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『timelesz』が放つ“異例の存在感” ダブルランクインから考察する【2026年エンタメ市場】の方向性

  • 2025.12.18

エンタテインメント業界向けにデータ×デジタルマーケティングサービスを提供するGEM Partners株式会社が発表した「2026年ヒット予測ランキング」の中で、アイドルグループ・timelesz(タイムレス)の篠塚大輝と猪俣周杜がそれぞれ2位、19位にランクインした。

本ランキングは、単なる人気度ではなく、独自のヒットポテンシャル評価モデルを用いて、今後ファン拡大が見込まれるエンタメブランドを抽出したものだ。

では、今回のランキングから、timeleszの2名はどのような点で評価されたのだろうか。そして、この結果は2026年のエンタメ市場にどのような示唆を与えているのだろうか。

ランキングデータを手がかりに整理する。

timeleszの“ダブルランクイン”は何を示しているのか

GEMのランキングでは、

  • 推しファン人数(万人)
  • 平均ファン歴(年)
  • 6月集計時点でランクインしていたか否か
    といった指標が提示されている。

なお、timeleszの篠塚大輝と猪俣周杜はいずれも、6月集計時点ではランク圏外であり、10月集計から新たにランクインしている点が特徴的だ。

重要なのは、本ランキングが「推しファン人数が多い」「ファン歴が長い」といった“現状の規模”を評価するものではないという点である。GEMのヒットポテンシャル評価モデルでは、特定のファン行動・心理がどの程度形成されているかが重視されている。

具体的には、「友達や家族に積極的に宣伝・おすすめしている」「他に好きな人に出会うと、うれしくなる」といった、ファンコミュニティの拡大に寄与する行動や心理が一定以上見られるエンタメブランドは、その後の推しファン人数の伸びに大きく影響するとされている。

timeleszの2名は、こうしたファン心理・行動の形成度が高いと評価された結果、ヒットポテンシャルランキングで上位に位置づけられたと考えられる。

再始動という文脈がもたらす「語られやすさ」

timeleszは再始動という文脈を持つグループであり、その活動や歩みがストーリーとして語られやすい状況にある。

エンタメ市場全体を見ると、作品や人物そのものだけでなく、「背景」や「プロセス」を含めて共有されるコンテンツへの関心が高まっている。こうした流れの中では、ファン同士のコミュニケーションや、第三者への推奨行動が生まれやすい傾向がある。

再始動という要素は、そうした“語られやすさ”を後押しする文脈のひとつとして作用し、結果的にヒットポテンシャル評価に影響を与えた可能性がある。

timeleszから見える、2026年エンタメの3つの潮流

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

ランキング全体を俯瞰すると、timeleszのランクインは単独の事例ではなく、2026年に向けたエンタメ市場の変化を象徴する一例とも捉えられる。

潮流1つ目は、ヒットの起点は「ファン行動」に移行している点。推しファン人数の規模よりも、ファンがどのように行動し、周囲に広げていくかが、今後のヒットを左右する要素として重要性を増している。

そして2点目は、「個人単位での評価が可視化されやすい」点。グループや作品単位だけでなく、個人の活動や魅力が切り出されやすい環境が整っており、ヒットポテンシャルも個人単位で測られるケースが増えている。

最後に3点目は、「ストーリー性を持つブランドが評価されやすい」という点。成長過程や転機といった文脈を持つエンタメブランドは、ファンの共感や推奨行動を生みやすく、今後も注目されやすい傾向が続くと見られる。

「今後どれだけ広がる余地があるか」がより重視される年になる可能性

GEMのランキングデータや市場動向を踏まえると、2026年は「すでに人気があるかどうか」ではなく、「今後どれだけ広がる余地があるか」がより重視される年になる可能性がある。

timeleszの2名がランクインした背景には、

  • ファンコミュニティ拡大につながる行動・心理の形成
  • 語られやすい文脈の存在
  • 個人単位での評価の可視化

といった複数の要素が重なっていると考えられる。

今回の結果は、2026年のエンタメ市場において、「ヒットはどこから生まれるのか」を示すひとつの示唆といえるだろう。


※記事は執筆時点の情報です

出典:GEM Partners株式会社『推しエンタメブランドスコープ』