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「生で食べないで」厚労省が“異例の注意喚起”→アニサキス食中毒を招いてるかも…魚を食べる前の「2つの注意点」とは?

  • 2026.2.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

新鮮な魚がどこでも手に入る現代、刺身やカルパッチョを家庭で楽しむ機会が増えました。しかし、その一方で「アニサキス」による食中毒のニュースを耳にすることも多くなっています。「新鮮なら安心」と思われがちですが、実は鮮度が良いほどアニサキスも元気な状態で残っているという意外な落とし穴があるのです。

厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」では、「魚を購入する際は、より新鮮な魚を選びましょう。」「内臓を生で食べないでください。」と呼びかけています。

本記事では、管理栄養士の工藤まりえさんにインタビュー。アニサキス食中毒が増えている背景や、酢やワサビでは死なない寄生虫の意外な生命力、そして家庭でリスクを最小限に抑えるための具体的な下処理・冷凍方法について詳しく伺いました。

なぜ今、アニサキスが怖い?流通の進化と「生食志向」に潜むリスク

---アニサキスによる食中毒が増加している背景には、どのような魚の流通や消費者の調理習慣が関係しているのでしょうか?

工藤まりえさん:

「アニサキスによる食中毒というと、「最近なんだか増えていて怖いもの」という印象を持つ方も多いかもしれません。でも実は、アニサキス自体は昔から海に存在していた寄生虫です。1960年代に入ってようやく医学的にその存在と、どのように腹痛を起こさせるのかが分かるようになっただけで、それ以前も原因不明の腹痛として見過ごされていたケースは、少なからずあったと考えられています。

では、ここ数年でアニサキスが急に注目されるようになった大きな理由は、魚を取り巻く環境が大きく変わったことにあります。冷蔵・冷凍や輸送の技術が進歩し、今では日本中どこにいても、新鮮な魚が当たり前のように手に入ります。これは私たちにとっては便利ですが、裏を返せば、アニサキスにとっても生きたまま運ばれやすい環境が整ったということ。特にサバやアジ、カツオなどは、鮮度が良いほどアニサキスが元気な状態で残っていることがあります。

さらに、健康志向の高まりも影響しているかもしれません。「魚は体にいい」「生で食べたほうが良さそう」と感じ、家庭でも外食でも刺身やカルパッチョなど生食の機会が増えました。

つまり、アニサキス食中毒は昔からあったものが、流通や保存の技術、そして私たちの食べ方の変化によって、目立つようになってきたというわけです。怖がりすぎる必要はありませんが、正しく知って対策することが、今の時代にはより大切になっています。」

ワサビや酢では死なない!意外と知らない「生命力」と対策の誤解

---家庭で魚を調理する際、目視でアニサキスを見つけて取り除く方法や、冷凍処理の具体的な温度・時間の目安について教えていただけますでしょうか?

工藤まりえさん:

「家庭で魚を調理するときにできるアニサキス対策として、まず意識したいのが「目で見るチェック」と「冷凍を上手に使うこと」です。

アニサキスは白い糸のような見た目で、2〜3cm程度の長さがあるため、肉眼で見つけられることも多い寄生虫です。切り身や柵の中で、くるっと丸まっている姿を見かけることもあります。調理前に明るい場所で身の表面をよく観察し、見つけた場合は、ピンセットなどで確実に取り除き、決してそのままにしないようにしましょう。

ただし、アニサキスは必ずしも表面にいるとは限らず、身の深いところに潜り込んでいる場合もあります。目視はあくまでリスクを減らす手段のひとつで、万全な対策ではない、という認識が大切です。

また、アニサキスは意外としぶとく、酢や塩、わさび、醤油、アルコールでは死にません。「しめサバにしているから大丈夫」「わさびを多めに付ければ安心」というのは、残念ながら誤解です。加えて、表面だけを炙る、いわゆるタタキや皮目炙りのような調理法も万全ではありません。アニサキスは身の中に残ったまま生きていることがあり、見た目が加熱されているからといって安全とは言えないのです。

そこで頼りになるのが冷凍です。家庭では、マイナス20℃以下で24時間以上がひとつの目安。一般的な冷凍庫でも、しっかり凍った状態で丸一日以上置けば、アニサキスは死滅します。生で食べたい魚は、一度冷凍する。この習慣が、家庭でできる最も現実的な対策と言えるでしょう。」

家庭でできる最強の防御策。調理の「流れ」で防ぐ3つのステップ

---アニサキス食中毒を防ぐために、家庭で魚を調理する際に最も重要な処理のポイントと、すぐに実践できる具体的な手順を教えていただけますでしょうか。

工藤まりえさん:

「アニサキス食中毒を防ぐために家庭で最も大切なのは、「魚を買ってから調理するまでの流れ」を意識することです。調理の瞬間だけ注意するのではなく、選び方・保存・下処理まで含めて対策することが重要になります。

まず意識したいのは、魚を買ったらできるだけ早く処理することです。アニサキスは魚が死んだあと、時間が経つにつれて内臓から身のほうへ移動します。丸魚を購入した場合は、帰宅後すぐに内臓を取り除くのが基本です。「あとでやろう」と冷蔵庫に入れたままにすると、その間にリスクが高まってしまいます。切り身や柵でも、購入後は早めに使うか、すぐ冷凍するのがおすすめです。

刺身やカルパッチョなど魚を生で食べる場合は、先ほどお伝えしたように調理前に一度冷凍するのが安心です。ただし、販売時点ですでに冷凍処理されている魚については、家庭であらためて再冷凍する必要はありません。表示を確認し、適切に解凍して使いましょう。

一方、加熱調理する場合は、表面だけでなく中心までしっかり火を通すことが大切です。

目視や下処理済みという情報を過信せず、「素早く処理・生食用はいったん冷凍・加熱用は中心まで十分に」を習慣にすることが、家庭でできる最も確実なアニサキス対策です。」

『正しく知って、正しく防ぐ』。新鮮な魚を安全に楽しむための新習慣

アニサキスは決して「防げない脅威」ではありません。工藤さんが指摘するように、魚の習性を知り、適切な処理を行うことで、食中毒のリスクは大幅に下げることができます。重要なのは、目視や調味料の効果を過信せず、物理的な対策――すなわち「素早い内臓除去」「適切な冷凍」「中心までの加熱」――を習慣化することです。

「新鮮だからこそ注意が必要」という一見矛盾するような事実を理解しておくことが、今の時代の食の安全を守る鍵となります。家庭での調理を少し工夫するだけで、旬の魚を味わう喜びは、より安心で豊かなものになるはずです。今回学んだ下処理の流れを、今日からのキッチン習慣に取り入れてみてください。


参考:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」

監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。


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