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当時19歳の“朝ドラ女優” 「すでに出来上がっていた」ブレイク前から日曜劇場で見せていた“圧倒的存在感”

  • 2025.11.3

2017年10月期に放送された池井戸潤原作、役所広司主演のTBS系ドラマ日曜劇場『陸王』。役所をはじめ、山﨑賢人や竹内涼真ら、多くの登場人物が、それぞれのやるべきことを全うする姿も視聴者の心に刻まれた。物語の縦軸だけでなく、横軸もまた輝きを放ち、本作の大きなファクターになっていた。今回は愛すべきキャラクター2人の魅力を掘り下げたい。

当時19歳の上白石萌音が役所広司の娘、山﨑賢人の妹役を好演

老舗足袋業者“こはぜ屋”が挑んだランニングシューズ“陸王”の開発は、まさに前途多難。四代目社長・宮沢紘一(役所広司)が、その最前線に立っていた。就活中の紘一の長男・大地(山崎賢人)が手伝い、壁にぶち当たるシビアな状況の中、“宮沢家の家族団欒シーン”は、ある種、清涼剤のような爽やかなひとときをもたらしてくれていた。

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上白石萌音 (C)SANKEI

紘一の長女で、大地の妹である茜を、当時19歳だった上白石萌音が演じている。2016年にアニメ映画『君の名は。』で主演を務め、話題を集めた彼女が演じた茜は、流行に敏感で家族思いな高校3年生。無邪気に傾ける屈託のない笑顔が見る人をほっこりとさせ、時に意見がぶつかる紘一と大地のつなぎ、芯をついた言葉にはっとさせられた。

その後、2020年のTBS系 火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』、2021年のTBS系 火曜ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』で主演、同年のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でヒロインの一人を務めるなど躍進を遂げた彼女。SNSでも「可愛すぎ」「すでに出来上がっていた」「素晴らしい」との声が上がるなど、その存在感は、本作でもすでに光っていた。

“こはぜ屋”お目付け役“ゲンさん”志賀廣太郎さんの愛ある“心配”

“こはぜ屋”大番頭、“ゲンさん”こと富島玄三は、先代の社長時代から働くお目付け役的存在。会社を守りたい紘一と想いは一緒だが、その愛ある“心配”で紘一とぶつかることもあった。しかし、誰よりも現実的な太鼓判を押してくれるそんな存在だ。SNSでも「遠慮せずガツン言う存在って大事」「いい味出てたなぁ」と、ゲンさんの存在の大きさを感じさせるコメントが寄せられていた。

そんなゲンさんを演じたのは、2020年4月に逝去した志賀廣太郎さん。フジテレビ系『THE3名様』シリーズの“パフェおやじ”、『三匹のおっさん』シリーズの“ノリさん”としても人気を博し、『陸王』出演後も2018年にはTBS系 火曜ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』、2019年テレビ東京系 ドラマ24『きのう何食べた?』などに出演している。

バイプレイヤーとして多くの作品をその名を刻んできた志賀さんが魅せた名演を、本作で噛みしめたい。


ライター:小松加奈
ライター/編集者。音楽・映画・ドラマ・アニメなどのエンタメ系を中心にインタビュー/レビュー/コラム記事などを手掛ける。