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新築戸建てに住む30代男性→市役所から届いた“1通の封書”にゾッ…「物置を置いただけなのに…」【一級建築士は見た】

  • 2026.2.4
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

「庭の隅に物置を置いただけなのに、市役所から通知が来て撤去になりました……」

そう語るのは、新築戸建てに住むAさん(30代男性)。

タイヤやアウトドア用品を片づけたくて、ネットで見つけた物置を業者に依頼して設置しました。基礎ブロックを置き、物置を固定して完成。

しかし、役所から1通の封書が届きました。中には「改善指示書」と書かれた通知。そこには、こんなことが記載されていたのです。

「当該建築物(物置)について、建築確認申請の手続きがされていません。建ぺい率などの基準を超過している可能性もあるため、速やかに改善してください」

Aさんにとって、完全に大誤算です。

なぜ物置で指導されるのか

一般の感覚では「物置=家具の延長」に見えがちです。

ですが、屋根と壁があり、土地に定着して使うものは、規模や仕様によって“建築物”として扱われる可能性があります。そうなると、用途地域のルールや建ぺい率・防火のルール、そして建築確認などの手続きが絡んできます。

そして厄介なのが、役所は「たまたま見つけた」わけではない点です。

現地確認や相談、近隣からの通報、工事車両の出入りなど、きっかけはさまざまですが、指導が入ると「なかったこと」にはできません。手続き違反が明確だと、是正=撤去の対応が求められます。

Aさんが見落としていた“ポイント”

Aさんは当初、「小型の物置なら大丈夫だろう」と考えていました。ところが後から調べてみると、“どの程度なら建築物として扱わないか”には目安となる基準があることを知ります。

運用上、自治体によっては「奥行き1m以内、もしくは高さ1.4m以下」の範囲に収まるものは、人が物置の中に入って出入りして使うというより、収納ボックスに近い扱いとして「建築物扱いではない」と判断され、建築基準法への適合を求めないケースがあります。

Aさんの物置はこの目安を超えていたため、Aさんの住む自治体では、結果として「建築物として扱う」方向で見られ、是正指導につながりました。

出典:建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例(2017年度版)

現実の結末――「撤去」が最も現実的になってしまう理由

「じゃあ今から確認申請を出せばいいのでは?」と思うかもしれません。

ただ、建築確認は建てる前に計画が法律に適合しているかを確認する手続きです。そのため、すでに完成してしまった建築物に対して、後から申請することは原則できません。

したがって、基本的に役所は撤去を求めます。しかも物置は、

  • 防火上の扱い(地域によっては外壁や開口の制限が絡む)
  • 建ぺい率への算入(仕様によっては対象)
    など、結果的に適法化できないことも多い。

最も早く確実なのが「撤去」になりやすい。Aさんも「使い始めたばかりなのに、外して処分するしかない」と肩を落としました。

同じ後悔をしないためのチェック

物置や小さな収納を置きたいときは、購入前に次だけは押さえてください。

  • “建築物扱いになるか”を自治体(建築指導課等)に事前確認する
  • 目安として、奥行き1m以内・高さ1.4m以下に抑えられるか検討する(※運用は自治体差あり)
  • 防火地域・準防火地域の設置は要注意(ルールが一段厳しくなることがある)

「小さい増築」ほど、手続きの落とし穴が深い

物置は“軽い買い物”に見えます。ですが、建築の世界では「小さいからこそ、雑に進みやすい」のが怖いところです。

Aさんの大誤算は、物置そのものではなく、「建築物になるかもしれない」という入口の確認を飛ばしてしまったことでした。

同じ後悔を避ける近道はシンプルです。買う前に、役所で“建築物扱いかどうか”を確認する。これだけで、撤去という最悪の結末は防げます。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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