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“かわいい”だけで終わらない…『FRUITS ZIPPER』を筆頭に大ブレイクを遂げた“カワラボ” 異例の熱狂を呼ぶ“強さ”のヒミツ

  • 2026.1.16

2026年2月11日に発売される『KAWAII LAB. BEST ALBUM』は、FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREETの代表曲を中心に、KAWAII LAB.の“いま支持を集める楽曲”をまとめた初のベスト盤だ。

全16曲のうち各グループからは代表曲2曲に加え、ファン投票で選ばれた1曲も収録。4組合同のTEAM KAWAII LAB.による『CHU CHU CHU研究中!』が1曲目を飾り、さらに新グループMORE STARの『もっと、キラッと』、KAWAII LAB. MATESの『わたしの進路が決まったら 2026』、TEAM KAWAII LAB.の新曲『カワラボとばびゅーん!』も加わっている。各グループの“今”とプロジェクトの広がりを、一枚で俯瞰できる構成だ。

この一枚を通して見えてくるのは、KAWAII LAB.の楽曲が“かわいい”だけで終わらない設計で広がってきたことだ。なぜこれほどまでに口ずさまれ、踊られ、ライブで熱を生むのか。本作に収録された曲を手がかりに、“カワラボ曲”の強さをグループごとに解説していきたい。

FRUITS ZIPPER:自己肯定を「合言葉」に変えるポップさ

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【MUSIC AWARDS JAPAN 2025(MAJ)レッドカーペット】レッドカーペットに登場したFRUITS ZIPPERのメンバー。後列左から松本かれん、月足天音、仲川瑠夏、早瀬ノエル 前列左から櫻井優衣、鎮西寿々歌、真中まな (C)SANKEI

FRUITS ZIPPERの代表曲『わたしの一番かわいいところ』は、タイトルの時点で“この曲が言いたいこと”がサビとして成立している。だから初めて聴いた人でも、すぐにフレーズが頭に残り、つい口に出したくなる。短尺で切り取られて広がりやすい今の時代に合っているのは、こうした覚えやすさが最初から仕込まれているからだ。

続く『NEW KAWAII』も、「かわいい」を昔ながらのイメージに閉じ込めず、更新し続けるものとして掲げる宣言で、グループの方向性を一言で伝える力がある。

そして投票で選ばれた『完璧主義で☆』は、完璧でいたい焦りや背伸びする気持ちまで肯定し、「そういう自分もかわいい」と受け止められるようにしてくれる。明るくポップな音に乗せて、自己肯定のメッセージをわかりやすく届けられるのがFRUITS ZIPPERの強みで、アイドルに詳しくない層でも“入口”として入りやすい。

CANDY TUNE:コールで完成する“応援歌”の設計

昨年末の『NHK紅白歌合戦』でも披露されたCANDY TUNEの『倍倍FIGHT!』は、サビの反復がそのまま掛け声になっていて、ライブでもSNSでも一緒に声を出したくなる力が強い。歌詞も難しい言い回しを避け、応援の気持ちをストレートに届ける。だから初めて聴いた人でも、サビに入った瞬間から手拍子や合いの手で参加できるし、自然と“みんなで盛り上がる曲”として広がっていく。

『キス・ミー・パティシエ』は、甘いモチーフと軽やかなメロディで、曲を聴いた瞬間に世界観が立ち上がるタイプ。タイトルだけでイメージが伝わるのも強みで、カワラボらしい“かわいい”の輪郭を一気に見せてくれる。

一方、投票曲の『必殺あざとポーズ』は、“あざとさ”を隠すのではなく「こういう武器を持っている」と堂々と言い切る痛快さがある。かわいさを受け身のものにせず、自分の魅力としてコントロールする感覚が、CANDY TUNEのキャラ立ちにつながっている。コール前提で作られた曲の強さと、メンバーの個性が前に出る見せ方。この2つが噛み合うことで、現場の熱量がそのまま楽曲の強さとして返ってくるのがCANDY TUNEだ。

SWEET STEADY:気づけばハマる、近い距離のかわいさ

SWEET STEADYの『ぱじゃまぱーてぃー!』は、タイトルを見ただけで場面が想像できる曲だ。部屋着のまま笑い合うような距離感があり、聴き手の生活にすっと入り込むので、初めてでもサビを口ずさみやすい。しかも楽曲のテンポや言葉選びが軽やかで、振付も“みんなで真似して楽しむ”前提で組み立てられているから、ライブでも自然に一体感が生まれる。

『Call me,Tell me』は呼びかけを何度も繰り返し、まるで会話しているようなリズムで聴き手との距離を縮めていく曲だ。歌詞には、呼び出し音や通知音を思わせる擬音語が出てきたり、「発信」「キャッチ」といった通信の言葉が散りばめられていたりして、恋のドキドキが今の連絡の感覚として描かれている。強い決め台詞で押し切るのではなく、同じ言葉を繰り返して寄り添う感覚が、このグループの持ち味だ。

投票曲『ダイヤモンドデイズ』は王道のラブソングとしてきらめきをまっすぐに鳴らし、甘さの中に芯のあるロマンチックさを残す。SWEET STEADYは、“かわいい”を派手な記号として誇張するのではなく、聴く人の気持ちをふっと明るくする空気として届けている。だからアイドルに詳しくない人でも入りやすく、「気づいたら好きになっていた」という入口を作れる。

CUTIE STREET:問いかけで巻き込む、かわいさの拡張

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芸能「渋谷区はたちのつどい」にゲスト出演したCUTIE STREETの(左から)佐野愛花、板倉可奈、増田彩乃、桜庭遥花、川本笑瑠、梅田みゆ、真鍋凪咲 (C)SANKEI

CUTIE STREETの『かわいいだけじゃだめですか?』は、タイトルそのものが“呼びかけ”になっているのが強い。断言ではなく問いかけだから、聴き手は反射的に「いいよ」と返したくなるし、その返事の気分がそのまま手振りやポーズにつながっていく。つまりこの曲は、かわいさを一方的に見せるのではなく、聴き手を会話に巻き込んで“参加”へ導く設計になっている。短いフレーズが覚えやすいのはもちろん、振付も「ここを真似したい」と思わせるポイントが明確で、SNSで切り取られても魅力が伝わりやすい。

『ひたむきシンデレラ!』は、努力や成長をストーリーとして描きつつ、最後は前向きなサビで気持ちを持ち上げてくれる曲だ。かわいいだけで押し切るのではなく、頑張る姿を肯定する温度がある。

投票曲の『ハロハロミライ』は、仲間との絆や未来への期待をまっすぐに歌い、かわいさが“その場のノリ”だけで終わらないことを示している。CUTIE STREETは、かわいさを可憐さに閉じず、物語として前へ進む力に変えていく――その広がり方が、グループの魅力になっている。

この1枚でカワラボ入門

『KAWAII LAB. BEST ALBUM』は、4組の入口になる定番曲を押さえつつ、投票曲や新曲で“いまの空気”と“これから”も一緒に届ける。なぜここまで広がったのかを確かめるための一枚であり、次にどんな曲が飛び出すのかを想像するための一枚でもある。アイドルファンにとっては復習と再発見に、初めて触れる人にとっては入門として、ちょうどいい距離感で手渡されるベスト盤だ。


ライター:川崎龍也
大学卒業後にフリーランスとして独立。現在はアイドル雑誌を中心に、取材・インタビュー/コラム執筆を主軸に活動している。主な執筆媒体は『BOMB』『MARQUEE』『EX大衆』『音楽ナタリー』『RealSound』など。
X(旧Twitter):@ryuya_s04