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1日5~6杯飲むと『脳梗塞』のリスクが低下するかも…医師が教える『身近な飲み物』とは

  • 2025.10.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「脳梗塞」は、日本人の死因の上位に常に挙がっている病気のひとつです。そんな脳梗塞のリスクと、普段の飲み物の関係があるとしたら、気になりませんか?実はある日本人にとって身近な“ある飲み物”を1日に5~6杯ほど飲むことが、脳梗塞の予防に役立つ可能性が指摘されているのです。

今回はその飲み物と、どのような理由で注目されているのかをわかりやすく解説します。

脳梗塞ってそもそも何?基本をおさらいしよう

まずは脳梗塞とは何かを簡単に説明しましょう。脳梗塞は、脳の血管が詰まり、脳に酸素や栄養が届かなくなる状態を指します。これによって、詰まった先の脳の細胞が死んでしまい、その結果、体の動きや感覚、言語機能に影響が出ることがあります。血管が詰まる原因は大きく分けて3つあります。

1つ目は「血のかたまり(血栓)」が血管内でできて詰まる場合。2つ目は、心臓や大きな血管から血の塊や脂肪の塊が流れてきて脳の血管を塞ぐ「塞栓」です。3つ目は、もともと血管壁が厚く硬くなって詰まりやすくなる「動脈硬化」です。

このように、脳の血管が塞がってしまう原因はいくつかありますが、共通して注意したいのは血管の健康状態と血液の状態です。普段から血管を傷つけたり、血液をドロドロにしてしまう生活習慣があると、脳梗塞のリスクが高まるとされています。

脳梗塞予防に最適な『緑茶』のパワーとは?

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

実は「脳梗塞」に効果があると言われている飲み物があります。それは「緑茶」です。ポイントは緑茶に含まれるカテキンという強力な抗酸化物質と考えられます。カテキンは血管の炎症を抑え、血液の流れを良くし、さらには血中の悪玉コレステロールを減らす働きが示唆されています。これが脳の血管を守り、脳梗塞リスクを減らすメカニズムとされています。

さらに緑茶に含まれるカテキンはポリフェノールの一種で抗酸化作用が高いことで知られています。酸化ストレスが増えると血管にダメージが蓄積して動脈硬化のリスクが増加。動脈硬化が進むと血管が詰まりやすくなり、脳梗塞の要因になるのです。また、カテキンは血小板の過剰な凝固を抑えるとも言われており、これが血栓の形成を防いでくれる可能性があります。現代人に多い高血圧や糖尿病、喫煙などの生活習慣リスクと合わせて考えたとき、緑茶の持つ血管保護効果は意外と心強いのです。

緑茶に含まれるカテキンの量は、お茶の種類や淹れ方によって変動します。一般的に、煎茶に多く含まれ、高温のお湯で淹れるとより多く抽出されます。 また、カテキンはビタミンCと同時に摂取すると体内での吸収率が高まりますが、緑茶自体にビタミンCが含まれているため、効率の良い飲み物と言えます。

ただし、カフェインを含むため、夕方以降の大量飲用は避け、妊婦さんやカフェインに敏感な人は摂取量に注意しましょう。適量であれば緑茶は安心して楽しめる飲み物です。

今日から始める脳梗塞予防は“緑茶習慣”から!

脳梗塞はいつ誰に起こるか分からない怖い病気ですが、そのリスクは普段の生活習慣によって大きく左右されます。医師がすすめる「毎日5〜6杯の緑茶習慣」は、簡単で無理なく続けられる脳梗塞予防の1つの方法。血管を強くし、血液の流れを良くするカテキンのパワーがあなたの健康を支えてくれます。

特別なサプリメントや薬に頼らなくても、健康管理ができるのはうれしいポイント。まずは今日から、食事の合間やリラックスタイムに緑茶を飲んでみてはいかがでしょうか?

<飲み方のガイド>
目安量:決まりはありませんが、濃すぎない緑茶を合計500~600mL/日(例:100~150mLを食間に数回)飲むのがおすすめです。

飲むタイミング:食事とは1時間以上ずらすと鉄吸収の阻害を抑えられます。眠れなくならないよう、夕~夜は睡眠への影響をみながら調整しましょう。

服薬中:ワルファリン等の抗凝固薬や貧血の薬を内服中の方、妊娠中・授乳中の方は主治医に確認してください。サプリとの併用についても、できれば医師と相談してください。

※今回、根拠としている研究では、緑茶1杯を100mLと規定しています(500~600mL/日)。一般的な湯飲みは150~200mLですので、1日500~600mLは一般的な湯飲みでは「3~4杯程度」に相当します。


監修者:林裕章(はやし・ひろあき)
林外科・内科クリニック(https://www.hayashi-cl.jp/)理事長

国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。現在、外科医の父と放射線科医の妻と、全身を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域を支えている。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、また医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。
日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医