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「最優先に考えて」元警察官が警告。相次ぐ『催涙スプレー』による襲撃…遭遇したときの「命運を分けるステップ」とは?

  • 2026.2.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

予期せぬトラブルや襲撃の際、護身用としても知られる「催涙スプレー」が凶器として使われるケースが増えています。

万が一、その強力な刺激成分を浴びてしまったとき、私たちは反射的に目をこすってしまいがちですが、その行動は身体にどのようなリスクをもたらすのでしょうか。

本記事では、元警察官として10年のキャリアを持ち、現在は防犯アドバイザーとして活動するりょうせいさんにインタビュー。被弾直後の正しい振る舞いや、密閉された車内での回避方法、さらには犯人検挙につながる情報の残し方まで解説していただきます。「攻撃を受けてから」ではなく「受ける前」にできる最大の防御策とは何か。自分と大切な人を守るためのリアルな防犯知識を学びましょう。

目をこするのは失明のリスクも?反射的な行動を抑える「心の準備」

---催涙成分が付着した状態で目をこすると、身体的にどのような事態(失明のリスクや症状の悪化など)を招くのでしょうか?また、反射的に手が動いてしまうのを防ぐための具体的なアドバイスはありますか?

りょうせいさん:

「正直にお伝えすると、この質問は非常に難しいものです。

催涙スプレーを浴びた直後は、強い痛みや視界不良によって冷静な判断が難しくなり、反射的に目をこすってしまうのはごく自然な反応だからです。

一般的に、刺激成分が付着した状態で目をこすると、成分が広がったり、摩擦によって症状が悪化したりする可能性があるとされています。ただし、「こすらないように意識する」こと自体が簡単ではないのも事実です。強い刺激を受けた状況で、行動を完全に制御することは誰にとっても困難でしょう。

そのため重要なのは、無理に我慢しようとすることではありません。できる限り目や顔に触れることを避けつつ、その場から距離を取ること、周囲に異変を伝えて助けを呼ぶことに注力する意識が現実的な対応となります。安全な場所に移動することを最優先に考えてください。

元警察官の立場から言えるのは、攻撃を受けた後の対処には限界があるという点です。だからこそ、違和感のある人物や状況に近づかないなど、被害を受ける前の行動を日頃から意識することが、結果的に自分を守ることにつながります。」

襲撃直後の数秒が命運を分ける。場所別・緊急回避のステップ

---襲撃直後の数秒間において最も命運を分けるステップは何ですか?特に、狭い室内や混雑した電車内など、逃げ場が限られる状況下での立ち回りについても教えてください。

りょうせいさん:

「襲撃直後の数秒間で最も重要なのは、「その場から距離を取ること」です。催涙スプレーは非常に強い刺激を伴いますが、万能なものではなく、状況によっては影響が弱まる特徴もあります。

屋外の場合、催涙成分は風の影響を強く受けます。一般的に、噴射される方向の風下にいると成分を浴びやすくなるため、可能であれば風上側に立つ、あるいは風を横切るように移動することが、影響を受けにくくする一つの考え方です。ただし、実際に攻撃を受けた直後に風向きを正確に判断し、行動することは簡単ではありません。無理に考え込まず、とにかく距離を取ることを最優先にしてください。

一方、室内や電車内などの閉鎖空間では、成分がこもりやすくなります。可能な状況であれば、窓や扉を開けて空気が流れる環境を作ることが有効とされています。しかし、混雑した車内や狭い室内では、それすら難しい場面も少なくありません。その場合は、次の駅で降りる、別の部屋や車両に移動するなど、空間を変える行動が現実的です。

元警察官の視点からお伝えしたいのは、攻撃された後に完璧な対処をするのは非常に難しいという点です。だからこそ重要なのは、催涙スプレーが使われる前の「予兆」に気付くことです。何となくでも、ポケットやバッグの中に手を入れたまま近付いてくる人や、不自然に手元を隠している人物がいた場合は、早めに距離を取る。その意識が、被害を避ける大きな分かれ目になります。」

被害に遭った後の最善策。自分で行える処置と検挙への協力

---万が一被害に遭ってしまった際、現場で(あるいは帰宅後に)自分で行える最も効果的な応急処置は何でしょうか?また、元警察官の視点から、その後の犯人検挙に繋げるために、痛みを堪えてでも記憶・記録しておくべき『犯人の特徴』のポイントを教えてください。

りょうせいさん:

「まず前提として、私は医師ではないため、催涙スプレー被害に対する応急処置を断定的にお伝えすることはできません。

だからこそ重要なのは、自己判断で何とかしようとしないことです。被害に遭った場合は、できる限り目や顔を触らず、軽傷に見えても救急車を呼ぶ、もしくは速やかに医療機関に相談するなど、医療の力に頼る判断を優先してください。

強い刺激を受けた直後は、「この程度なら大丈夫だろう」と考えてしまいがちですが、症状が後から悪化するケースもあります。無理をせず、第三者の判断を仰ぐことが結果的に回復を早めることにつながります。

そのうえで、元警察官の立場からお伝えしたいのは、犯人検挙につながる情報の重要性です。すべてを正確に覚える必要はありませんが、性別、体格、服装の色、逃げた方向、使用されたスプレーの容器の色や形など、印象に残った点が一つでもあれば十分です。痛みの中で無理に思い出そうとする必要はありませんが、安全が確保された後に、気付いたことをメモや口頭で伝えることが、捜査の大きな手がかりになる場合があります。」

自分を守る「防犯」の本質は、事後の対処よりも事前の回避にある

催涙スプレーという極限のパニック状況下では、どれだけ知識があっても完璧に振る舞うことは困難です。

だからこそ、りょうせいさんが強調するのは「攻撃される前の回避」と「起きてしまった後の速やかな医療・捜査機関への依存」です。目をこすらずに距離を取り、安全を確保した上で専門家の助けを借りること。この一連の流れをイメージしておくだけでも、いざという時の生存率は大きく変わります。

また、犯人の特徴を一つでも記録に残すことが、さらなる被害者を防ぐことにつながります。防犯とは、起きてしまった事象への対処療法ではなく、日頃の違和感に敏感になる「予防」こそが本質です。今回の教訓を胸に、日常の中に潜むリスクを回避する意識を今日から持ってみてください。


監修者:防犯インフルエンサー りょうせい(りょうせい 元生活安全課

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。


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