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今秋“最も泣ける”『大ヒット映画』が話題 『ちはやふる』コンビが魅せる“純愛”と“圧巻の演技力”

  • 2025.10.30
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映画「ストロベリームーン 余命半年の恋」完成披露試写会。左から齋藤潤、當真あみ (C)SANKEI

映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』が10月17日に公開された。芥川なおの小説『ストロベリームーン』を映画化、脚本はNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』や映画『余命10年』、現在放送中のドラマ『小さい頃は、神様がいて』を手掛ける岡田惠和が担当している。

「泣ける」と評判の本作の魅力をご紹介する。

残された人生で何がしたい?

子どものころから体が弱く、家の中だけで過ごしてきた桜井萌(當真あみ)。15歳の冬に医師から余命半年と宣告されてしまう。その日に、萌はひとりの少年に恋をする。

まだ15歳。やりたいことはたくさんある。学校に行きたい。親友がほしい。恋がしたい。

そんな彼女の夢は「自分の誕生日に好きな人と一緒にストロベリームーンを見る」こと。6月の満月であるストロベリームーンには好きな人と一緒に見ると永遠に結ばれるというジンクスがあった。

高校に入学した萌は、恋をした相手・佐藤日向(齋藤潤)と教室で再会。勇気を振り絞り、告白をし、人生で初めてのお付き合いをスタートさせる。

精一杯に生きる萌のキラキラした姿

余命半年、と聞くとどうしても重い空気を想像してしまうが、萌は違う。自分の夢を少しずつ、着実に叶えていく。

親友もできた。周りの助けも借りて恋人としたいことも叶えていく。その姿はとても瑞々しく、まぶしい。そう見えてしまうのは、観ている側の意識のせいだろうか。この子は命を燃やしているのだ、と思えてしまう。

そして、萌は遠慮がない。あと半年しかない。だからこそしたいことをするのだ、という決意が見える。そう言いながらも、自分がいなくなったあとのことを考えていることも垣間見えて切ない。

両親のやるせない思い

そんな萌の母・美代子(田中麗奈)と父・康介(ユースケ・サンタマリア)。両親は萌の願いをできるだけ叶えてやろうと必死だ。親友ができるように仕組んだり、家の中が暗くならないようにと、どんなときでも笑顔を欠かさないように心がけている。

しかし、夫婦ふたりのやりとりでは感情が爆発する場面も。

萌の墓を購入するために康介が抽選会場に赴く場面がある。娘が望む場所に墓を買ってやりたいという気持ちはあるけれど、娘の墓なんて買いたくない。そんな思いがにじむし、観ている側にも、この親子がこれまでの15年間をどのような思いで過ごしてきたのかを察することができる。

そして、両親がどれだけの涙をこらえて萌の前で笑顔でいるのか、ということが感じられて悲しみの厚さが増す。

『ちはやふる』コンビの違う姿が新鮮

當真あみと齋藤潤と言えば、ドラマ『ちはやふる-めぐり-』での共演が記憶に新しい。『ちはやふる』ではチームメイトで、齋藤演じる白野の片想いだったが、今回は恋人同士だ。

萌と日向の初々しい関係は観ていて心洗われるものがあるが、『ちはやふる』を観た上での鑑賞だと、當真と齋藤の演技の幅広さを感じさせてくれる。

撮影はおそらく『ちはやふる』の前だと思うのだが、その分、ふたりが少しあどけないところも踏まえつつ、よりピュアさが際立っている。かわいらしい高校生の恋を描きながら、後半になるに従って、「初めて本気で人を好きになることの苦しさ」というものをリアルに表現している。彼らと同世代の層が観れば誰かを好きになるのが怖いと思ってしまうかもしれない。一方で大人が観ればこんなふうに誰かを好きになったことがあるのだろうか、という原点に立ち返ることができるのではにないだろうか。

泣けるかどうか、はもちろん人それぞれなのは当然のこと。しかし、確実に人の心を揺さぶる部分がある。誰に感情移入できるかによってもその感動の種類は変わってきそうだ。


※記事は執筆時点の情報です