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医師「糖尿病を放置しないで」…数年後に“目”にあらわれるかもしれない病気とは?

  • 2025.10.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

糖尿病は日本でも多くの人が抱える生活習慣病のひとつです。普段は血糖値のコントロールに目を向けがちですが、実は数年後には「目」にも悪影響があらわれることがあります。

この記事では、糖尿病と目の関係にスポットを当て、将来的に出てくるかもしれないリスクについて医師の意見を交えつつ解説します。

糖尿病とは?体の中の“血糖値”の仕組みから見るポイント

まず、糖尿病を理解するには「血糖値」という言葉を押さえることが大切です。血糖値とは、簡単に言うと血液の中のブドウ糖の量のこと。私たちは食事から糖質を摂り、それが消化されてブドウ糖として体内に取り込まれます。血糖値はエネルギー源として全身の細胞が使うために調整されているのですが、この調整役が「インスリン」というホルモンです。インスリンは主に膵臓のβ細胞から分泌されて、血糖を細胞の中に取り込ませて血糖値を下げる働きを持っています。

糖尿病とは、このインスリンの分泌量が不足するか、身体がインスリンにうまく反応しない「インスリン抵抗性」が原因で、血糖値が慢性的に高くなる病気とされています。血糖値が高い状態が長く続くことで、さまざまな健康トラブルを引き起こす可能性が指摘されています。

糖尿病は大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつは「1型糖尿病」で、インスリンをつくる膵臓のβ細胞が何らかの理由で損傷してしまい、インスリンをほとんど分泌できなくなるタイプです。こちらは若い人や子どもにも見られます。もうひとつが「2型糖尿病」で、日本をはじめ多くの国で患者数が増えているタイプです。これはインスリンの分泌量が徐々に不足したり、身体がインスリンをうまく使えなくなったりすることによって起こります。2型糖尿病は生活習慣と関連性が高いとする見解があります。

糖尿病が目に及ぼす影響があった

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

糖尿病になると血液中の糖分(血糖値)が慢性的に高い状態が続きます。この状態が長く続くと、全身の血管に負担がかかりやすくなり、特に目の奥にある「網膜」と呼ばれる部分の細い血管にダメージが生じることがあります。これが「糖尿病網膜症」と呼ばれる病気で、進行すると視力低下や失明につながる恐れがあるとされています。

糖尿病網膜症は、初期の段階では自覚症状がほとんどなく、見逃されやすいのが特徴。症状が進むにつれて視界がかすむ、ものが歪んで見えるなどの変化が現れますが、その頃にはすでに進行していることも少なくありません。適切な血糖コントロールと定期的な眼科検診を受けることで、進行を抑えられるケースもあるため、早めのケアが大切です。

また、糖尿病は白内障や緑内障など、他の目の疾患を引き起こすリスクも高めることが知られています。白内障では水晶体が濁って視界がぼやけたり、緑内障では視野が狭くなったりと、いずれも生活の質に大きく影響を与える可能性があります。

前述の通り自覚しづらいのが特徴のため、血糖値の管理とともに定期的な眼科検診を受けることが、視力を守るうえで非常に重要になります。眼底検査では、網膜の状態を直接観察できるため、症状が出る前の段階で異常を発見できる可能性があります。

生活習慣の改善も大切なポイントです。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスの管理といった日常の心がけが、血糖値の安定化とともに目の健康維持にも役立つとされています。

定期的なチェックを忘れずに

糖尿病は日々の生活習慣と深く関係しています。急な変化を求める必要はありませんが、食事内容を見直したり、運動を続けたりすることが、将来的な目の健康維持につながります。

糖尿病網膜症などの合併症は、早期に対策を始めることで進行を防げる可能性があります。定期的な検査や医師との相談を通じて、自分の体の状態を正しく理解しながら、無理のない範囲でケアを継続していくことが大切です。まだ症状がないうちから体を大切にする習慣を持つことが、未来を守る第一歩になるでしょう。


監修者:用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック 院長 菊池真大

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慶應義塾大学医学部卒業
東海大学医学部客員准教授
米国ペンシルバニア大学消化器内科元博士研究員
日本アルコールアディクション医学会理事
日本総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本内視鏡学会専門医、日本人間ドック健診専門医、日本病態栄養学会専門医、日本抗加齢医学会専門医
2024年秋、メタボとロコモを同時予防管理する未来志向型クリニックを東京・用賀の地に開業。

https://www.youga-naika.com/