みを持つことが安心につながります。

老後資金の不安を和らげる手段として『長く働くこと』は重要ですが、60代以降は体調の変化や家族の事情などにより、突然収入が途絶えるリスクも高まります。老後の支出は、年齢とともに医療費や介護費、住まいの修繕費などが発生しやすく、これらは毎月の生活費とは別枠で必要になることが少なくありません。

そこで、急な支出が生じても対応できるよう、一定の現金や、すぐに換金できる資産を『特別費』として確保しておくことが重要になります。生活費と分けて管理することで、収入が途絶えた局面でも家計全体が崩れにくくなります。

あわせて、働けるうちにNISAなどを活用して資産運用を行い、リタイア後は運用と取り崩しを併用する仕組みを整えておくことで、資産寿命を延ばす効果も期待できます。可能な限り長く働く努力を続けつつ、それに依存しすぎない備えを用意しておくことが、健康リスクに左右されない老後の安心につながるでしょう。」

「現状把握」こそが最大の安心。無理のない運用と備えで、ゆとりある老後へ

老後の不安を解消するための最短ルートは、まず「己を知る」ことです。平均データはあくまで目安に過ぎません。自身の年金受給額と想定される支出を照らし合わせ、不足分を「見える化」することから全てが始まります。再雇用で収入が維持できるうちに、生活水準を年金の範囲内に整えつつ、予期せぬ医療・介護費を「特別費」として生活費とは別枠で確保しておきましょう。

また、インフレによる資産目減りを防ぐため、NISAなどを活用した適度な運用を取り入れることも現代の老後戦略には欠かせません。「長く働く」ことで収入を支えつつ、万が一働けなくなった時のバックアッププランを同時に整える。この両輪の備えがあれば、健康リスクや物価高に怯えることなく、心豊かなセカンドライフを歩んでいけるはずです。


参考:総務省統計局『家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2024年(令和6年)平均結果の概要』

監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。


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