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「新型待ち」で後悔する人も。クルマのプロが、今こそマツダCX-5の“現行ディーゼル”を見逃せないワケ

  • 2026.2.5

 

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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

待望の次期型CX-5の発売が近づく中、そこにはファンを動揺させる「ディーゼル廃止」という確定事項が含まれています。しかし、そんなモデル末期の2025年10月、マツダはあえて現行型に新グレード「XD Drive Edition」を投入するという動きを見せました。

新型が控える中でのこの追加設定は、450Nmのトルクを新車で味わえる時間が、残りわずかであることを意味するのではないでしょうか。待つべきか、急ぐべきか。その最終決断に必要な視点をお届けします。

次期型CX-5における「ディーゼルエンジンの廃止」がもたらす影響

自動車を購入する際、「最新モデルこそが最良の選択である」と考えるのは、ある種当然のことかもしれません。技術は日進月歩で進化し、後から登場するモデルほど、燃費性能や安全装備が向上しているのが常識だからです。

しかし、もしあなたがマツダ・CX-5、それも「ディーゼルエンジン搭載モデル」の購入を検討しているのであれば、この定説には当てはまらないでしょう。なぜなら、次期型へのフルモデルチェンジが秒読み段階に入った今、自動車業界のトレンドは大きく変化しており、待つことが必ずしも正解とはいえない状況が生まれているからです。

その中心にあるのが、次期型CX-5における「ディーゼルエンジンの廃止」という決定的な事実です。もしこの情報を知らずに、「新型が出ればもっと良くなるはず」と期待して待ち続けたとしたらどうなるでしょうか。結果として、あなたが本当に手に入れたかった、ディーゼル特有の「トルクフルな走り」という選択肢そのものが、新車市場から消滅してしまっているリスクがあるのです。

新型を待つことが「正解」とは限らない理由

通常であれば、モデル末期の車は「値引きこそ期待できるものの、機能面では古さが目立つ」と見なされがちです。ところが、現行CX-5のディーゼルモデルに関しては、少し事情が異なります。

現在、世界的な電動化の流れを受け、国産ミドルサイズSUVの主戦場はハイブリッド(HEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)へとシフトしています。ライバルを見渡しても、純粋なディーゼルエンジンを搭載したモデルは、もはや絶滅危惧種と言っても過言ではありません。

つまり、新型を待っている間に失われるのは、単なる「旧型というステータス」ではなく、「手頃な価格で長距離を力強く走れるパワートレインそのもの」である可能性が高いのです。もちろん電動化技術自体は素晴らしい進化ですが、ディーゼル特有の「あの感覚」を愛するドライバーにとって、それが完全な代替になるとは限りません。

そんな「待つべきか、急ぐべきか」という迷いの中に投じられたのが、マツダからのあるメッセージとも取れる一台です。

なぜ今? 新設定「XD Drive Edition」が放つメッセージ

2025年10月、マツダはCX-5のラインナップを見直し、新たなカタロググレード「XD Drive Edition」を追加設定しました。次期型の足音が聞こえ、モデルライフの成熟期にあるこのタイミングで、期間限定の特別仕様車ではなく、あえて「新グレード」として常設ラインナップに加えたことには、メーカーの並々ならぬ意図を感じずにはいられません。

この「Drive Edition」は、黒を基調とした精悍なルックスに加え、長距離ドライブを快適にする装備が充実しているのが特徴です。しかし、装備の内容以上に注目すべきは、「この時期にディーゼル推しのモデルが出た」という事実そのものでしょう。

これは、ディーゼルエンジンを支持してくれるファンに対し、「欲しい人がいるうちに、完成された熟成のディーゼルを届けたい」というマツダからの“ラストメッセージ”とも読み取れるのではないでしょうか。次期型の全貌が見えつつある中で、現行型が今なら確実に買えるという事実は、不確実な未来を待つよりも遥かに合理的な選択肢に見えてきます。

では、なぜそこまでしてこのディーゼルエンジンにこだわる価値があるのでしょうか。その理由は、スペック表の数字だけでは語れない「体感」にあります。

失って初めて気づく「450Nm」の非日常性

CX-5の2.2Lクリーンディーゼルエンジンが持つ最大の魅力、それは「450Nm」という強烈な最大トルクにあります。

数字だけを見てもピンとこないかもしれませんが、このトルクはガソリンエンジンであれば、4.0Lクラスの大排気量車に匹敵する力強さです。アクセルを軽く踏み込むだけで、背中をグッと押されるような加速感が得られ、高速道路での合流や追い越し、急な上り坂でもエンジンを唸らせる必要がありません。

この「頑張らなくても走る」という感覚こそが、ドライバーにとって大きな恩恵となります。例えば、家族を乗せてキャンプへ行くようなシーンを想像してみてください。荷物満載の状態でも余裕で坂道を登り、長距離を運転して目的地に着いたときの疲労感が、ガソリン車とは明らかに異なることに気づくはずです。

もし今後、このディーゼルが廃止され、同等のトルクを求めようとすれば、高価なPHEVや高性能な電動車を選ばざるを得なくなるでしょう。「手頃な価格で、非日常的な余裕を味わえる」。そのバランスが崩れる前に手に入れる価値は、想像以上に大きいのかもしれません。

なぜディーゼルは消えるのか?「性能の敗北」ではない

これほど魅力的なディーゼルエンジンが、なぜ次期型では廃止されることが確定してしまったのでしょうか。「性能が劣っているから」あるいは「時代遅れだから」と考えるのは早計かもしれません。

実情は、エンジンの性能云々ではなく、「規制とコスト」という構造的な問題が大きく関わっています。欧州をはじめとする排ガス規制は年々厳しくなり、ディーゼル車が排出するNOx(窒素酸化物)などをクリーンにするための後処理装置には、多額のコストがかかるようになっています。

つまり、ディーゼルエンジンは「性能で負けた」のではなく、「作り続ける難易度が極端に上がった」のです。メーカーとしては、限られた開発リソースを電動化へシフトせざるを得ないのが実情でしょう。

だからこそ、現行のCX-5は「コスト度外視で作られた贅沢な遺産」になりつつあります。この状況を理解すれば、現行型を選ぶことが単なる懐古趣味ではなく、経済的にも理にかなった判断であることが見えてきます。

「買うべき人」と「待つべき人」の分かれ道

ここまでの話を整理すると、必ずしも全員が急いで現行型を買うべきというわけではありません。それぞれのライフスタイルや車に求める優先順位によって、最適な選択肢は明確に分かれてきます。

まず、現行型ディーゼルの恩恵を最大限に受けられるのは、高速道路を使った長距離移動や、年間走行距離が多い方です。燃料代の安さはもちろん、何より「アクセルを深く踏まなくても進む」という余裕が、移動の質を劇的に変えてくれます。ハイブリッドやガソリン車特有の、回転数を上げて加速するフィーリングが苦手な方にとっても、このディーゼルは最適解となるでしょう。最後だからこそ、新グレードとして投入された「XD Drive Edition」の世界観に惹かれるなら、迷う理由はさらに少なくなります。

一方で、街乗りや1回あたり10分未満の短距離移動がメインという方は、少し慎重になるべきかもしれません。ディーゼルは構造上、短距離走行が続くと煤(すす)が溜まりやすく、メンテナンスに気を使う場面が出てくるからです。また、いくら静かになったとはいえ、ディーゼルエンジン特有の音や振動はゼロではないため、究極の静粛性や、巨大なディスプレイなどの最新デジタル機能を最優先するならば、設計の新しい次期型電動化モデルを待つのが賢明な判断と言えます。

それは、焦りではなく「期限付きの合理的な選択」

自動車市場が電動化へ向かうのは止められない流れであり、それは素晴らしい進化です。しかし、その過渡期にある今だからこそ、「完成された内燃機関」を選べる最後のチャンスが巡ってきているのもまた事実です。

マツダが投入した新グレード「XD Drive Edition」は、そんな時代の変わり目に立ち会っている私たちへの、一つの提案なのかもしれません。「いつか乗ってみたかった」と思っているのなら、その「いつか」は、新車としてオーダーできる今しかありません。

これは焦りによる衝動買いではなく、ご自身のカーライフを見つめ直した上での「期限付きの合理的な選択」です。まずはディーラーへ足を運び、そのトルクの波を体感してみてはいかがでしょうか。アクセルを踏んだ瞬間、あなたの迷いは確信に変わるかもしれません。



ライター:根岸 昌輝
自動車メーカーおよび自動車サブスク系ITベンチャーで、エンジニアリング、マーケティング、商品導入に携わった経験を持つ。
現在は自動車関連のライターとして活動し、新車、技術解説、モデル比較、業界動向分析など、業界経験に基づいた視点での解説を行っている。


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