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『自由席の特急券』で指定席に座り続けた人の“末路”…実は「前科」がつくって本当?→弁護士「明確な違法行為です」

  • 2026.2.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

新幹線や特急列車で、自由席が混んでいるからと空いている指定席に座ってしまう行為。軽い気持ちで行われがちですが、実はこれ、法律上は立派な「不正乗車」に該当することをご存じでしょうか。単なるマナー違反ではなく、鉄道営業法という法律に抵触し、最悪の場合は前科がつくリスクまで孕んでいるのです。 本記事では、ネット上での法律解説に定評のある寺林智栄弁護士にインタビュー。自由席特急券で指定席を占有し続けることの法的根拠や、詐欺罪が適用されるケース、そして車内で指摘を受けた際の正しい対応について詳しく伺いました。「空いているからいいだろう」という安易な判断が招く、笑えない代償について正しく理解しましょう。

「空席ならOK」は大間違い。鉄道営業法が定める罰則と前科のリスク

---自由席特急券で指定席に座り続ける行為が鉄道営業法違反となる法的根拠と、実際に前科がつくまでの法的プロセスについて教えていただけますでしょうか?

寺林智栄さん:

「自由席特急券で指定席に無断で座り続ける行為は、鉄道事業者との契約関係および料金体系に関するルール違反であり、これは鉄道営業法上の運賃・料金不払(不正乗車)として扱われます。鉄道営業法第29条で、2万円以下の罰金が科されます。

指定席を利用する権利は、自由席特急券と指定席特急券との別個の料金契約に基づくものであり、権利のない指定席に占有し続けることは料金不払いと同視されます。これは営業規則・旅客約款上も明確に禁止されています。

実際の法的プロセスとしては、車内検札等で発覚した場合、まず係員による注意・追加料金の支払い求めが行われるのが通常です。

悪質・反復の場合や払い戻し拒否など事案が深刻と認められた場合、鉄道会社は警察へ通報し、被疑事実として受理されることがあります。捜査がなされ、起訴相当と判断されれば検察官による起訴が行われ、裁判を経て有罪判決が確定すると前科が付きます(略式裁判によることがほとんどでしょう)。

一般的には軽微事案は示談・追加支払い等で終結し、起訴・前科に至るケースは稀ですが、法的には不正乗車として処罰の対象となり得ます。」

嘘をつくと「詐欺罪」に?状況次第で重くなる罪の境界線

---自由席特急券で指定席に座り続けた場合、鉄道営業法違反以外にも適用される可能性がある法律(例:詐欺罪、軽犯罪法など)はありますか?

寺林智栄さん:

「まず詐欺罪(刑法246条)についてですが、成立には『欺罔行為(だます行為)』と、それによる財産的処分行為が必要です。検札時に『指定席券を持っている』と虚偽申告をしたり、偽造・変造した指定席券を提示した場合には、詐欺罪または有印私文書偽造罪等が問題となりますが、一方で、単に黙って指定席に座っていた場合には積極的に騙す行為をしているわけではないので、詐欺罪の成立は認められにくいでしょう。

次に軽犯罪法ですが、同法1条には無賃乗車に関する規定があります。ただし、特急券を所持している場合は『完全な無賃乗車』とは評価されにくく、通常は鉄道営業法が優先適用されます。そのため、軽犯罪法が適用される場面は限定的です。

また、指定席利用者が来ているにもかかわらず席を譲らず、係員の指示にも従わないなどの場合には、状況次第で威力業務妨害罪や不退去罪が問題となる余地も理論上はあります。ただし、これらは相当程度悪質なケースに限られます。」

もし誤って座ってしまったら。トラブルを回避するための「誠実な初動」

---自由席特急券で指定席に座ってしまった場合、乗客が即座に取るべき正しい対応と、トラブルを未然に防ぐための具体的な行動を教えていただけますでしょうか。

寺林智栄さん:

「自由席特急券で誤って指定席に座ってしまったことに気付いた場合、最も重要なのは速やかに是正行動を取ることです。

まず、指定席券を持つ乗客や車掌から指摘を受けた場合には、言い訳や抵抗をせず、直ちに席を譲ることが基本です。この段階で自主的に移動すれば、違法性や悪質性は極めて低く評価され、トラブルに発展することはほぼありません。

次に、混雑等で自由席が見当たらない場合は、自己判断で座り続けるのではなく、車掌に事情を説明して指示を仰ぐことが正しい対応です。車掌の判断により、立席の案内やデッキ待機、場合によっては追加料金を支払って指定席へ変更する選択肢が示されます。無断で占有し続ける行為が最も問題視されやすいため、『相談する姿勢』が重要です。

トラブルを未然に防ぐためには、乗車前に号車表示や座席表示を確認する習慣を持つこと、指定席車両には最初から立ち入らないことが有効です。また、空席であっても『自由席と指定席は利用権が異なる』という認識を持ち、安易に座らないことが大切です。さらに、繁忙期や全車指定席の列車では、事前に座席種別を確認し、必要であれば最初から指定席を購入することが、不要なトラブル回避につながります。」

『相談する姿勢』が身を守る。ルールを守って安心な鉄道旅を

「バレなければいい」「少しの間だけなら」という考えは、時に取り返しのつかない法的トラブルを引き起こします。

寺林弁護士が指摘するように、自由席特急券で指定席に座り続ける行為は、鉄道会社との契約を破る明確な違法行為です。

大切なのは、間違いに気づいたときや車掌から指摘を受けた際に、誠実かつ迅速に行動すること。素直に移動し、必要であれば追加料金を支払うという当たり前の対応が、警察沙汰や前科といった最悪のシナリオを回避する唯一の道です。

鉄道は多くの人が利用する公共の場。ルールは公平なサービスを維持するために存在しています。座席種別の確認という小さな習慣を大切にし、誰もが気持ちよく利用できる環境を私たち一人ひとりの意識で作っていきましょう。


監修者:寺林智栄
2007年弁護士登録。札幌弁護士会。てらばやし法律事務所。2013年頃よりネット上で法律記事の執筆・監修を開始する。Yahoo!トピックスで複数回1位を獲得。読んだ方にとってわかりやすい解説を心がけています。


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