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『短い秋』にこそやっておきたい健康管理…医師が教える“意識したいポイント”とは

  • 2025.10.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

2025年の秋は例年に比べて短く、冬の到来が早まる可能性があると予測されています。例年のようにゆっくりと季節が移り変わるのではなく、急激な寒さの到来に心も体も戸惑いがちな方も多いでしょう。寒冬になる可能性が指摘されるなかで、短い秋の間にどのような健康対策を考えるべきかが、気になるところです。

この記事では、今から取り組みやすい秋の健康準備を中心に、気をつけたいポイントも含めて医師の解説の元わかりやすくご紹介します。

1、気象と健康のつながり

今年はラニーニャ現象や偏西風の蛇行の影響により、全国的に「寒冬」の傾向が予想されています。実は気温が下がると体の冷えだけでなく、さまざまな影響を与えることがわかっています。

  • 血圧の上昇:寒さにより血管が収縮し、血圧が上がりやすくなります。
  • 関節の痛み:冷えにより関節がこわばり、痛みや動かしにくさを感じやすくなります。
  • 呼吸器への負担:乾燥した空気と寒さは、風邪やインフルエンザ、喘息などのリスクを高めます。

これらを防ぐには、秋のうちに心身の準備を整えることが重要です。

2、秋に意識したい健康習慣

秋は気温や日照時間の変化が激しく、体のリズムが乱れやすい時期でもあります。次のような健康習慣を意識して、寒さに負けない体を作りましょう。

  •  運動:涼しさを活かした活動を
    秋は外出に適した気候です。ウォーキングや軽めのジョギング、ストレッチなどを習慣化し、筋力と血行をキープしましょう。

  • 食事:代謝アップを意識した栄養を
    体を温める効果のあるタンパク質(肉・魚・豆類)や、代謝を助けるビタミンB群・ビタミンC、抗酸化作用を持つ緑黄色野菜を積極的に取り入れるのがよいでしょう。

  • 睡眠:体内時計を調整しよう
    日が短くなる秋は、体内時計が乱れやすくなります。夜は早めにスマホを手放し、就寝前のリラックスタイムを意識しましょう。朝は朝日を浴びてリズムをリセットすることを心がけてください。

  • 呼吸:自律神経を整える深呼吸を
    寒さやストレスで乱れがちな自律神経を整えるには、深くゆったりとした鼻呼吸が効果的です。特に寝る前や朝の数分間、深呼吸を取り入れるだけでも違いを実感できます。

3、短い秋に意識して改善したい脂肪肝・代謝異常について

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

夏の暑さによって運動不足になっていた人は少なくありませんが、その影響は秋になってじわじわと体に表れ始めます。特に、筋肉量の低下や基礎代謝の衰えは、内臓脂肪の蓄積を招きやすく、気づかないうちに脂肪肝や生活習慣病のリスクが高まってしまう可能性があります。

さらに、秋は旬の果物が豊富な季節。ブドウ、カキ、リンゴなどは美味しく栄養価も高い一方で、果糖(フルクトース)を多く含んでおり、摂りすぎると肝臓に負担をかけてしまいます。果糖は他の糖質と異なり、直接肝臓で代謝されるため、過剰な摂取が続くと脂肪が蓄積され、脂肪肝の原因となることが知られています。

秋の味覚は季節感を楽しむうえでも欠かせませんが、「ヘルシーな果物だから」と油断して食べすぎてしまうのは禁物です。果物の摂取量を適量にとどめる、あるいは果物の代わりにビタミンや食物繊維が豊富な野菜を取り入れるなど、バランスを意識した食生活が肝心です。

特に40代以降の方は、秋から冬にかけて体重や内臓脂肪が増えやすくなる傾向があります。今のうちから代謝を高める食事や運動を意識し、肝臓への負担を減らすことで、冬の健康リスクを未然に防ぐことができるでしょう。

冬に向けて今からできることを1つずつ実行しよう

今年は例年以上に寒さが厳しくなる可能性があることから、秋のうちに心身のコンディションを整えておくことが非常に大切です。気温の低下が引き起こす血圧の上昇や関節の痛み、さらには呼吸器系の不調に備えるには、今から生活習慣を見直すことが効果的。

涼しい秋の気候を活かして運動を再開し、代謝を助ける食事や、質の高い睡眠、呼吸法の工夫などを取り入れることで、体の内側から免疫力と耐寒力を高めることができます。また、秋の味覚を楽しみながらも果糖の摂り過ぎには注意し、肝臓や代謝への負担を軽減する工夫も忘れずに。免疫力を高める発酵食品や、食物繊維をたっぷり含んだ食事も効果的です。

短い秋を「冬支度の期間」として活用し、寒さに負けない健康な冬を迎えましょう。


寄稿者:用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック 院長 菊池真大

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慶應義塾大学医学部卒業
東海大学医学部客員准教授
米国ペンシルバニア大学消化器内科元博士研究員
日本アルコールアディクション医学会理事
日本総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本内視鏡学会専門医、日本人間ドック健診専門医、日本病態栄養学会専門医、日本抗加齢医学会専門医
2024年秋、メタボとロコモを同時予防管理する未来志向型クリニックを東京・用賀の地に開業。

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