トラッドやプレッピーと相思相愛な「モカシン」ってどんな靴？【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.106】

連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。106回目は「モカシン」のルーツを探ります。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし！

【用語解説】まずは「モカシン」を知ろう。

「モカシン」とはかかとなしのやわかい革でできた、スリッポン式の短靴のこと。底から脇までを一枚革で包むように作り、つま先にU字型の甲革を当てて縫い合わせる。この形はいま、アメリカでは山林狩猟に携わる人々に履かれるほか、若者にプレーシューズとして愛好され、一方で底の革を別に付けた近代量産の「モカシン」形の短靴は、一般にはカジュアル用として広く世界中で履かれている。

【歴史】ネイティブアメリカンはビーズ刺繍をほどこして

「モカシン」は、もともとネイティブアメリカンが履いた短靴の一種です。北米のネイティブアメリカンは、「モカシン」にビーズ刺繍をほどこしたり、履き口に折り返しのカフスをつけたり、後ろで結んだりします。

【雑学】80年代のドラマ『抱きしめたい！』の浅野ゆう子の着こなしを参考に、モカシン主役のこんなトラッドスタイルはいかが？

1988年から放送されていた、テレビドラマ『抱きしめたい！』は昭和ブームに乗じて、最近FUDGE世代でも知っている人が多いようです。浅野温子演じる麻子と浅野ゆう子演じる夏子のW主演で、四半世紀にわたる幼馴染で親友のふたりの恋愛模様やライフスタイルが魅力的に描かれたトレンディードラマ。特に彼女たちのファッションは世の中に大きな影響を与えました。

夏子のファッションは当時ブームだったアメカジテイストで、《シップス》や《ビームス》といったセレクトショップや《ラルフローレン》《ハリウッドランチマーケット》のアイテムがふんだんに使用され、今見ても参考になる着こなしがたくさんあります。デッキシューズやローファーに加えて、「モカシン」が彼女の足元の定番。このイラストのように、半そでのストライプシャツ×キュロットに「モカシン」を合わせたコーデは、まるでFUDGEから抜け出たよう！ おしゃれですよね！ マネするときは、ソバージュヘアにしてみる？！ スウェットの肩がけも忘れずに。

 

監修：朝日 真（あさひ しん）

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A