1. トップ
  2. 「もう少し待てばもっと上がる」欲を出した人の“末路”。金価格の高騰…プロが明かす、「売り時の正解」とは?

「もう少し待てばもっと上がる」欲を出した人の“末路”。金価格の高騰…プロが明かす、「売り時の正解」とは?

  • 2026.2.7
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

歴史的な高値を更新し続ける「金(ゴールド)」。手元の金を売却して利益を確定させるべきか、それともさらなる上昇を信じて保有し続けるべきか、多くの方が悩んでいるのではないでしょうか。「もう少し待てばもっと上がるかも」という期待と、「暴落したらどうしよう」という不安。この板挟みから抜け出すには、価格そのものよりも「なぜ上がっているのか」という背景を知ることが不可欠です。 本記事では、マネーシップス代表の石坂貴史さんにインタビュー。金利や国際情勢といった市場環境の読み解き方から、行動経済学に基づいた「後悔しないための出口戦略」までを詳しく伺いました。感情に振り回されず、資産管理のプロが実践する冷静な売却判断のコツを学びましょう。

価格だけを見ない!「金が上がった理由」から読み解く売り時のサイン

---金の売却を判断する際、価格の高値更新以外に、どのような市場環境や経済指標の変化を見極めることが「売り時」の判断に重要なのでしょうか?

石坂貴史さん:

「金の売却を考えるときに重要なのは、「価格が高いかどうか」ではなく、「ここまで価格が上がってきた理由が、これからも続くのか」を確認することです。金は利息や配当を生まない資産です。そのため、金利が低く、お金を持っていても増えにくい環境では、価値を保ちやすい金が選ばれやすくなります。

反対に、物価の上昇が落ち着き、金利が高い状態が続く見通しが強まると、金を保有し続ける意味は少しずつ弱まっていきます。こうした変化は、価格が下がる前に、金融政策の方向性や経済指標の流れとして現れます。また、日本で金を保有している場合は、為替の影響と少し切り分けて考えることが大切です。

つまり、円安によって押し上げられた価格なのか、金そのものの評価が高まった結果なのかで、今後の見通しは変わります。金融不安や国際情勢といった不安材料が、すでに十分価格に反映されているかどうかも確認が必要です。今回の質問のケースでも、国際情勢の不安がピークに近づき、落ち着く兆しが見え始めた段階には、価格水準が高くても売却を検討しても良いかもしれません。

過去の相場を振り返ると、価格が高値圏にある時ほど安心感が広がりやすく、売却判断が遅れがちになります。そのため、雰囲気や周囲の声に流されず、上昇の理由が今後も成り立つかを冷静に確認する姿勢が重要になるでしょう。」

売った人 vs 持ち続けた人。長期的な資産管理で差が出る「心の余裕」

---金価格が高騰した際に「今が売り時」と判断して売却した人と、「まだ上がる」と期待して保有し続けた人では、その後どのような結果の違いが生まれやすいでしょうか?

石坂貴史さん:

「金価格が大きく上がった場面で売却した人と、さらに上がると考えて保有を続けた人の違いは、最終的にいくらで売れたかよりも、その後にどれだけ冷静に行動できるかという点に表れます。売却した人は、その後に価格がさらに上昇した場合、「もう少し待てばよかった」と感じることはありますが、すでに利益を確定しているため、資産全体に大きな悪影響が出ることはありません。資金を次の運用や生活設計に回すなど、次の判断に進みやすい状態を保てます。

一方で、保有を続けた人は、価格が上がるほど期待が膨らみ、「どこまで上がるのか」「いつ売るべきか」という判断を先送りしがちになります。実際の取引では、上昇している間は売却の決断ができず、下落に転じてから初めて不安を感じて、判断が遅れてしまうケースが少なくありません。その結果、含み益が大きく減った段階で売却することになり、「高値圏で売却できたはずだった」という後悔につながります。

大切なのは、売却の良し悪しを、その後の値動きだけで評価しないことです。売却時点で得られていた情報や自身の目的、資産全体のバランスを踏まえて、納得できる判断ができていたか、長期的な資産管理においては最も重要なポイントになります。」

一喜一憂しないために。今すぐ実践できる「自分専用のルール」作り

---金の売却を検討している方が、価格変動に一喜一憂せず冷静に判断できるよう、今すぐ実践できる「売り時を見極めるための具体的なチェックポイント」を教えていただけますでしょうか。

石坂貴史さん:

「金の売却を冷静に判断するためには、相場の価格を見る前に、あらかじめ確認する順番と判断の軸を決めておくことが、とても重要です。価格を先に見てしまうと、「高い」「下がった」といった感情が先に立ち、落ち着いた判断がしにくくなります。そのため、売却を考える際は、まず自身の状況を整理するところから始めます。

最初に確認したいのは、その金を何の目的で保有しているのかです。将来の生活費として使う予定なのか、資産全体の値動きを安定させるためなのか、それとも値上がり益を期待して保有しているのかによって、売却を考えるタイミングは大きく変わります。目的がはっきりしていないと、どの価格でも迷いが生じて、判断が遅れやすくなります。

次に、購入した当初に想定していた役割が、今も変わっていないかを確認しましょう。当時は不安への備えとして必要だったとしても、経済環境や自身の状況が変われば、その役割が薄れていることもあります。「今の環境でも、この金を持ち続ける意味があるか」を改めて考えることが重要です。

三つ目のチェックポイントは、金が資産全体の中で占める割合です。価格上昇によって、当初想定していた以上に比率が高くなっている場合、価格が高いか安いかに関係なく、一部を売却してバランスを整える判断は合理的です。これは相場を予想する行動ではなく、資産管理としての調整です。

最後に確認しておきたいのが、「どの水準まで下がったら売るか」を事前に決めているかどうかです。この基準がないと、どうしても下落局面で判断が遅れて、「もう少し様子を見よう」という心理が働いてしまいます。あらかじめ基準を決めておくことで、その場の感情ではなく、自身で決めたルールに沿って行動できて、価格変動に振り回されにくくなります。」

売却は『相場の予想』ではなく『資産の整理』。納得できる着地点を見つけよう

金の売却において最も避けたいのは、周囲の雰囲気や目先の価格変動に流されて、判断を先送りにしてしまうことです。石坂さんが説くように、金は資産全体の一部であり、その売却は自身のライフプランや資産バランスを整えるための「調整」であるべきです。 たとえ売却後にさらに価格が上がったとしても、自身が決めたルールに従って利益を確定できたのであれば、それは資産運用として大きな成功と言えます。「どこまで上がるか」を当てるギャンブルではなく、「自分にとって最適なタイミングはいつか」を軸に考えること。この視点を持つことが、先行きの見えない市場環境の中で、大切な資産と心の平穏を守る唯一の方法です。


監修者:石坂貴史

証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK】