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医師「なるべく使用を避けて」→『インフルエンザ』で重篤な症状を引き起こす…注意すべき“市販薬の種類”とは?

  • 2025.10.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

季節が巡るたびに話題になるインフルエンザ。毎年、多くの人が罹患し、つらい症状に悩まされますよね。熱や咳、喉の痛みなどを和らげるために、市販薬に手を伸ばす人も多いはず。しかし、インフルエンザのときに「飲まないほうがいい」と医師が話す市販薬があることをご存じでしょうか?どんな市販薬か、なぜ注意が必要なのか、わかりやすく解説します。

インフルエンザで処方される薬の基礎知識

インフルエンザにかかったとき、熱や頭痛、喉の痛みといったつらい症状を少しでも和らげたいという気持ちから、自宅で市販の風邪薬を服用することがあります。しかし、医師の間では「インフルエンザの時に飲まないほうがよい市販薬がある」という意見があります。

インフルエンザの際に処方される抗インフルエンザウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑えるとされる薬。これには飲み薬や吸入薬などがあり、発症後できるだけ早い段階で使うのが一般的です。こうした薬の使用は、発症から48時間以内を目安に開始すると良いと言われています。

一方、熱や痛みといった具体的な症状に対応するのが、解熱鎮痛剤などの症状を抑える薬です。これらはあくまで症状を和らげる目的で用いられ、根本的なウイルスの除去はできません

また、インフルエンザはウイルス感染症のため、抗生物質(細菌に効く薬)は効果の対象外とされています。合併症など別の病気を伴う場合にのみ、医師の判断で使われることがあります。

避けた方が良い市販薬の種類

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

では、どんな市販薬を避けたほうがよいのか、その具体的なポイントを整理してみましょう。市販の風邪薬には複数の成分が入っていることが多いため、成分表示をよく確認することが大切です。

  • アスピリン(アセチルサリチル酸)を含む薬
    インフルエンザにかかった後の児童や10代~20代の若者がアスピリンを含む薬を飲んだ際、まれにライ症候群という重篤な症状を引き起こす可能性が指摘されています。

  • ジクロフェナクナトリウムを含む薬
    強い鎮痛・抗炎症作用をもつ薬ですが、インフルエンザに伴う脳症の発症例でが報告されました。そのため、インフルエンザ患者への使用は脳症発症リスクを高める可能性があり、現在では使用を避けることが推奨されています。

  • メフェナム酸を含む薬
    消炎・鎮痛・解熱作用をもつ薬ですが、ジクロフェナクナトリウムと同様にインフルエンザ脳症との関連が報告され、インフルエンザ患者への使用は避けるよう推奨されています。

いずれもインフルエンザ脳症やその他の症状を引き起こす可能性があるため、自己判断で薬を飲むことは避けましょう。

もし飲んでしまった後にインフルエンザの可能性があった場合はすぐに医療機関を受信し、服用した薬をきちんと医師に伝えることが大切です。

また、インフルエンザ脳症が疑われる症状として、けいれん、意識障害、異常な言動、激しい泣き叫びや癇癪、おびえなどが挙げられます。これらの症状が見られる場合は専門家の判断のもとで適切な処置をおこないましょう。

自己判断での薬の服用は避けよう

冬場を中心に多くの人がかかるインフルエンザは、つらい症状のせいで少しでも早く楽になりたい気持ちが強くなります。そんな中、市販薬もつい手が伸びがちですが、薬の成分や体への影響を理解したうえで使うことが大切です。

症状が重いときは市販薬に頼るのではなく、医療機関の診察を受け適切な薬を処方してもらいましょう。今回紹介したポイントを参考にしつつ、健康に過ごせる工夫をしてみてくださいね。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。