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新車で「129万円の補助金」をもらうより安い… 400万円台で“ほぼ新車”アリアが買えてしまう意外なワケ

  • 2026.2.9

 

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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

2025年12月22日にマイナーチェンジを発表した日産アリア。新型の価格は667万円からとなりましたが、市場には今、走行数千kmの「マイナーチェンジ前」モデルが400万円台で掲載されています。

注目すべきは、それらが走行距離わずか数千kmという「新品に近い」状態でありながら、新車で最大129万円の多額な補助金を受け取るよりも、さらに安く手に入るという現実です。補助金特有の“4年縛り”を回避し、賢く乗るための選択肢を解説します。

新型は667万円へ。一方で「400万円台」が溢れるアリア相場の現状

日産のフラッグシップEV、アリア。

その静粛性や内装の質感が評価されていることは知っていても、「600万円、700万円」という新車価格を見た瞬間、自分には関係のないクルマだと検討リストから外していた方は多いのではないでしょうか。

実際、EV需要の落ち着きが叫ばれる昨今、これだけの金額を電気自動車に投じるのは勇気がいります。さらに、2025年12月にマイナーチェンジを発表した新型モデルは、ベースグレードの「B6」でさえ新車価格は667万5900円からとなりました。おいそれとは手を出せない価格帯です。

ところが今、中古車サイトを開くと、目を疑うような光景が広がっています。

走行距離わずか1,000km〜9,000km程度。内外装ともに“ほぼ新車”と言える個体が、支払総額で「400万円台前半〜後半」にて掲載されているのです。もちろん、これらは今回のマイナーチェンジ前のモデル(旧型)ですが、わずかな年式の違いで、新型の新車価格と比べて200万円近い価格差が生じています。

通常、ここまで価格が乖離していると「何か裏があるのでは?」と勘ぐるのが人情でしょう。しかし、この現象は市場の一時的な供給過多が生んだチャンスであり、ある計算式を知っている人にとっては、新車を買うよりも遥かに合理的な選択肢となり得るのです。

「最大129万円の補助金」の裏側にある“4年間の制約”

「でも、新車なら補助金が出るから、実質価格はもっと安いはずだ」

鋭い方なら、そう反論されるかもしれません。確かに、アリアを新車で購入する場合、国からのCEV補助金として「最大129万円」が交付されるケースがあります。

計算してみましょう。新型アリア(B6)の価格667万円から、補助金129万円を差し引くと、「実質538万円」程度で購入できることになります。これなら、中古車(新古車)との差は100万円程度に縮まります。「それなら誰も使っていない新車の方が良い」と考える方もいるのではないでしょうか。

しかし、この補助金制度には、ある重大な条件が存在します。

それは、「4年間の保有義務※」です。
※車種、用途次第で、3年の場合もあります。詳しくは、一般社団法人次世代自動車振興センターのページをご確認ください

国から補助金を受け取った場合、原則としてその車両を4年間保有し続けなければなりません。転勤や家族構成の変化、あるいは「もっと理想のクルマが出たから」といった理由で4年以内に手放すことになれば、受け取った補助金を経過期間に応じて国に返納する必要があります。

つまり、補助金をもらうということは、裏を返せば「4年間は愛車を自由に手放しにくい状態になる」ことと同義です。変化の激しい現代において、この制約は意外と重いリスクになり得ます。

「補助金なし」でも中古の方が安いという事実

一方で、今回注目している「400万円台の中古車(新古車)」には、当然ながら国の新車購入補助金は適用されません。ここだけ切り取ると、なんだか損をしているように見えます。

しかし、ここで冷静に電卓を叩いてみてください。

  • 新型アリア(新車・補助金あり): 実質 約538万円 + 4年間の保有義務
  • 旧型アリア(中古・補助金なし): 総額 約430万円 + 保有義務なし

いかがでしょうか。実は、現在の中古車相場は大きく値下がりしているため、「補助金をもらった後の新車価格」よりも、さらに100万円以上安いのです。

「補助金がもらえない」のではなく、「補助金分を含めても、なお安い金額で売られている」というのが正しい認識です。

これに加えて、中古車には「いつ売ってもいい」という自由があります。例えば、中古のアリアを430万円で購入し、1年ほど乗って万が一ライフスタイルに合わなかったとしても、ペナルティなしで即座に売却可能です。クルマの技術は日進月歩ですから、数年後に画期的な次世代車が登場した際、保有義務期間中の新車EVオーナーが指をくわえて見ている横で、中古車オーナーはすぐに乗り換える判断が下せます。

「新車よりトータルで安く買えて、しかも国の制度に縛られずに乗れる」。この身軽さと経済合理性こそが、補助金という甘い蜜を捨ててでも、今あえて筆者が中古車(新古車)のアリアをおすすめする理由なのです。

なぜ今、“ほぼ新車”が安いのか?正体は「販売現場の代謝」

では、改めて「なぜこれほど状態の良い個体が安いのか」という疑問に立ち返ってみましょう。結論から言えば、これは車両の不具合ではなく、「販売現場の代謝」による一時的な供給過多が原因であると考えられます。

2025年12月のマイナーチェンジ発表を受け、2026年2月20日の発売に向けて全国の日産ディーラーでは、展示車や試乗車を新型に入れ替える動きが加速しました。その結果、これまで店頭で活躍していた「マイナーチェンジ前の高年式車」が、一斉に中古車オークションや販売市場に放出されたのです。

これらは一般のユーザーが手放した車ではなく、ディーラーが管理していた車両であるケースが大半です。そのため、定期的なメンテナンスが行き届いており、内装の汚れや傷も最小限に抑えられている個体が多い傾向にあります。

ただし、試乗車上がり特有の注意点も存在します。短距離の走行や急加減速を繰り返されている可能性があることや、不特定多数の人が触れている点は考慮すべきでしょう。購入前には、必ず実車を確認し、シートのへたりやタイヤの状態をチェックすることをお勧めします。

200万円の価格差 vs「Google搭載」の最新体験

もちろん、価格と自由度だけで旧型(中古)の勝利と断じることはできません。まもなく発売される新型には、それ相応の進化点があるからです。

最大のトピックは、「Google搭載のNissanConnectインフォテインメントシステム」の採用でしょう。「Googleマップ」、「Googleアシスタント」などの機能に対応し、音声操作で様々な情報へシームレスに操作できる体験は、確かに未来的で魅力的です。また、フロントフェイスの刷新や、日本市場に合わせたサスペンションチューニングなど、車としての完成度も高まっています。

ここで天秤にかけるべきは、その進化に「実質100万円〜200万円」の差額と「4年間の自由」を捧げる価値があるかどうか、という点です。

もしあなたが、「スマホは常に最新機種でないと気が済まない」タイプで、Apple CarPlayやAndroid Autoの接続すら煩わしいと感じるなら、迷わず新型を選ぶべきでしょう。

しかし、逆に「ナビはスマホ接続で十分」「アリア本来の静粛性や走りの質感が味わえれば、インフォテインメントシステムの差は許容できる」と考えるならば、旧型の中古車は極めてコストパフォーマンスの高い選択肢となります。

実際、アリアの走行性能や静粛性は、初期モデルの時点で既に高い評価を得ており、マイナーチェンジ前でも十分に「高級車」としての満足感を提供してくれるはずです。

アリアの中古は「自由」を買う、賢い大人の選択肢

ここまで見てきたように、現在のアリア中古相場の安さは、決して「安かろう悪かろう」ではありません。制度の隙間と市場のタイミングが生んだ、ボーナス期間と言えるでしょう。

選択は至ってシンプルです。

最大129万円の補助金を受け取る代わりに「4年間の保有義務」を背負い、最新のアリアを新車価格で購入するか。それとも、補助金適用後の新車価格よりもさらに安く手に入れ、いつでも手放せる「自由」まで手に入る中古車を選ぶか。

もしご自宅に充電環境があり、高級EVの走りを賢く使い倒したいと考えているなら、この「中古のアリア」は、一度検討してみる価値が大いにある選択肢と言えるでしょう。浮いた200万円近い予算で、旅に出るもよし、投資に回すもよし。アリアという素晴らしいプロダクトを、あえて「道具」として自由に使いこなす。それが、今最も贅沢で、最も賢いクルマ選びなのかもしれません。



ライター:根岸 昌輝
自動車メーカーおよび自動車サブスク系ITベンチャーで、エンジニアリング、マーケティング、商品導入に携わった経験を持つ。
現在は自動車関連のライターとして活動し、新車、技術解説、モデル比較、業界動向分析など、業界経験に基づいた視点での解説を行っている。


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